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  • デジマート群像 第2回

高崎晃 〜世界のTAKASAKI流、楽器探しの楽しみ方〜

  • 文:取材:西沢フミタカ 撮影:星野俊(※は高崎氏が自ら撮影)
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楽器の“買いもの”をテーマに、プロ・ミュージシャンの横顔に迫っていくインタビュー連載、“デジマート群像”。第2回目は世界を舞台に活躍するラウドネスのギタリスト、高崎晃さんに登場いただきます。かなりの頻度でデジマートを利用しているという高崎さんならではのデジマートの使い方、そして具体的にどのような楽器を購入しているのか? さらにはアメリカで楽器を買いまくっていたという80年代の話などをお聞きしました。

毎日のように段ボール箱が届いて、邪魔だって嫁に怒られるくらい

デジマートご愛用ありがとうございます。早速ですが、どのくらいの頻度でご覧になっていますか?

「かなり愛用させてもらってますよ。パソコンを開いたら一日一回は必ず見ていますね」

具体的にはどのような感じでお使いでしょうか?

「まずは自分のお気に入りの楽器店をウォッチリストに入れています。楽器店だけでなく気になった楽器、ギターだけでなくドラムのパーツだったり、アンプ、べース、なんでもなんですけど、どんどんウォッチリストに入れていって。“まだ残っているな”とか“セールやりだしたな”とか、いろいろと見ながら的を絞って、これは今買っておいた方がいいなというものを買うようにしているんですよ」

実際にデジマート上の製品を購入されるときには、どんな手順で?

「デジマートの注文機能をよく使っていますね。あとから問い合わせをしていると名前が出てしまうんで、びっくりした楽器店から電話がかかってくることもありますね(笑)」

ご愛用いただきありがとうございます(笑)。

「毎日のように段ボール箱が届いて、邪魔だって嫁に怒られるんですよ(笑)。昨日久々にデジマートの購入履歴を見てみたら、けっこう買ってるなと。僕は新品を買うというよりは中古だったりビンテージ系が多くて、大阪に戻って5〜6年になるんだけど、大阪の家だけでギターの本数が50本を越えてるんで、この家にある楽器はけっこうデジマート経由で買ってますね」

ジャパン・ビンテージ──ギターを始めた当時の楽器たち

デジマートでは、ジャパン・ビンテージなどを多く買ってらっしゃるとか?

「そうですね。特に60年代後半の国産アンプはデジマートがなければ見つけられなかった。日本のどこにそのアンプがあるかなんてわからないしね。三重県に一件すごいお店があって……。そこに限らずマニアックだと思うお店は全部、ウォッチリストに入れてあるんですよ。スネークスキンのFender Champ12(写真左)なんて、こんな仕様があるなんて知らなかったし、最初はカスタムされたものだと思っていたんだけど、この仕様が当時あったらしいんですよ。Musicmaster Bass Amp(写真中央)もフェンダーが通販をやっていた時代に売られていたビギナー向けのベースのアンプらしいんですけど、ギター用にすごくいい。ボリュームとトーンしかないんだけど、真空管のアンプやし、エフェクトで音を作るとしたら、素直でいいんだよね。マーシャルBluesbreaker(写真右)もキレイで良いものを安く手に入れてね。買ってすぐにスタジオに運びこんでレコーディングしたくらいだから」

高崎さんがデジマート経由で購入したアンプ。左からFender Champ12、Fender Musicmaster Bass、Marshall 1962 "Bluesbreaker" (※)

ギターはどうでしょう?

グレコのLPはスタンダードなのかカスタムなのか、わからないような仕様で……。確かこれは成毛滋モデルとして売られていたはずなんだけど、成毛さんの意見は入ってないらしいって何かで読んだことがある。このギターじゃないけど、当時、成毛さんのカセットと教則本が付いてるグレコのギターがあって、それもデジマートで探して買ったことがありますよ」

デジマートで購入したというグレコLP-TYPE(※)

ジャパン・ビンテージと言えば、高崎さんがギターを始めた頃の楽器ですよね?

