レジェンダリーなテープ・エコーであるマエストロのエコープレックスEP-3のエコー・サウンドをシミュレートした、Catalinbread（カタリンブレッド）のBelle Epoch（ベルエポック）。マエストロのEP-3と言えばジミー・ペイジやエディ・ヴァン・へイレンも愛用した、テープ・エコーの文字通り「マエストロ」的な存在。そのディレイ・サウンドは太く、しかしながらスッキリとしたロー・レンジが特徴的で、特に真空管搭載のEP-1/EP-2に続いて登場したトランジスタ・タイプのEP-3は、それまでのEPシリーズに比べてロー・ノイズだという事もあり、当時瞬く間に多くのミュージシャンやレコーディング・スタジオ等に採用されたという。

　Belle EpochはそのEP-3の特性をコンパクトなケースに余す事無く詰め込んだ画期的なエコー・ペダルだ。EP-3と同じオーディオパスとミキサーを実装しており、ディレイのサウンドはデジタルだが、本物のエコープレックスのサウンドとレスポンスにできる限り近づけられている。さらにEP-3と同じゲインを持つ、オール・ディスクリート・プリアンプで組み上げられており、ダイレクト・ギター・シグナルはこのプリアンプだけを通る。バッファー・ステージやオペアンプは一切通らないというこだわりようだ。ディレイ・タイムもオリジナルEP-3と同じ80~800ms。これでビンテージ機と同じ使い方ができ、ショート・ディレイ・スラップバック・サウンドからブライアン・メイの様にロング・ディレイを上手く使った多重奏的なプレイまでを再現できる。

　また、ECHO DELAYコントロールには、オリジナルのスライダー式コントロールと同様の「ラグ」を設けており、ツマミを一気に動かすと、ひと足遅れてディレイ・タイムが変わるというEP-3と同じ動作を見事に再現している。オリジナル機を試した事のある方は、実際にテープの上をヘッドが動いているような感覚でプレイできるだろう。今回もサウンドよりもまずはその操作性に驚いてしまった。このトルク感が素晴らしく、デジタルでありながらアナログ的な操作性が最高だ。音色もなるほどEP-3を連想させるもので、独特の浮遊感とレンジ感が心地良い。発振音も格好良く、思わずテルミンを持ち出したくなる。また、上記したブライアン・メイ的な一人多重演奏を行うとわかるが、音の残り方が非常に良いと感じた。

　このサイズでこの音色。ぜひともボードに加えて頂きたいトーンとパフォーマンスを持った優秀なペダルだ。

※使用アンプ：Fender '68 Custom Deluxe Reverb

※使用ギター：Crews Maniac Sound / solution HDS

Catalinbread / Belle Epoch