ゼマイティスのギターと言えば、煌びやかな装飾を身に纏った美しい外見が、まずイメージできると思う。もちろん、その装飾は単に「飾り」としてだけではなく、トーンにも大きく影響している。メタル・フロントをはじめ、アルミの硬質で独特な音色はエレクトリック・ギターのサウンドにおいても存在感を放ち、一聴して「ゼマイティスの音だ」とわかるくらい強烈だ。

　今回ご紹介するA24SU FLAREは上記したメタル・フロントではないが、その個性は尋常ではない。エッジの立ったフラットなボディやアルミ素材のピックアップ・エスカッション、そしてテイルピースとブリッジが音の立ち上がりと倍音に大きく貢献している。シンプルなマホガニー・ベースのボディとネックだが、そのイメージを覆す派手な鳴り感。ボディ・トップとバックには美しいキルト・メイプルがラミネートされ、見た目の美しさもさる事ながら、アタックを抑えてサステインを生み出している。

　ピックアップはゼマイティスのドラゴン・クラシックを搭載。パワー感とレンジのバランスが良く、アンプ直のサウンドはクリアな印象。エフェクター乗りも良いので、ペダル側で音色を作り込みたいというギタリストにもフレンドリーだと思う。少しレンジがシャープなディストーション等とも相性が良いだろう。ギター自体の響きはミッド・レンジを中心に広がりがあり、ストレート。やはり、ロックなサウンドにフィットする。シンプルがゆえに弾き手の個性が出てくるので「弾き倒す」ぐらいの意識がないとギターに負けてしまうかもしれない。手強いギターではあるが、ぜひ力強いプレイでその音色を自分のモノにして欲しい。

※使用アンプ：Fender '68 Custom Deluxe Reverb

ボディ・トップと同じフレア・カラーのキルト・メイプルが貼られたヘッド。エンブレムやトラスロッド・カバーにはゼマイティスならではの彫金が施されている。

マホガニー・ネックにローズウッド指板。ポジション・マークはドットだが、12フレット部分のひし形がゼマイティスらしいアクセントになっている。

ピックアップはパワー感とレンジのバランスに優れたドラゴン・クラシックを前後にマウント。

キルト・メイプル・トップの外周に埋めこまれたインレイが美しい。

コントロールはシンプルな2ボリューム、2トーン。

ゼマイティス・ギターであることを主張するアルミ（ジュラルミン）製のブリッジ＆テイルピース。トーンにも大きな影響を与えている。

ZEMAITIS / A24SU FLARE