商品の説明

今は亡きトニー・ゼマイティス氏によるギターブランド”Zemaitis”。その歴史は1955年の友人に向けたアコースティックの製作に始まります。そして60年代のミュージックシーンに対応し1965年には本格的にエレキギターの製作に取り掛かり、その後Zematisの代名詞ともなった、その名を世界に轟かせるモデルとなるメタル・フロントギターが世に誕生します。当時は完全ハンドメイドにて年間数本しか生産されないながら、1980年代には世界最高峰として揺るぎない地位を築き上げました。そして2002年にトニー・ゼマイティス氏が亡くなってしまいますが、当時よりメタル・フロントの彫刻を担当していた彫刻師であるダニー・オブライエン氏と神田商会によって、トニー・ゼマイティス氏同様に完全ハンドメイドにて製作することを条件に”本物”のZemaitisの名が継承されました。

現在製作されているZemaitisブランド製品については、多くの国内外様々な工場にて製作されておりますが、その中でもモデル名にCSの付くカスタムショップ製については、自社の直営工場となる神田商会岐阜事業所にて製作されております。岐阜事業所については元朝日木工にて、Valley Arts、Musicman等のハイブランドの製造していた国内トップクラスの工場であり、国内最高峰のハイエンドギターとして有名なBizen Worksの創業者である坂本行宏氏が工場長を務めていたことでも有名です。

今回ご紹介させて頂くのは、そのZemaitis Custom Shopより新たな試みを形にするにあたってプロトタイプとして僅かな数のみ製作されたレギュラーラインナップには無い特別なモデルCS22SU WL VP FLAME MAPLE Proto Typeになります。こちらのモデルに関しては既存のレギュラーラインナップには無いスペックが数々採用されておりながら、エングラブドの作業費等にて割が合わず実際には商品化されなかった言わば幻のモデルとなっており、製作開始は2018年となりますが、市場にて販売され始めたのは2023年頃からとなります。今回の一本については、前ファーストオーナー様が神田商会の運営するショールームにて入手し、完全コレクション目的にて大切にされてきたデッドストックミント品となります。

また今回のプロトタイプモデルについては、トップにマホガニーを採用したCS22SU WL VP MAHOと、トップにフレイムメイプルを採用したCS22SU WL VP FLAME MAPLEの2パターンが存在しておりますが、言わずもがなフレイムメイプルモデルの方が人気が高く、また同じフレイムメイプルモデルでもそのフィギュアドのグレードはかなり大きく個体差が出ております。

まずこちらのスペックとしては、ボディ＆ネック材には王道のマホガニーとなりますが、共に角度によってフィギュアドライクなギラつきが強く出た厳選材の中でも特別だと感じさせるアフリカンマホガニー材となっております。コンストラクションはボディはセンター2P、ネックは1Pにて、フィニッシュはアンティークブラウンカラー、触れてみると導管も感じられる激薄のサテンラッカー仕上げとなっております。そしてトップには既存のジュラルミンではなく、モデル名の通りフレイムメイプル材が採用されておりますが、過去の販売歴を見てもこの個体が一番だと感じるほど強烈なフレイムフィギュアドに魅了されます。そしてZemaitisのお家芸となるエングラブドですが、NAMM2020モデルのメタルフロントに採用されたリーフスクロールと同様の柄を採用（こちらのモデルが先に製作されていた為、元となるのはこちらのプロトになります）。一般的なレギュラーモデルと比べても彫刻自体の彫りは深く細かく施されており、その高い芸術度が故こちらの部分がコスト面にて商品化する際のネックになったのかと思われます。指板には高級材となるシッカリと目の詰まった漆黒のエボニーにマザーオブパールのドット＆ダイヤインレイ、オリジナルより型を起こしてソリッド・ジュラルミンにて製作されたハンドクラフトのブリッジ＆テイルピース、またエングラブドはトップだけでなく、テイルピース、トラスロッドカバー、ヘッドロゴ、ジャックプレートなどの細部にもシッカリと施されております。その他レギュラーラインにて販売されたCS24SU WLモデルとの違いとしては、22F仕様＆それに準じたボディ形状、クリームーカラーのネック＆ヘッドバインディング＆エスカッション、樹脂製ハットノブ、メタル製トグルスイッチ等の特別な仕様が挙げられます。

そして気になるサウンドですが、見た目だけでも判断出来るそれぞれに素晴らしい材が採用された”当たり”の個体は、生鳴りの時点で木材自体の鳴りを存分に感じさせる素晴らしい響きが感じられます。またピックアップにも拘りを魅せつけ、最新モデルとなるがZEMAITISオリジナルのハムバッカーCustom Virtuoso×2を搭載。サウンドを一言にすれば”反則級”となる驚愕のサウンドをアウトプット。ヴィンテージを含めレスポールスタイル全てのモデルの中でも最上位と言っても過言ではありません。特にクリーン～クランチが異常なまでに味わい深く、中低域は太く芯がありながらパワーと繊細さを併せ持ち、高音域は細かなピッキングニュアンスも全て煌びやかな魅惑のトーンを奏でてくれます。ピックアップ自体のクオリティがズバ抜けており、レンジが非常に広くオーバードライブ時にはズバっときまるエッジ感ありながらも音の芯をシッカリ残し、弦鳴り本来が持つ立体的な音像には圧倒されます。PRSの様な弾きやすさとサウンドクオリティを持ちながら、レスポールならではの太さと芯、ヴィンテージライクな芳醇で枯れ感のある味わい深さ全てを持っており、こちらのモデルが商品化しなかったという事だ非常に悔やまれます。

最後に状態としては、文頭でも触れました通りこちら前ファーストオーナー様がコレクション目的にて2023年12月に新品購入され、そこから未使用状態にて約4か月後に当店に入荷致しました為、新品販売時と状態は全くと言っていいほど変わりがありません。その為フレットは殆ど減りはなく、使用に伴うダメージは一切ございません。細かい部分となりますが、2018年の製作からは6年が経過していることもあり、塗装自体は製作時に比べて痩せが見られる点、コントロールノブは一見しては分かりませんが内部にクラックが生じております。演奏面としてはネックコンディションは良好でトラスロッドも新品時と変わり無く調整幅が残っており、電装関係の問題もありません。付属品としてもブランドロゴと併せてCUSTOM MODELの文字の入ったオリジナルハードケースを始めとする新品販売時の一式（画像参照）が揃っております。