ヘッドウェイ/桜モデル10th Anniversary〜四季折々のストーリー|夏
- 2024/05/09
VOX / AC4C1-12
4W出力のVOX AC4C1は、数あるVOXチューブ・アンプの中でも最も小型で、家庭用チューブ・アンプとして人気の高いモデル。従来のモデルは10インチ・スピーカーを搭載していたが、12インチのセレッション製スピーカーを搭載し、よりリッチなサウンドを楽しめるのが、このAC4C1-12だ。
早速、サウンドをチェックしてみる。まずはゲインを下げ目のクリーン・トーン。コントロールはゲイン、ベース、トレブル、ボリュームの4つだけなので、音作りに迷うことはない。基本的なサウンドはVOXらしい、グラッシーでキレのいいトレブルを持つトーンなので、ストラトだと少しトレブル・コントロールを控えめにして、ちょうどいい感じ。
キャビネット自体がとても軽量かつ小型なので、スピーカーを12インチにしたからといって地鳴りのようなローが出るわけではない。ただし、12インチの良さは、しっかりと感じられた。小型のキャビネット、小型のスピーカーの場合、どうしてもレンジが狭く、マスキングしたようなサウンドになりがちだ(小型アンプらしくて、それを好む人もいるので一概に悪いとは言えない)。本機の場合は、ギターのサウンドを自然な形で再生し、さらにリッチな艶を加えてくれる。この点は、明らかに12インチ採用の効果だろう。
ゲインを上げれば、かなりしっかりと歪む。私の場合はゲインをフルにしなくても十分楽しめたが、まだまだ余裕がある感じ。もちろんボリュームを絞れば低出力でクラシックなVOXのディストーション・サウンドを楽しめる。伝統的なダイヤモンド・グリル・クロスが採用されている点も、VOXファンには嬉しいところ。自宅での練習や録音に、あると嬉しい小型チューブ・アンプだ。
価格:¥45,000 (税別)
井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。
◎井戸沼尚也HP 『ありがとう ギター』