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Crocodile Tail Loop 体験談:小林祐介 Crocodile Tail Loop 体験談:masasucks Crocodile Tail Loop 体験談:ミヤ

2010年より始動した気鋭のエフェクター・ブランド、One Controlが発売した10ループ・スイッチャー“Crocodile Tail Loop”。必要不可欠な機能を網羅しつつ、コンパクトでユーザビリティに富んだサイズ、高い操作性、質の高いバッファなどを実現したニュー・スタンダードと言えるモデルだ。7月の発売以降、すでにプロのユーザーもじわじわ増え始めている本機。今回は、国内ロック・シーンの最前線で活躍している小林祐介(THE NOVEMBERS)とmasasucks(the HIATUS / FULLSCRATCH)の体験談とともに、前回、発売前のプロト・タイプを試奏してもらったミヤ(ムック)のインプレッションをあらためて紹介しよう。

プログラマブル・ループ・スイッチャーの新定番
“Crocodile Tail Loop”とは?

▲合計70のプリセットが記憶できるプログラム・モードに加え、ノーマル・スイッチャーとして使えるダイレクト・モードも装備。[拡大画像を見る]

 7つの並列ループと3つの独立ループを装備した10ループ・プログラマブル・ループ・スイッチャー。バンクは7つ装備しており、合計70ものプリセットが記憶できる。モードはプログラム・モードに加えてダイレクト・モードが選択でき、ノーマル・スイッチャーとしても使用可能だ。軽量でコンパクトなサイズ、ユーザー目線で設計された台形型のシェイプ、直感的にプログラムできる操作パネル、高品質のバッファなど、ギタリストがストレスなく使えることを細かく考慮しているのが最大の魅力で、実用機として高いポテンシャルを発揮するだろう。さらに、チューナー・アウトやMIDI端子も装備し、従来のループ・スイッチャーとしての機能はしっかりカバーされた注目のモデルである。

“Crocodile Tail Loop”体験談
小林祐介(THE NOVEMBERS)

 そんな注目のCrocodile Tail Loopをプロ・ミュージシャンは実際どのように使っているのか、まずはTHE NOVEMBERSのギター/ボーカリスト、小林祐介の体験談を紹介しよう。ボーカリストでもある小林が語るように、独自の工夫で更に操作性を高めているようだ。

 右の写真は小林のペダルボード。[拡大画像を見る] Crocodile Tail Loopにはボード内の機材が6機種つながっている(ラインナップは拡大画像を参照)。L1~L7の並列ループを使用しており、L8~L10の独立ループは使用していない。また、ダイレクト・モードに設定しているため、7つの並列ループにつながったエフェクトを直接呼び出す通常のスイッチャーとして使用している。

 左から1番目(L7)と3番目(L5)のスイッチは、エフェクターをつながずに単にパッチ・ケーブルをつなぐことでスイッチを押してもなにも作動しないようにしている。小林の立ち位置から少し足を伸ばして踏まなければいけないエリアだそうで、踏み間違いを防止するための対策だそうだ。

 なお、本機の前に繋がっているのは知人によるハンドメイド・ブースター、うしろにはデジテックのRV-7(リバーブ)。その左にあるデジテックのDIGIVERB(リバーブ)はボーカル用に使用している。

[PROFILE] こばやし・ゆうすけ
THE NOVEMBERSのギター/ボーカリスト。全曲の作詞/作曲も務める。バンドは05年に結成し、07年にデビュー。オルタナティブ・ロックを基調にしたスリリングなサウンドで人気急上昇中だ。11月7日に新作『GIFT』を発売予定。
THE NOVEMBERS Official Website

“Crocodile Tail Loop”体験談
masasucks(the HIATUS/FULLSCRATCH)

 続いての体験談は、the HIATUS、FULLSCRATCHのギタリストとして活躍するmasasucks。すでにライブでも使用している彼が、現場でも"埋もれない音"と評価する良音質の秘密は、バッファにあるようだ。

 右の写真はmasasucksのペダルボード。[拡大画像を見る]まず、"BYPASS"と書かれたスイッチ以外はすべてL6、L7の機材(拡大画像参照)をループさせたうえで別のペダルをプログラムしている。各スイッチに組み込まれたエフェクトは、左から "SYNTH" がL4+L6&L7、 "CLEAN" がL6&L7のみ、 "CENTAUR" がL3+L6&L7、 "KAMIKAZE" がL1+L6&L7、 "FUZZ" がL2+L6&L7、 "SHOEGAZE" がL5+L6&L7。 "BYPASS" はプログラムなし。