「そう、僕がギター始めたときに手にしたのがグレコのSGモデルでね。やっぱり自分がギターを手にした当時の楽器ってどうだったんだろう?って改めて思ってね。その時代の国産のモデルはSTもLPもかなり買いました。アンプも、昔使っていたモデルに近いものや当時試せなかったアンプをどこかに行って試奏するよりは、まずデジマートで買ってしまって、家で試すんです。で、気に入らなかったら近所の楽器屋に売りさばく。そんな感じですね」

最近購入されたもので、印象深い楽器はありますか?

「ブランドどうこうよりも、楽器として素晴らしいものが昔のマツモク製なんかにあるんです。めっちゃ職人気質みたいなものが出ている。例えばベースなんですけど、グレコのフライングVベース。ギブソンがまだフライングVベースを出す前、グレコがフライングVのベースだったらこんな感じであろうとイメージして出していたらしいんですよ。これがまた職人気質を感じさせる1本で。今作ったら60万円くらい取らないと割合わないとちゃうのか?っていうのが、デジマート経由で見つかって買いましたね」

以前からそのモデルを探していたのでしょうか?

「いや、デジマートで初めて見つけたんです。すごくキレイな状態で、どうやって保管してたんだって驚きましたよ」

1958年のレス・ポールはレイジーの『宇宙船地球号』の印税で買いました

高崎さんがギターを始めた頃はどのように楽器を手に入れていたのでしょうか?

「始めたのが小学生だったんで、楽器屋にはあまり行けなくて。僕の兄貴が(レッド)ツェッペリンのコピー・バンドをやっていたんで、兄貴の友達から譲ってもらったりでしたね」

ご自身でで楽器を買えるようになってからは?

「新品の楽器は、それこそギブソンの白のフライングVを、17歳くらいのときに新宿のミュージックランドKEYで買ったのが最初くらい。それまでは中古のギターばっかりでしたね。フェンダーのストラトキャスターもギブソンのレス・ポール・カスタムも楽器屋で中古を見て、これいいなぁって買ってたんですよ」

ギブソンのフライングVを購入したときのエピソードはありますか?

「当時、マイケル・シェンカーが好きで、このギターを持ったらあの音がするのかなって興味があって。それで試しに使ってみようと思って手に入れましたね」

当時はどのくらいの値段だったんですか?

「27万円くらいだったんじゃないかな。お店と仲良くさせてもらってたんで限界まで引いてくれましたよ。それこそ近くの新宿厚生年金会館でライブがあるときには、マーシャルの壁を作ってくれたりとかね。いろいろと協力もしてくれました」

ライブやレコーディングなどで海外に行かれたときに、現地の楽器店に足を運んだりは?

「80年代は、行きまくりましたね。特にロサンゼルス、ギターセンターもそうやけどギターザラス、ボルテージギター、あの辺りは死ぬほど行って。そこではフェンダー、ギブソンの今で言ったらビンテージですね。80年代半ばから90年代初頭くらいまではライブで行く度に、5本くらい持ち帰っていました。その頃は今の1/8くらいの値段だった。ちょっと前にギターセンターに行ってびっくりしましたよ。モノによっては当時の10倍くらいの値段になっているのもあって」

今でも当時、購入されたビンテージはお持ちですか?

「売ってしまったのは2〜3本くらいで、あとは持っているよ。僕の周りにはマック安田さんとか、当時からビンテージ・ギター好きがいっぱいいて、これは将来絶対いいよ(価値が上がる)って言われていたから」

マックさんと一緒にギターを買いに行くことも?

