楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 連載
  • “高音質”で音楽を聴く楽しみを!ハイレゾ入門〜第12回

話題の“ポタアン”で、手軽にハイレゾ再生にチャレンジ!

  • 文:菊池 真平

“ポタアン”という言葉を聞いたことがありますでしょうか? ハイレゾ音源に興味がある方、もしくはヘッドフォン/イヤフォンに興味がある方ならば、ご存知の方も多いと思います。今回のコラムでは、この食べ物のような呼び名の“ポタアン”を取り上げてみたいと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ポタアンとは?

 早速の回答ですが“ポタアン”は、ポータブル・ヘッドフォン・アンプの略称です。スマートフォンや携帯プレーヤー(DAP/デジタル・オーディオ・プレーヤー)に、高性能なヘッドフォン/イヤフォンなどを組み合わせて再生する際には、ぜひとも手に入れたい製品です。これを使わないと、せっかく購入した高価なヘッドフォン/イヤフォンが、その真価を発揮できないかもしれません
 ポタアンは、ヘッドフォンやイヤフォンを駆動するための小型の外部アンプと考えて頂ければ分かりやすいと思います。スマートフォンやDAPなどにヘッドフォン/イヤフォンを挿して使うだけでも、音楽を楽しむことができますが、その際にはスマホやDAPに内蔵されたアンプで増幅されたサウンドになってしまいます。特にスマホは、音楽再生に特化した機器ではないため、様々な回路が小さな筐体の中に納められています。当然、内部で発生するノイズも多くなり、音の再生のために使う回路が入るスペースも限られてきます。また長時間の使用を前提として考えられているため、できるだけ省電力で動くように設計され、高音質の音楽再生は困難です。
 そこで、電源を含めたアンプ部を別にすることで、より高音質な音楽再生を可能するのがポタアンの大きな役割となります。さらに近年では、非常に高価なヘッドフォン/イヤフォンが売られ、それらを鳴らし切るにはアンプ側に大きな駆動力が求められることもあります。その際も、ポタアンがあると幅広いモデルを十分に鳴らしきれるので便利です。まだポタアンを使ったことがない方が使うと、そのサウンドの差にきっと驚かれると思います。

ポタアン戦国時代!

 ギターやベースでは、各ブランドやブティック・メーカーが、一昔前よりも斬新で高品位なエフェクターを競って出し続けていると思います。それと似たような状況が、ポタアンでも起きています。
 各社から音質面だけではなく、趣向を凝らしたポタアンが数多く発売されています。また元々は、アンプの機能しか付いていなかったポタアンが、現在ではUSB DACを内蔵している製品が当たり前となってきました。さらにDSDのネイティブ再生まで行なえる機種も、各社から発売されています。どの製品も、音質、機能、デザインに創意工夫を凝らし、個性に溢れています。ユーザーには嬉しいのですが、まさにポタアン戦国時代といった様相を呈しています。
 現在発売されているポタアンは、かなり幅広く多機能なモデルも多いため、ユーザー側も選択するのがなかなか難しいと思いますが、今回のコラムでは選ぶポイント、お薦めの機種を簡単に紹介したいと思います。

ポタアン選択のポイント

 ポタアン選択のポイントは、大きく分けると2つあります。まずハイレゾ音源再生ができるDAC内蔵のモデルか、純粋なアンプの機能だけを求めるかです。ハイレゾ音源の再生を初めてチャレンジしてみたいと考えている方は、ぜひ前者を購入することをお薦めします。またDSD音源も聴いてみたいと考えている方は、DSD音源の再生に対応したモデルを選んで下さい。さらに聴きたい音源のビット/サンプリング・レートに対応しているかもポイントになります。24bit/192kHzのファイルが聴きたくても、24bit/96kHzまでの対応だと、正しく再生することができないですね。
 次に大きさです。常に持ち運んでの使用を考えている方は、なるべく小さくて軽いモデルを選んだ方が長く愛用できます。ポタアンと言っても、中にはスマホなどよりも一回り以上も大きなモデルが存在します。それを常にポケットなどに入れて使用するのは、なかなか大変です。また意外と盲点なのは、発熱量です。高音質を得るために、使用状況によってはバッテリーをフル稼働させる機種もあります。それ故、ホッカイロ並に温かくなるモデル機種もあり、冬場は良いのですが、夏場は少々こたえます。なかなか見分けは付き辛いのですが、口コミ・サイトなどを参考に選んでみるのもひとつの方法です。
 さらに入出力端子もポイントで、iPod/iPhone、アンドロイド、ウォークマンといった自分が使いたい再生機器に対応した機種を選ぶことも重要です。最初から専用の接続ケーブルが入っているモデルもありますが、中には別途購入が必要な機種もあるため、しっかりと各社のホームページなどで確認してから購入した方が失敗しないでしょう。
 最後に、使っているイヤフォン/ヘッドフォンがバランス接続に対応しているモデルであれば、バランス接続端子が付いた機種を選ぶ方が、それらの機種の性能を引き出して使うことができます。まだ細かに挙げれば、他にもポイントはありますが、以上のような点をふまえて、自分にぴったりなポタアンをみつけてほしいと思います。

