豊かな響きを実現したスタイリッシュモデル

CASIO PX-850

試奏レビュー:松本あすか / 撮影:菊地英二

 コンパクトでスタイリッシュなフォルムに、新開発の音源と鍵盤を搭載したプリヴィアシリーズの最上位モデル。響きを徹底的に追求し、グランドピアノ88鍵すべての共鳴音を精巧にシミュレート、豊かで深みのある共鳴効果を実現しました。また、天板を開閉できる新構造により、グランドピアノの大屋根を開けたときのような広がりある音が奏者を包みます。

■サイズ:横1,367mm× 奥行299mm× 高さ837mm(天板閉時。譜面立て、転倒防止金具等は含まず)■質量:35.5kg ■外装:ブラックウッド調 ■価格:120,750円 ■お問い合わせ:カシオ計算機 お客様相談室 ☎0570-088933(ナビダイヤル)※ PHS・IP電話からは03-5334-4909 ■ウェブサイト:http://casio.jp/emi/

インプレッション by 松本あすか

“PX-850は弾いていて心地良い楽器”

松本:自宅にはグランドピアノと10年以上前に購入したカシオのデジタルピアノがありますが、PX-850は自分が持っている機種と比べてかなり進化していると感じました。最もこだわりを感じたのは倍音です。グランドピアノからサンプリングした音をただ鳴らすのではなく、こちらのタッチや弾いた音のバランスをリアルタイムで計算し、それに応じた倍音がしっかりと鳴る。計算機を作っているメーカーならではの発想なのかなと思いました。

 PX-850は弾いていてとにかく心地良い楽器です。曖昧な意見かもしれませんが、弾いていて楽しいというのは一番大事なこと。最新の技術が使われているのを意識させないほど自然に弾ける楽器という印象です。最後に価格を聞いて驚きましたね。

Profile: 松本あすか
3歳よりピアノを始め、幼少の頃より国内外の数々のコンクールで優秀な成績を修める。18歳のとき一度クラシックから離れ、ジャズやポップスに傾倒。以後5年間はさまざまなジャンルのアーティストのサポートや作詞作曲活動、クラシック演奏家向けのジャズアレンジなどを行なう。その後再びクラシックに戻り、第29回ピティナ・ピアノコンペティションで1位を受賞。各ジャンルの橋渡しを担うであろう、今後の活躍が期待されるピアニストのひとり。

PX-850の音とタッチ

共鳴音を精巧に再現した音源

 グランドピアノの特徴のひとつである“共鳴音”をリアルに再現した新音源を搭載。単音と和音、鍵盤を弾く強さ、ダンパーペダルの有無による共鳴の違いまで忠実に表現したこの新音源により、生の質感を生かした響きで演奏を楽しむことができます。サンプリング波形のクオリティを劣化させない最新の圧縮技術を採用している点もポイント。

操作性の高い本格鍵盤

 打鍵の変化をきめ細かく感知する3つのセンサーを搭載しているため、発音までの時間を打鍵の速さに応じてコントロールすることが可能。さらに、鍵盤を最後まで戻しきらなくてもしっかり連打することができます。また、鍵盤領域によって発音タイミングが異なるグランドピアノの特性も再現。よりリアルなタッチ感にこだわりました。

松本:グランドピアノはペダルを踏まずに演奏しても、弾いた音に加えてその倍音も鳴るので豊かな響きがしますよね。今回PX-850で古典の曲を弾きましたが、ノンペダルでも倍音がきちんと再現できたので驚きました。このクオリティであれば普段の練習に充分使えます。また、デジタルっぽさを感じさせない自然なタッチも気に入りました。

PX-850の注目ポイント

天板の開閉による広がりある響き

 天板を開けることによって楽器本体からのダイレクトな響きが届き、床や壁から跳ね返る間接的な響きと混ざり合って豊かで広がりのある音色が生まれます。さらに、大屋根の開閉量に伴う音色変化をデジタルでシミュレートすることも可能となっています。

松本:前から響きが返ってくる感じがして、弾いていて純粋に気持ちが良かったです。難しいことがわからないお子さんでも、目の前で天板を開閉してあげれば、響きの変化による気持ちの良さを視覚的にも感じることができていいですね。

奥行き約30センチのスリムボディ

 デジタルピアノとしては最小クラスの奥行わずか299mm、35.5kgというコンパクトなボディも魅力のひとつ。リビングに置いても圧迫感を感じさせません。また、アコースティックピアノを彷彿とさせる赤のフェルトやスタイリッシュな外観も注目を集めています。

松本:私はアンティークのピアノが好きなのですが、楽器にはそれぞれの時代に合った装飾や形がありますよね。PX-850のスタイリッシュな外観はまさに今の時代にピッタリ。レッスン室に置いても場所を取らないところも気に入りました。

象牙のような質感の鍵盤

 鍵盤の表面には、グランドピアノの象牙のような手触りを模した素材を使用。白鍵は象牙調、黒鍵は黒檀調の吸湿性に優れた素材のため、指先にしっくり馴染みます。たとえ長時間の練習などで指先が汗ばんでも、心地よいタッチで演奏を楽しむことができるのです。

松本:ピアニストはみんな、象牙鍵盤の吸いつく感じが好きですよね。演奏中は触感覚に頼っている部分が大きいので鍵盤の触り心地は重要ですが、象牙調のこの鍵盤はグランドピアノを弾いているような感覚で違和感なく弾き続けられました。

その他のCASIOおすすめモデル

 スタイリッシュなプリヴィアPX-750は、奥行299mmのスリムデザイン。プリヴィアPX-150は、テーブルの上でもスタンド(別売)付きでも演奏できる2ウェイタイプ。格調高いデザインのセルヴィアーノAP-450は、豊かで広がりのある音で演奏できる天板開閉構造を採用。いずれの機種も、グランドピアノの美しい響きを追求した新開発のAiR音源と、連打性に優れた象牙調・黒檀調の鍵盤を搭載しています。

CASIO PX-750

■ブラックウッド調(PX-750BK /写真)、ホワイトウッド調(PX-750WE)、オークウッド調(PX-750BN)■価格:92,400円

 

CASIO PX-150

■パールホワイト調(PX-150WE / 写真)、ブラックメタリック調(PX-150BK)■価格:66,150円

 

CASIO AP-450

■ブラックウッド調(AP-450BK /写真)、オークウッド調(AP-450BN)■価格:オープンプライス(市場予想価格100,000円前後)