「マックさんはあの頃、ロールスロイスのコンバーチブルに乗っていて、いろいろなところに連れて行ってもらっていました(笑)。僕が最初に“ビンテージ”と言われるものを手に入れたのはマックさんからだったかな? いや、確か、世良(公則)さんが愛用していた58年製レス・ポールを松浦(善博)さん経由で買い手を探しているというのを聞いて、レイジーの『宇宙船地球号』の印税で買いました(笑)。次に82年くらいに山本恭司さんと一緒にいたときに、当時ヤングギターでライターをされていた斎藤節夫さんから、それもマックさん経由だったと思うんだけど、赤ラメの64年製ストラト、ラメがフレーク状に入ったちょっとワインレッドっぽいね……」

赤ラメですか?

「売る側が、そんな色を見たことがないから改造もんやってことで30万円以内でいいよって持ってきはって。恭司さんは買わなかったんだけど、僕は変わった色だし買っとくわって。あとでノーマン・ハリスのコレクションの中に同じ仕様のブルーのものを見つかって、それはオリジナル・フィニッシュだってわかって。当時、ランダムスターを作ってくれていたESPの大間知氏も僕の赤ラメのストラトを見て、“これはどう見てもリフィニッシュじゃなくてオリジナルだと”。それが合致したときには(僕の中で値段が)10倍くらいに跳ね上がりましたよ(笑)。その頃にはボルテージギターやギターザラスとも仲良くなって、普段は店頭に出していないギターも見せてもらっていました。ジミヘンがウッドストックで使っていたような白で張りメイプルの60年代後半のストラトなんかを2、3本買ったりしてましたよ。あとボルテージギターに虎目バリバリの12弦のレス・ポールがあって、スティーヴィー・ワンダーのバック・バンドのギタリストがそれを予約していたらしいんだけど、店と仲良くしていたんで、そこをキャッシュでなんとかしてくれって譲ってもらったりね。スラッシュも同じような12弦のレス・ポールを持っているんだけど、僕のロットのものより後のギターで、僕のロットは世界で3本しかないらしいね」

僕に目を付けられたら終わりやね(笑)

エフェクターの購入頻度も高いのでしょうか?

「そうですね。このグヤトーンのオーバードライブPS-005は、デジマートで買ったもので1年くらい前まで、ツアー用のボードに入れて使っていたんです。これは80年代にもかなり愛用していて、意外とロー・ノイズで音のコシも残って、ピッキングの強弱もちゃんと伝えてくれるんです。ラウドネスのライブでもかなり活躍していたんだけど、気がついたらどこにあるかわからなくなっていて……。あるかなと思ってデジマートで探して買ったんです。相模原のクラッシュエッグレコーズだったかな。あの店はそういうコアなものが多いよね。あとは今日は大きくて持ってこれなかったんだけど、ローランドのテープエコーRE-150のすごいキレイなのが見つかって。それは『Eve to Dawn』のレコーディングで使ったね。ローランドはDC-50っていうデジタル・コーラスもあるんですよ。中身は思いっきりアナログのデカいやつだけど(笑)、それもデジマートで買いました」

なり(デジマートに出店している)お店の特徴も掴んでいらっしゃいますね。

「もちろん掴んでますよ。細かいエフェクターだったらどこの店がいいとか、わかってるんでね。このエレハモ(Electro-Harmonix)のドクターQはちょっと古いんだけど、キレイでしょ? 70年代くらいの製造なんだけど、届いたときはもっとキレイだったんだよ。新品はもちろんいつでも手に入るんですけど、当時のドクターQがどんな音なのか気になっていたんで買いました。エレハモはかなりコレクションしていますね」

エレハモ・ドクターQ(左)と80年代中期にラウドネスのライブで活躍したグヤトーン・オーバードライブPS-005(右)。


取材時に撮影させていただいたペダル群。インタビュー中のグヤトーン・ペダルも一時期この中に組み込まれていた。

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CAT's Factory AT-222 Akira Takasaki Signature Pedal

 写真のペダルボードにも組み込まれている国産ハンドメイド・エフェクター・ブランド“CAT's Factory”の高崎晃シグネチャー・ペダルAT-222。サウンドに太さと張り、音圧を与えるシンプルなクリーン・ブースターだ。切り替えスイッチによりミッドが強めのRegularモードと、よりラウドなLoudnessモードにサウンド・キャラクターを変更することができる。筐体のライジングサンのブリントやマーシャル・アンプと同じノブを使用したコントロール部など、ルックス面にも抜かりがない。限定300台。

