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  • ビンテージ・エフェクター・ファイル Vol.9

ファズ的歪みからハイゲイン・オーバードライブへと変化したMaxonのD&S

Maxon / D&S/D&S OD-801

  • 文:西岡利浩
  • 写真・動画撮影:雨宮透貴

好評「ビンテージ・エフェクター・ファイル」の第9回は、初登場となるMaxon製品を取り上げてみた。BOSSと並ぶ日本を代表するエフェクター・ブランドであり、数多くの製品をリリースしているMaxonだが、ギタリストにとって重要なアイテムは歪みものということで、ディストーション・サスティナー、「D&S」の初代モデルと筐体のデザインを大きく変更した「D&S OD-801」をピックアップし弾き比べてみた。モデル名は共通でも大きく異なるサウンド・キャラクターを楽しんで欲しい。

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Brand History 〜 About Maxon

 Maxonは1966年、長野県に設立された株式会社日伸音波製作所が生産するエフェクター・ブランドです。設立当初は国内販売向けはGRECOブランド、海外輸出けはIBANEZブランドでエフェクターの生産が開始されました。しかし、国内では“GRECO MAKES IT Maxon”という表記のエフェクターの登場後、その表記はMaxonのみとなりました。そしてMaxonブランドから数々のシリーズのエフェクターが発表され現在に至ります。

D&S & OD-801〜その成り立ち

D&S

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 MXRが衝撃的なスタイルで日本に上陸してきたあと、追いつけ追い越せと言わんばかりの勢いで製品をリリースしてきました。さらに入手しやすい価格設定であったため、海外製でとても高価なMXRの代用品の座をいち早く獲得し、瞬く間に日本中に広がりました。最初はGRECOのロゴでしたが、1970年代中盤にはその顔を"Maxon"に統一していました。

 今回はギタリストにとって重要なアイテムはやはり歪みものということで、D&SとD&S OD-801(以下OD-801)をご紹介しましょう。まずD&Sですが、試奏したモデルは、LEDインジケータとDCジャックが追加された後期モデルです。サウンド的には初期モデルとほぼ同等ですが、ツマミの名称が異なります。初期モデルは左より、SUSTAIN.T/BALANCE/TONEで、後期モデルは左より、DISTORTION/TONE/BALANCEになります。発表当時は、歪みの深さというより、SUSTAIN TIMEとして捉えられていたんですね。

 D&Sの名称ですが、当時の広告によると「FAZZとは全く異なる新しいトーンを創り出すディストーション・サスティナー」とあることから、Distortion&Sutainer → D&Sと命名されたようです。一方、OD-801は筐体を大きく変更した、その後のMaxonシリーズの礎と言っても過言ではない進化を遂げるシリーズとなります。

D&S & OD-801〜そのメカニズム

D&S OD-801

D&S OD-801

D&S OD-801

D&S OD-801

D&S OD-801

D&S OD-801

 初代D&Sのデザインはやはり衝撃のコンパクト化を図ったMXRの影響が強いでしょう。エフェクター・ボードを使うことが一般化するのは80年代中期からだった事からも、当時は持ち運びの利便性が最も重要視された結果、大きな支持を得たサイズだったはずです。発売当時のMaxonの広告には”ケースの中にいくつ入るだろうマクソンのアタッチメント達。”とある事からもその意図が伺えます。

 しかし、そこはさすが日本製。外観は似ていても、内部は違います。MXRの基盤が薄いスポンジでくるまれて衝撃やショートから保護していた簡素な組み込み方に対し、Maxonはしっかりと樹脂製のホルダーの中に基盤を収納し、そう簡単にはユーザーが壊さないように考慮されていました。替わってOD-801は内部スペースの容量もグンと上がって部品点数も倍以上、収納できるようになりました。

 また、初代D&Sはフット・スイッチとツマミがほぼ同じ高さであるが故、踏み込んだ際にツマミが動くという演奏中のトラブルがありました。しかし、OD-801ではその問題を回避するために、ツマミ部分とスイッチ部分に段差が設けられた筐体に変更されました。電池の交換も初代タイプが4点のネジを外して交換していたところを、電池ブタを設け、よりスムーズな交換が出来るように変更されました。フット・スイッチも機械式から通称“キャラメル・スイッチ”と呼ばれる銀色の四角い形状に変更されているのも大きな特徴です。

 D&SとOD-801は共にオペアンプは搭載されていません。トランジスタC1815を用い歪みを作っています。クリッピングはシリコン・パーツで行われています。これらがD&S、OD-801の独特な歪みをクリエイトしているのでしょう。OD-801はクリック・ノイズを軽減するように電子式スイッチに変更されています。

D&S & OD-801〜サウンド・インプレッション

 DISTORTION & SUSTAINERからD&Sと命名されているように、発売当時としてはかなり強力に歪んだモデルと思われます。どちらかというと、現在で言うところのディストーションよりファズに近い印象です。但し、一口にファズと言っても“ジー・ジー”、“ビー・ビャー”というファズではなく、サウンドの方向としてはビッグマフ系列に属するでしょう。

 コントロールに関しては、よく設計が練られていてツマミの位置に比例するようにサウンドが変化してくれます。当時の時代背景から推測するに、ハイゲイン・アンプには中々お目にかかれなかった時代ゆえ、クリーンなトランジスタ・アンプを相手に設計されているようです。ジャンルも、ハード・ロックやクロスオーバー、ファンク等が流行していたので、幅広いユーザー層を想定していたのでしょうか、TONEがかなり高域まで出力できるように設計されています。現代のギター・サウンドと比較すると、かなり耳の痛い高域まで再生できます。

 逆に言うと、現代の新しいギター・サウンドをクリエイトするのには向いているような気もします。動画をご覧いただければわかるように、ストローク+歪みにうまくマッチしたサウンドを出せます。リフを多用しない3ピースのバンドなんかにはうまく厚みを持たせられそうですね。

 D&SもOD-801もシングルコイル/ハムバッカー共に相性は良好です。シングルのみでもかなり太い音がします。撮影時に感じたことですが、D&Sはファズの進化形のような歪みという印象でした。それに対しOD-801はもう少し扱いやすい音というか、ハイゲイン・オーバードライブ的な印象でした。どちらも、現代でも十分通用するサウンドです。ただし、音が潰れ過ぎるのをよしとするプレイヤー以外にはブースターとしてはあまりお勧めできません。あくまでもクリーン・アンプとの相性です。若いプレイヤーには新しい発見をしてもらえそうです。初代型のD&Sはリイシューされていて比較的容易に入手できると思いますので、ぜひ自分の耳でお確かめください!

試奏に関して

 サウンドの特色を分かりやすくお伝えするため、シングルコイル・ピックアップ、ハムバッキング・ピックアップのギターと、真空管アンプの代表的なモデルを使用した。

・ギター:SSSピックアップ・モデル、レス・ポール・タイプ
・アンプ:マーシャルJCM2000

動画ではSSSピックアップ・モデル→レス・ポールとギターを変更し、マーシャルをクリーンにセッティングし、試奏を行なった。

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Maxon / D&S

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