 また接続方法は、まずCrocodileのバッファ・インから入り、ボリューム・ペダルと "PUNCH" と書かれたコンプ、マッド・プロフェッサーのSweet Honey Overdriveを直列でつないでから通常のノン・バッファ・インに入っている。上記3機種はバッファの音色込みのサウンドにしたいからだそうだ。

[PROFILE] まささっくす
the HIATUSのギタリスト。パンク・バンドFULLSCRATCHでも活動しているほか、J(LUNA SEA)や木村カエラ、Kyleeなどのサポートも務めた。最新作はthe HIATUSのスタジオ・セッション・ドキュメンタリー映像作品『The Afterglow – A World Of Pandemonium - 』。
BLOG : masasucks

“Crocodile Tail Loop”試奏&レビュー
ミヤ(ムック)

 最後に、本機発売前のプロト・タイプを試奏してもらった、ムックのギタリスト、ミヤのインプレッションを紹介しよう。サウンドメイカーとしての高い才能を発揮する彼が試奏の場で感じたことを率直に語ってもらった。

※試奏にはプロト・タイプを使用しています

[PROFILE] みや
ロック・バンド、ムックのギタリスト。逹瑯(vo)、ミヤを中心に97年に結成。歌謡調のメロディやヘヴィなサウンドを混ぜた独自のサウンドで国内はもちろん海外でも大きな人気を得る。近年はシンセを取り入れた斬新な音世界にも足を踏み入れ、常に新しい音を求めている。ヘヴィなサウンドからエフェクトによる百花繚乱の音色を生み出すミヤのプレイはもはやバンドの軸だ。
MUCC Official Website

小型、軽量、低価格を実現した画期的なプログラマブル・スイッチャー

 それぞれのプロ・ミュージシャンが口を揃えて評価するのは、コンパクトなサイズと使い心地の良さ、そして質の高いバッファだ。それらに加えループ・スイッチャーにおける必要不可欠な機能がフル装備された本器のポイントを確認してみよう。

Point 1. 軽量&コンパクトなサイズ

 アルミ筐体を使うことで獲得した驚きの軽さ(1.35kg)に加え、10ループ装備にもかかわらずサイズはかなりコンパクト。特に奥行きは110mmと従来より短く、ボード内で極力スペースをとらないように配慮されている。

Point 2. 使い勝手のいい台形シェイプ

 踏みやすさを考慮して、スイッチのある上面が斜めになっている特殊な台形シェイプを採用。さらに、ジャックを差し込む背面パネルにもやや角度がついており、配線時に上から見やすく、ジャックの抜き差しもスムーズに行なえる。

Point 3. 誰でもわかる超カンタン操作

 プログラミングをする際は、記憶させたいループ・スイッチを踏んだあと、使いたいエフェクターをつないだループ番号と同じ番号の操作ボタンを点灯させるだけでOK。ループから解除したければ、再度ボタンを押して消灯するだけ。

Point 4. 音質へのこだわり

 インプット部にはバッファとノン・バッファのふたつを装備。なお、バッファはビョーン・ジュールがデザインした高品質のものを採用し、トゥルー・バイパス仕様。ビンテージ・エフェクターなど、音の劣化が大きい機材の被害を最小限に防げる。

One Control Crocodile Tail Loop : SPECIFICATIONS

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●コントロール:スイッチ×10(プログラム/ループ1~7、バンク・アップ/ループ8、バンク・ダウン/ループ9、チューナー/ループ10)、プログラミング・キー×10、MIDIオン/オフ(TR/RX)、リンク・コンフィグ( M/S/リンク)、MIDIセレクト・スイッチ(アウト/スルー)●入出力端子:インプット×2(BJFバッファ/ノー・バッファ)、アウトプット×3(パラレル出力×2、バッファ・アウト)、チューナー・アウト、センド/リターン×7、独立ループ(イン/センド/リターン/アウト)×3、グラウン ド端子、SYNC/LINK、MIDIイン、MIDIアウト●外形寸法:460(W)×110(D)×60(H)mm●重量:1.35kg
価格:86,625円