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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第20回

日本限定のレス・ポール・カスタムを徹底チェック!

Gibson Custom Shop / Les Paul Custom VOS Antique Ebony

  • 文:井戸沼尚也
  • 映像編集:熊谷和樹

ギブソン・カスタムから、現行のレス・ポール・カスタムをよりビンテージ・スタイルに近づけた日本限定モデルが発表されました。見た目はもちろん、音に関わる仕様も変更されている要注目のモデルを徹底的にチェックします。

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レス・ポール・カスタムの特徴

 漆黒のボディに輝くゴールド・パーツ、ヘッドに刻まれたスプリット・ダイヤモンド・インレイ。レス・ポール・カスタムは“ブラック・ビューティー”と称されるゴージャスなルックスが特徴で、サウンド面でもスタンダードとは異なる個性を持っているため「スタンダードよりカスタムが好き」という熱心なファンも少なくありません。

 オリジナルの初代レス・ポール・カスタムは1954年に誕生しました。オール・マホガニー・ボディに、アルニコⅤ(フロント)とP-90(リア)を搭載し、“フレットレス・ワンダー”と異名をとるほど低いフレットを採用した同モデルは、ジャズのギタリストをターゲットにしていたと考えられます。その後、仕様変更と生産中止を経て1968年に再生産。その時の仕様──ボディ・トップにはメイプルを貼り、ハムバッカー・ピックアップを搭載したモデルは、同年のスタンダードがP-90搭載器だったこともあり、現在でも人気となっています。近年では“50年代のレス・ポールのような材と作り”、“この時期のカスタムならではのサウンド”が人気に拍車をかけ、ビンテージ・ギターとしての価値が上がり続けています。

 今回の日本限定レス・ポール・カスタムは、通常のカスタムに比べるとビンテージ色が濃く、1968年のカスタムを彷彿とさせる内容になっています。まず、通常のカスタムに搭載されているピックアップ490Rと498Tは、2基のアルニコ3マグネットのカスタムバッカーに変更されています。また、最新ヒストリック仕様でお馴染みのチューブレス・トラスロッド、ロング・スタッドのテイルピース等を採用。さらに通常品の幅広のチューン“オー”マティック・ブリッジが細身のABR-1に変更され、ギターの“顔”が引き締まったような印象です。コンデンサーにはバンブルビーを搭載し、本器のサウンド作りに貢献しています。

 材は、中空加工のないノン・ウエイト・リリーフ仕様の厳選されたマホガニーとハード・メイプル2ピースのトップのボディ、マホガニー1ピースのネック、リッチライトの指板が採用され、しっかりとした鳴りを生み出します。ルックス面でも、焼けた色合いのバインディング、少しマットな光沢を放つボディ、弾きこまれた感じのピックガードやピックアップ・カバー等、ビンテージ感の強い外観が特徴です。

 それではサウンドを動画でチェックしていきましょう。

使用アンプ:マーシャルJVM210H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable

レス・ポール・カスタムのサウンド

 まずはピックアップ・セレクターをセンターにして、クリアなトーンでアルペジオを弾いてみました。低域のダブつきが全くなく、高域はキラキラと輝くような音がアンプに直結するだけで出せます。クリーンのままでフロントを選ぶと、ジャズやブルースに最適な甘く深みのある音が簡単に出せました。“甘い”と言っても本器は適度な高域を持っているせいか、音の立ち上がり・抜けが良いのが印象的です。リアのクリーンの音は指やピック、弾き方に対する反応が非常に良く、これだけでも色々なサウンドが作れそうだと感じました。

 今度は、リアの音を歪ませてみます。かなり深く歪ませても音がぼやけることなくエッジが立っていて、6弦の開放なども潰れません。このあたりに、ハードロックやメタル系のプレイヤーがカスタムを好む理由があるのでしょう。ミッド・レンジは非常に濃密で、どこか“ワウ半止め”のようなニュアンスがありますが、不自然さはまったくありません。一方で驚いたのはフロントのトーン。これだけ深く歪ませて、これだけ抜けのいいハムバッカー搭載機というのは、ちょっと記憶にないくらいです。

 プレイアビリティについても触れておきましょう。ネックの厚み・太さ等は違和感なくスッと握れるグリップで、フレットも特に低いものではありません。チョーキングを多用する人でも問題なく弾けるでしょう。それと手にした瞬間に感じたことは“重くない!”ということ。どうしても重い個体が多いイメージのカスタムですが、本器は全くそれを感じさせませんでした。ノン・ウエイト・リリーフであることを考えると、相当厳選された材が使われているのだろうと思います。“渋ゴージャス”な見た目と、パワフルで抜けの良いサウンドを合わせ持つ、ロックな1本。カスタム・ファンはもちろん、カスタム未経験者も要チェックです。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは10月10日(金)を予定。

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製品情報

Gibson Custom Shop / Les Paul Custom VOS Antique Ebony

価格:¥534,000 (税別)

【スペック】
■ボディ材:メイプル・トップ/マホガニー・バック ■指板材:リッチライト ■ネック材:マホガニー ■ピックアップ:カスタムバッカー×2 ■付属品:ハードケース、保証書 ■カラー:アンティーク・エボニー(写真)、クラシック・ホワイト ■その他:ニッケル・ハードウェア、オープン・ハムバッカ―仕様も同価にてラインナップ
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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