商品の説明

1833年からと約2世紀近くにも渡る永い歴史を持ち、様々なアコースティックギターブランドの中でも群を抜いてトップに君臨するMartin社。その極上のマーティンサウンドに魅せられたミュージシャンは数知れず、非常に高い人気はもはや不動のものとなっております。

ドレッドノートスタイルの歴史としては、1929年にアトランタで活躍していたバンジョープレイヤーであるペリー・ベクテルに14Fボディジョイントのフラットトップギターのオーダーを受け、000（トリプルオー）スタイルのOMが誕生し、その翌々年1931年にマホガニースペックのD-18、ローズスペックのD-28が誕生しました。MODEL【OM】は、MODEL【000】のボディーにMODEL【D】と同じロングスケールのネックをマウントし、かつ指盤幅を広くしている独特のスペックで、プロの現場では「最も実用性の高い、腕の良いプレーヤー向けのモデル」と評されています。

今回ご紹介させて頂くのは、その伝統的なOMスタイルをベースに、1800年代後半から始まるロマンチックや、フォーク、中世の装飾で飾られた、アーツ・アンド・クラフツ運動に敬意を表して世界100本限定にて製作されたOM-Arts & Crafts-2018モデル。新品定価185万円+税と非常に高額ながら、それも頷けるMartin Custom Shopの真髄を感じさせてくれる唯一無二の特別なモデルになります。

まずその他とは完全に一線を画すスペックからご案内させて頂くと、オーケストラモデルＯＭスタイルのボディサイズに、ボディトップにはアコースティックギターのトップ材の最高峰となるアディロンダックスプルースが採用されますが、見てすぐ分かる程の特有の幅広い杢目と横方向には角度によってフィギュアドライクなギラつきを魅せる最高峰の材がセレクトされております。もちろんこちらは2015年から採用された、マーティン社の技術の結晶とも言えるVTS（ヴィンテージトーンシステム）を採用。完全なるヴィンテージトーンの復刻にはこのVTSが欠かせないと言っても過言では無い最新技術の結晶ともいえる仕様ですが、こちらは熟練されたビルダーと長年に渡りヴィンテージマーティンサウンドを研究するチームによって開発された、熱化学を利用した高温処理となります。これをオリジナルのヴィンテージと細胞単位で比較し完全に再現することに成功しました。その他VTSの拘りとして、フィニッシュには機械を使用せずに、ハンドポリッシングのみで仕上げられたツヤを抑えながらも高級感のある光沢をもつヴィンテージグロスフィニッシュも見た目のルックスだけでなくサウンドにも影響を与えております。続いてボディサイド＆バックには、長年アコースティックギターを見てきた人でも、思わず”見たことが無い”と言ってしまう程の超極上のジャーマン・ホワイトオーク材が採用されており、サイド＆バック共に強烈過ぎるフィギュアドがビッシリと入っております。ネックにも”本物”を意味するジュニュイン・マホガニーが採用され、こちらも3Dに杢目を変化させるフィギュアドが浮かぶ素晴らしい材となっております。加えて指板、ブリッジ、ヘッドプレートにはポストハカランダの代名詞的存在となるグァテマラン・ローズウッドを採用。指板＆ブリッジには非常に色濃いコントラストの材を、ヘッドプレートは明るい色合いに強い黒の杢目が走るクラシカルな材を採用と分けられております。そして本モデルの贅沢極まり無いスペックとなる一番の特徴として、ウッドワークのフルバウンド仕様に加えて40番台を遥かに上回る豪華絢爛なインレイワークが施されます。ボディトップは鮮やかな発色を持つアバロンにてパーフリング、その他は異なる輝きを放つパールとグリーンステインウッドの組み合わせにて、カスタムデザインロゼッタ、ダブルラインパーフリングのヘッド＆指板にはArts & Craftsデザインのインレイワーク、バックストライプやブリッジ、ネックヒールにもカスタムインレイを、ピックガードは指板同様のグァテマラン・ローズウッドが埋め込み加工＆Arts & Craftsデザインのインレイを、ブリッジピンもアバロンドットが入ります。更に本モデルが特別だと感じさせる点として、ボディ内部にはブランド名・モデル名と併せてクリス・マーティン4世のサインが彫刻されたプレートラベルが採用されております。その他としては、スキャロップドXブレーシング、ハイパフォーマンステーパーのModified Low Ovalネック、モダンピラミッドスタイルブリッジ、希少なVintage Copperのオープンギアチューナー、サドルタンカラーサイド＆バック＆ネック、細部スペックとしては25.4”（≒645mm）スケール、1 3/4”（≒44.45mm）ナット幅、ジョイント接着はもちろんニカワ（ハイドグルー）となっております。

そして気になるサウンドですが、本当に軽いストロークひとつで感動を覚える、驚愕の鳴りに思わず身震いしてしまいます。小振りなボディサイズから放たれているとは思えないサイズを無視したボリュームもそうですが、良いヴィンテージを弾いたときと同じ、深みのある枯れたニュアンスはMartinというブランドを更に好きになってしまう素晴らしいトーンとなっております。高域は色気があり艶やかで煌びやかな美しい輪郭を描き、中域は前にズンと飛び出すヴィンテージマーチンらしい図太く芯のあるトーン、そして若干遅れてくる低域はサウンド全体を覆いこむような甘くふくよかなアコースティックならではの広がりを感じさせます。サウンド系統としてはPre-War期のOM-45を彷彿させるニュアンスを持ち、アディロンしい反発力のあるコシの強さを持ち、重厚で基音がしっかりと太く、綺麗に重なってくる、非常に分厚い倍音感を感じます。ローズ系とは若干異なりながらもハカランダライクな懐の深い音の深み、強いタッチでも余裕のあるレンジ、弱いタッチでも艶が失われない美しい音色。粒立ちのキラキラしたクリスタルなトーンと、語りかけてくるようなロングサスティーンは見事としか言いようがありません。この1本でオーケーストラを奏でるかのような立体的なサウンドを持ち、聞き手だけでなく弾き手までをも魅了してくれる最高の一本となっております。

最後に状態としては、5年前の製作品とは思えない非常に良好なコンディションをキープしており、かなり神経質に見ればボディトップ上部（1弦脇）に光にかざすと見える浅い当てスレ、ピックガード上に数本の薄いスクラッチが見受けられる程度で、特筆したダメージは無く、フレットも僅かな部分減り程度の8～9部山程残っており、総合的に見てニアミントと呼ぶに相応しい極上美品となっております。演奏面としてもネックコンディションは良好でトラスロッドの余裕もしっかりと残っております。ケースも高級感のあるオリジナルハードケースが付属致します。