使用アンプ：マーシャルJVM410H（ヘッド）＋1960A（キャビネット）
使用シールド：ギブソンInstrument Cable

小柄な日本人でも弾きやすいジャズ・ギター、ES-275

　数多くの歴史的名器を世に送り出してきたギブソンは、過去に甘んじることなく常に新しいニーズに対して耳を傾けています。ES-275は、そんなギブソンの姿勢が結実した新しいタイプのフル・アコースティックのジャズ・ギターです。以前、ギブソン・メンフィスのスタッフが来日した際に、楽器店からの要望として「日本には若くて優秀なジャズ・プレイヤーが多いが、彼らにはL-5やL-4は大き過ぎる」という話を聞きました。その時に“フィンガーピッキングも使うような柔軟なプレイヤーが立っても座っても使いやすく、かつギブソンらしさを失わないギター”という開発のコンセプトが出来上がったと言います（実は、その時に想定された日本人ギタリストの筆頭は小沼ようすけ氏でした。小沼氏自身はそのことを最近まで知らずに、ES-275の発表当初からの愛用者となっています）。

　こうして開発されたES-275は、トラディショナルなL-5をベースにしたフル・アコースティック構造ながら、取り回しが良くフィット感に優れたES-335のような薄型ボディを採用。そこに59レス・ポールのシェイプを持つネックをセットして演奏性を高めた、新機軸と言えるギターに仕上がっています。

上位機種の証となるスプリット・ダイヤモンド・インレイ

モデル名のとおり美しいフィギュアード・メイプルが奢られている

ゴールドのジグザグ・テイルピース

　ES-275には2タイプのモデルがあり、ひとつは今回動画に登場しているサンバーストのES-275 Figured（ナチュラル・フィニッシュもあります）、もうひとつは動画のバックに映っている赤いES-275です。 ES-275 Figuredはフィギュアード・メイプル・トップ&バックにジグザグ・タイプのテイルピースを搭載したモデルで、ヘッドにはスプリット・ダイヤモンド・インレイ、指板には大きなブロック・インレイを持ち、ES-355を思わせるゴージャスなモデルとなっています。一方、ES-275はプレーン・メイプル・トップ&バック、クラウン・ヘッド・インレイ、ダブル・パラレログラム指板インレイ、フェイデッド・チェリー・フィニッシュなど、ES-345を思わせるルックスとなります。

抱き心地、サウンドともに最高の新たな名器

　今回、ES-275 Figuredを弾いてみて真っ先に感じたのは“抱き心地が良い！”ということです。ギターを構えた時に、大き過ぎるギターを持った時の苦しい感じがまったくありません。むしろ抱えた腕の中にすっぽりと収まる感じが心地良く、胸や腹に響く生鳴りの大きさ、美しさに陶然としました。これは家でアンプにつながずに弾いても最高だと思います。

　アンプにつないだ音は、これぞギブソン！　この甘く、太く、翳りのあるトーンは、ジャズの歴史を紡いできたギブソンの遺伝子を受け継いでいなければ絶対に出せません。仕様的にはMHSハムバッカー、ヒストリック・トラスロッドといったところがサウンドに大きく貢献しているのだと思います。動画の撮影時にはラウンドワウンド弦を張っていましたが、これをフラットワウンドにするだけでさらにジャジィなサウンドが、間違いなく出せます。

　平均的な日本人の体型にフィットして弾きやすく、高級感溢れるゴージャスなルックスと上質なサウンドを持つES-275 Figured。これはギブソンが生んだ、新たなジャズ・ギターの名器と言って良いでしょう。

ES-275のさらなる魅力は小沼ようすけ氏の試奏動画にてチェック！

※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは11月18日（金）を予定。