ポタアンとスマホなどとの接続について

 ポタアンをPCで使う際には、USBケーブルを用いて接続することが一般的です。しかし、USB端子が付いていないポタアンの場合は、イヤフォンやライン・アウトからの信号をステレオ・ミニ・プラグのケーブルなどを使って接続する必要があります。この点は、スマホなどを接続する際でも同様ですが、この状況で使うと、PC(もしくはスマホ)側のアンプを通り、さらにポタアンのアンプも通ってしまうため、純粋なポタアンの性能が出辛くなってしまいます。
 次にiPod/iPhone、アンドロイドやウォークマンなどとの接続ですが、上記のようにイヤフォン・アウトからの出力を取る方法と、専用のケーブルを用いて接続する方法があります。専用のケーブル(Dockケーブル、Lightningケーブルなど)を使うことによって、内部のアンプをスルーし、音声データのみをポタアン側に送り、増幅することができます。これにより、アンプを2回通ることを避けられるために、純粋にポタアンの魅力を楽しむことができ、より高音質な音楽再生が楽しめます。

オーディオテクニカのポタアンAT-PHA100と、スマホを接続しているイメージ。接続には、ステレオ・ミニのケーブルが使われています。スマホとポタアンは、写真のようにゴム・バンドで止めるのが一般的です。

DSDにも対応したポータブル・ヘッドフォン・アンプ

 DSDを含めたハイレゾ音源も手軽に楽しみたいと考えている読者の方にお薦めなのが、DSDにも対応したポタアンです。各社から趣向を凝らした製品が数多く登場していますが、ここでは比較的新しいモデルに絞り、4機種ご紹介しましょう。

SONY PHA-3

SONY PHA-3 / 価格:オープン(市場実勢価格:93,000円前後)[メーカー製品ページ

 ソニーは、ハイレゾ音源を手軽に再生できる携帯プレーヤー“ウォークマン”をはじめ、ハイレゾに対応した魅力的な製品を数多く生み出しています。そんな同社は、ハイレゾ再生を念頭においた高品質なヘッドフォン/イヤフォンも数多く取り揃えています。それらを始め、質の高いヘッドフォン/イヤフォンの性能を引き出し、より充実の再生音が鳴らせるように生み出されたのが、PHA-3です。オペ・アンプには、オールFET回路構造で定評のあるOPA2604、出力段にはTPA6120がダブルで使われています。また低ノイズを実現した、低抵抗高音質ロータリー・ボリュームの搭載など、アナログ回路部にも細かなこだわりが感じられます。DAC部にはES9018を使い、PCM音源は32bit/384kHz、DSDは2.8MHz、5.6MHzまで再生可能で、現在売られている音源のほぼすべてに対応しています。さらに再生する音源を24bit/192kHz相当まで拡張する独自の“DSEE HX”も搭載しています。これによりCDからリッピングした音源でも、ハイレゾに近い質感で楽しむことができます。音質は普通に聴いても素晴らしいのですが、その真価を最も発揮するのは、やはりバランス接続に対応したヘッドフォンを使った時です。音源にもよりますが、より生々しく、鮮度の高いサウンドを楽しむことができます。これだけの機能が詰め込まれているので、やや筐体が大きくなってしまうのはやむを得ないのですが、それを差し引いても価格以上のリスニング体験ができる機種だと思います。バッテリーは充電式でバランス接続でも、約5時間の駆動が可能です。バランス接続のヘッドフォンを使っているユーザーには特にお薦めです。

