グランドピアノの音と演奏感にこだわった本格派モデル

YAMAHA CLP-480PE

試奏レビュー:村松崇継 / 撮影:菊地英二

 ヤマハのデジタルピアノの代名詞とも言えるクラビノーバ、そのCLPシリーズの最上位機種がCLP-480PEです。選び抜かれた最高峰のグランドピアノ1台からサンプリングした音源を内蔵し、鍵盤には厳選した木製のむく材を採用。また、響きにもこだわり、3つの音域ごとに独立した3系統のスピーカーを搭載しています。各音域を専用のアンプで響かせることにより、クリアで粒立ちの良いピアノ音を実現しました。

■サイズ:横1,424mm×奥行513mm×高さ943mm ■質量:91kg ■外装:黒鏡面艶出し仕上げ ■価格:451,500円 ■お問い合わせ:ヤマハ株式会社 お客様コミュニケーションセンター 電子ピアノ・キーボード窓口 ☎0570-006-808(ナビダイヤル、全国共通番号)※上記番号でつながらない場合は、☎053-460-5272へおかけください。 ■ウェブサイト:http://jp.yamaha.com/piano

インプレッション by 村松崇継

“CLP-480PEは出音が抜群に良い楽器”

村松:5年ほど前に発売されたクラビノーバを所有していますが、CLP-480PEを弾いて音と鍵盤のタッチが格段に進化したと感じました。アップライトピアノのような形なのに、音が奥の方からも聴こえて、コンサートグランドピアノを弾いている感覚がする。低音、中音、高音それぞれの音域に特化したスピーカーが搭載されていると聞いて、音の良さに納得しました。このクオリティには、メーカーのこだわりを感じますね。鍵盤は重さもリアルで細かい表現もしやすいです。ここまでくると弾き心地や反応もアコースティックピアノに引けを取らず、こちらの思いどおりにクラシカルで繊細な表現ができますね。シンプルでモダンな外観も格好良くて、何よりコンパクトなのがいいですよ!弾けば弾くほど欲しくなりました。

Profile: 村松崇継
国立音楽大学作曲学科卒業。映画やドラマの作曲家として早くからその才能が注目され、2004年にNHK連続テレビ小説『天花』の音楽を歴代史上最年少で担当する。その後も映画『オリヲン座からの招待状』『クライマーズ・ハイ』『誰も守ってくれない』『アントキノイノチ』、ドラマ『もう一度、君にプロポーズ』『赤い糸の女』『大奥〜誕生〜』など、多くのヒット作を手がける。並行してリベラや高嶋ちさ子らへ楽曲提供も行ない、ピアニストとしても活躍中。

CLP-480PEの音とタッチ

細かな表現ができる新音源

 楽器としてのバランスを考え、1台の良質のグランドピアノからサンプリングした音源を内蔵。タッチの強弱による音色変化、スタッカートとレガートによる音の余韻の違い、弦の共鳴音といったグランドピアノ特有の表現がしっかりと再現できます。それらの音は、贅沢な音響システムによってさらに豊かに響きます。

木製鍵盤にはむく材を使用

 鍵盤には、ヤマハのアコースティックピアノに使用している木製鍵盤と同クオリティのむく材を使用。デジタルピアノでは初めて1鍵1鍵で異なる重みや戻りの感触を再現し、限りなくグランドピアノに近い弾き心地を実現しています。さらに、支点までの距離を長めに取り、白鍵の奥を弾いたときでも違和感なく演奏できる工夫が施されています。

村松:内蔵されている音源がいいうえに、ダンパーペダルを踏んだときの弦の共鳴音などの細かいニュアンスまで表現できるなんて本当に凝っていますね。鍵盤は88鍵すべての重さをグランドピアノに合わせているそうですが、ヤマハって昔からタッチに対してのこだわりがすごいですよね。クセがなくて弾きやすく、象牙調の木製鍵盤も気に入りました。

CLP-480PEの注目ポイント

リアリティを追求したペダル

 踏み始めは軽く、一定まで踏み込むと重く感じるグランドピアノ特有の踏み心地を再現したペダル。打鍵前にペダルを踏むか、打鍵後に踏むかによって異なってくる響きの変化まで再現しているので、思いどおりのニュアンスがつけられます。

村松:ペダルの効きはかなり良く、ハーフペダルの細かいニュアンスも再現できたので、ドビュッシーやラベルなどの印象派の曲でもグランドピアノを弾いているような感覚で演奏することができます。これなら演奏の幅がぐんと広がりますね。

500種以上の多彩な音色を内蔵

 エレクトリックピアノ、オルガン、ハープシコード、ギター、ストリングスといった多彩な音色が500種類以上も内蔵されているCLP-480PE。ふたつの音色を同時に鳴らしたり、右手と左手で異なる音色を奏でるモードも搭載されているので楽しみが広がります。

村松:とにかく1つひとつの音色がリアル!たとえば左手でベース右手でギターを弾いて、ひとりでセッションのような演奏もできますし、曲の創作意欲がわいてきますね。音色に応じて自動でリバーブを設定してくれる点も気に入りました。

本格的なオーディオ録音が可能

 USBメモリーを使えば、ボタンひとつで自分の演奏をオーディオデータとして録音することができます。録音した音は外部機器でも再生できるので、自分の演奏をメールで友人に送ったり、先生が生徒さんの自宅練習用に模範演奏の音源を作成することも可能です。

村松:CLP-480PEのいい音で演奏したものを、オーディオデータとしてパソコンに取り込んで曲作りに生かせるのはいいですね。たとえば、お子さんの演奏を携帯の着信音にするなんていうこともできますよね!

その他のYAHAMAおすすめモデル

 CLP-S406Bは、クラビノーバの高品位な音質はそのままに、コンパクトさを追求したスタイリッリュモデル。奥行きわずか43.8cmで、ピアノらしい上品な佇まいを実現しました。YDP-161Jは、リアルなピアノ音と自然なタッチに加え、レッスンに役立つ機能をシンプルにまとめたアリウスシリーズのベーシックモデル。コンパクトなボディが魅力のPシリーズからは、従来のモデルにはなかった自動伴奏機能やリズムパターンを搭載したP-105が登場しました。

YAHAMA CLP-S406B

■ブラックウッド調仕上げ ■価格:257,200円

 

YAHAMA YDP-161J

■ニューダークローズウッド調仕上げ(YDP-161J/写真)、ブラックウッド調仕上げ(YDP-161BJ)、ライトチェリー調仕上げ(YDP-161CJ) ■価格:オープンプライス(市場予想価格90,000円前後)

 

YAHAMA P-105

■ホワイト(P-105WH/写真)、ブラック(P-105B) ■価格:オープンプライス(市場予想価格40,000円前後/スタンド、ペダルユニットは別売り)