ヘッドウェイ/桜モデル10th Anniversary〜四季折々のストーリー|夏
- 2024/05/09
NINEVOLT PEDALS / RELAXING WALRUS DELAY
シンプルでコンパクトなディレイ。簡単に言ってしまえばそれまでなのだが、このNINEVOLT PEDALS / RELAXING WALRUS DELAYはかなり良く出来たアナログ・テイストが得られるのがポイントだ。
アナログ・ディレイはパーツのサイズやサーキット・デザイン的にコンパクトな筐体に収める事が難しく、またそれが音色にも影響する。昨今のペダルボードは“バブル期”を過ぎ、出来るだけコンパクトに収めたい! と考えるプレイヤーがほとんどだろう。スモール・サイズの筐体にまとめながら、往年のアナログ・ディレイ・サウンドを上手く再現しているこのペダルは、そんなトレンドにも合っていると言える。 ディレイ・サウンド(返りの音色)も、なかなか良い感じの「細さ」がある。よく、アナログ・ディレイは「音が太い」というが、実際はあまり音が太いとモコモコしてしまい、特定の音楽にしか使用できないケースが多くなってしまう。このディレイはそのあたりのバランスがよく取れており、基本的にはデジタル・ディレイだが、実用的なアナログ感があるという印象だ。
さらにフィードバックを上げていき、発振させた時のニュアンスも「それっぽい」ので、音楽的なディレイとしても使いやすい。今、愛用しているディレイにもう1台、このRELAXING WALRUS DELAYを加えてみても良いだろうし、もちろんメイン・ディレイとしても十分に通用する実力を持っている。個人的にはショート/ダブリング用にこのディレイを、ロング用にデジタルやその他のディレイを使用する方法や、このペダルを発振用にしても面白いと思った。
それと、忘れてはいけないのがコストパフォーマンスの高さ。良質なディレイ・サウンドがこの価格で手に入るというのも嬉しいことだ。動画でその実力をチェックしてみて欲しい。
※使用アンプ:VHT / PITTBULL FIFTY/TWELVE COMBO(C-5034-L)
※使用ギター:Crews Maniac Sound / VEGAS V2.
価格:オープン
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。