―そういったレアものを、実は高崎さんが買い占めていたわけですね。

「僕に目を付けられたら終わりやね(笑)。新宿の102っていうコアな楽器屋で、ジミヘンのサイケデリック・ペイントをしたフライングVをデジマート経由で買ったときは、お店が16時から開店なんだけど、(東京へ向かう新幹線の中で)すこし前くらいからiPhoneをスタンバイしてたしね。めちゃ狙ってるよ。定価は100万円越えてたと思うけど、かなり安くなってて、ストラップや証明書も全部付いていて、ケースの中の色までスペシャルなギターやね」

デジマート・ヘヴィ・ユーザーと認定させていただきます(笑)。

「それで儲けたりはしてませんけどね(笑)。自分のパソコンのブックマークバーにもTwitterの次くらいにバシッと入れて、常にチェックしています」

年代に関係なく、コピーものでも良いと思う楽器は大事にすると語る高崎さん。

デジマートは僕の楽器探しのすべて

読者の中にはギター本体を通販で買うことに抵抗がある人も多いのですが、高崎さんからアドバイスをお願いします。

「本来はそうですよね。僕の場合は、できるだけ信頼のおけるお店を探したり、そんなに高いものでなければとりあえず買ってみる。自分に合っていなければ、売ってもいいですし、勉強ですね。ギターなら材は何か、それとフレットがどのくらい残っているかをチェックします。フレットは減り過ぎてたらベンドするときにやり難いので打ち直さなくちゃいけないし、その辺りを覚悟して買うかどうかだね。送られてきたギターをそのまま弾くのであればフレットの残量をチェックした方がいい。あとは質量は気にした方がいいね、重いのが好きな人は重いのを狙ったらいいけど、僕は軽めの方が好きなのでストラトやったら3.4kgくらい、レス・ポールなら3.7kgくらいまでのものって決めているんだ」

勉強になります。それでは、今現在狙っている楽器はありますか?

「フェンダーの古いアンプで気になるのがありますよ。買うかどうか迷ってるけど、そろそろセールするんちゃうかなって。長いこと残ってるんでそろそろだろうって(笑)」

長い間、楽器に囲まれながら第一線で活躍し続けているわけですが、楽器を探すことに飽きたりはしないのでしょうか?

「ないですね。たぶんギターだけやっていたら飽きるんだろうけど、僕の場合はドラムも叩くし、ベースもやる。録音もするので、探すものが多いんでね。仕事っていうよりは好きで楽しみながらやっている感じですよ」

大変にベタな質問で恐縮ですが、高崎さんにとってデジマートとは?

「僕の楽器探しのすべてです(笑)」

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Killer KG-PRIME Signature 2014 ver.

 トップ写真で本人が抱えているメイン・ギター、Killerのシグネチャー・モデルの2014年バージョン。ボディ材をホワイト・アッシュからライト・アッシュに変更することにより、ミッド・レンジが強調されたトーンに。ネック・シェイプを限定生産品のプライム・バースアックス222と同じ形状にする他、蓄光サイド・ポジションを採用するなど高崎本人の声が反映された、プロならではの仕様となっている。


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プロフィール

高崎晃
1961年、大阪府生まれ。日本が世界に誇るヘヴィメタル・バンド、ラウドネスのギタリスト。1977年にレイジーのギタリストとしてデビューしたのち、81年にラウドネスを結成、圧倒的なギター・テクニックで国内外のシーンで高い評価を受けるギター・レジェンド。ギターの他にもベースやドラムなどもこなすマルチ・プレイヤーでもある。ラウドネスの新作は、6月にリリースされた『ザ・サン・ウィル・ライズ・アゲイン~撃魂霊刀』(写真)。

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