Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
Gibson Acoustic / Nick Lucas Custom
今回ご紹介するのは、世界40本限定となるギブソン・アコースティックのニック・ルーカス・カスタムです。マホガニーではなく、エキゾチック・フィギュアード・ローズウッドを配したスモール・ボディ、しかも深胴という個性的なスペックで、落ち着いて深みをたたえたサウンドが魅力的なモデルです。
ニック・ルーカス氏は1920〜30年代にかけて活躍したアメリカのシンガー/ギタリストで、“The Grandfather of the Jazz Guitar”等と称されることもある方です。当時、かなり人気があったようでギブソン・ニック・ルーカス・モデルのオリジナルは、ギブソン・フラットトップ・アコースティック初のアーティスト・モデルとして1928年に発売され、30年代まで何種類かのバリエーションがリリースされています。ボディ・シェイプも初期はロバート・ジョンソンで有名なアーチトップのL-1スタイルで、途中からL-00スタイルへと変わり、ボディ・サイド&バックの材やネック・ジョイントにも様々なバリエーションがあって、“誰もが思い描くニック・ルーカス・モデル像”を見えにくくしているようです。
そんな中、最も有名なニック・ルーカス・モデルはボブ・ディランが1960年代に使用していたギブソン・ニック・ルーカス・スペシャルではないでしょうか。L-00スタイルの13フレット・ジョイント、サイド&バックはローズウッドというニック・ルーカス・スペシャル(ボディは剥ぎナチュラルにピックガードを追加)を抱えた、若き日のボブ・ディランの写真を目にしたことがある人も多いでしょう。今回、ギブソン・アコースティックからリリースされたニック・ルーカス・カスタムは、L-00スタイル、14フレット・ジョイント、ボディ・トップはアディロンダック・スプルースでサイド&バックにエキゾチック・フィギュアード・ローズウッド、ファイアーストライプ・ピックガードにウェバリーのオープンバック・タイプのペグ、レクタンギュラー・ブリッジという、昔ながらのギブソン・アコースティック・ファンにはたまらない仕様/ルックスです。ボディは小振りですが厚みがあって、場所により10.8〜12.3cmもあります。また限定40本のうち、20本を19フレット仕様、20本を20フレット仕様として生産したそうで、今回試奏した個体は20フレット仕様です。
深みのあるサンバーストの色合い、ヘッドや指板に施されたインレイなど、渋さ満点のこのギター、サウンドについては動画でチェックしていきましょう。
使用レコーダー:タスカムDR-44WL
本器を手に取ると、まずボディの厚みが実感できます。ですが、スモール・サイズですから抱えにくいということはなく、むしろ“すっぽりと納まる”ような感覚で構えることができました。サウンドの方はギブソン・アコースティックの特徴であるザキザキ感は少なく、またスモール・ボディ/深胴/ローズウッド材等の要素が複合的に影響して、落ち着いた、深みのある音という印象です。タッチに敏感に反応するので、フィンガーピッカーの方にはとても合うと思います。また、ピックで弾いた時のボリューム感もほど良い感じで、うるさ過ぎるほど鳴るわけではありませんが、スモール・ボディで時に感じる物足りなさはありません。
サイズ感、音質、音量など、あらゆる意味で“家にこんなギターが1本あればなぁ”と夢想してしまいました。ネックやブレイシングの接着にはハイド・グルーが使われているそうで、良質の材と合わせてどのように経年変化していくか、とても楽しみなギターです。ニック・ルーカスやボブ・ディランのファンはもちろん、家でつま弾く良質なギターが欲しい人、他人とは違う個性的なギターを探している人には絶対オススメです。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは2月6日(金)を予定。
価格:¥493,000 (税別)