audio-technica AT-PHA100

audio-technica AT-PHA100 / 価格:オープン(市場実勢価格:57,000円前後)[メーカー製品ページ

 エントリーからハイエンドまで、幅広いユーザーから満足度の高いヘッドフォン/イヤフォンを作り続けているオーディオテクニカ。同社の最新ポータブル・ヘッドフォン・アンプがAT-PHA100です。まずアルミニウム削り出しのボリューム・ノブをはじめ、高級感のあるシンプルなデザインが魅力的に感じました。ポタアンは持ち運んで使用するため、デザインもとても重要ですね。プリ段には、NJR社のMUSES 8832が使われ、パワー段は独自設計のディスクリート回路で構成されています。さらにロー・ノイズのオペ・アンプTI社製LME49720も使われています。それらから生み出される音質は、豊かな低域がありながらも、中〜高域も埋もれることなくクリアに鳴ってくれます。解像度の高い鳴り音と言えそうです。またヘッドフォン/イヤフォンを鳴らす駆動力もあり、インピーダンスの高いモデルも十分に鳴らしてくれそうです。DAC部には、SAVITECH社のBRAVO-HD SA9227が使われ、PCM音源は32bit/384kHz、DSDは2.8MHz、5.6MHzまで対応しています。このモデルも、ハイレゾ音源を楽しむための十分なスペックを備えていると言えます。バッテリーには、大容量のリチウムポリマー充電池が採用され、十分な再生時間が得られます。スマートフォンなどとの接続はもちろん、PCでの使用も満足度の高い再生音が楽しめそうです。

Pioneer XPA-700

Pioneer XPA-700 / 価格:オープン(市場実勢価格:53,000円前後)[メーカー製品ページ

 日本のオーディオ・ブランドの中でも、長い歴史を誇るパイオニア。特にスピーカーは、高く評価されています。そんなパイオニアが開発したXPA-700は、遊び心が感じられるモデルです。ユニークなのが、筐体の前後に付けられたバンパー、ケーブル・ガイドが変更できる点で、使用するヘッドフォンやイヤフォンのケーブルの太さや形状、さらにスマートフォンなどで重ね使いする際にも、柔軟に対応できるようになっています。バンパーを変えることで、デザインも変化して気分を変えることもできそうですね。もちろんサウンドも考慮され、出力ごとにオペ・アンプ/ヘッドフォン・アンプで構成されたフル・バランス設計、さらに高精度のデュアル・クロックが採用されています。音質は、派手さはないものの、量感のある低域から高域まで、しっかりと表現してくれる印象を受けました。このアンプでの味付けは少なく、ヘッドフォン/イヤフォンの特徴がよく表れそうです。またバランス接続も可能で、端子に監視カメラなどにも使われているIRIS端子(アイリス端子)が使われていることも特徴のひとつと言えます。このバランスの接続方式に関しては、まだ各社の足並みが揃っている状況とは言い難いのですが、この角型の端子は使いやすいように感じます。DAC部には、高価なUSB DACなどにも使われる ESS社のES9018K2Mが使われています。このモデルも、PCM音源は32bit/384kHz、DSDは2.8MHz、5.6MHzまで対応しているので、聴きたい音源のフォーマットが多彩な方にはお薦めですね。さらにDACのロック・レンジ精度を調整することで、ジッターを軽減する“LOCK RANGE ADJUST”、デジタル音源をアップ・スケーリングする“UP SAMPLING 192”、3タイプに波形を変化させる“DIGITAL FILTER”といった、好みのサウンドにより近づけられる機能も充実しています。このように様々なこだわりが凝縮されているためやや重さは感じますが、とても持ち運びやすい小型のボディに納められている点にも技術力の高さが感じられます。老舗オーディオ・ブランドの心意気が感じられるポタアンです。

DENON DA-10SPEM

DENON DA-10SPEM / 価格:オープン(市場実勢価格:37,000円前後)[メーカー製品ページ

 パイオニア同様に、オーディオのブランドとして長い歴史を誇るのがデノンです。DA-10SPEMは、同社のフラグシップ・ヘッドフォン、AH-D7100とのマッチングも良さそうな、ヘアライン仕上げのアルミ・ハウジングが使われたデザインも魅力のモデルです。小型で本体の質量も240gと、DAC内蔵モデルの中では軽量な点も嬉しいですね。アンプ部は、低ノイズのオペ・アンプ、さらにディスクリート電流バッファー回路を搭載し、ハイ・インピーダンスのヘッドフォンを駆動するパワーを生み出しています。もちろんゲインの切り替えもスイッチひとつで可能です。内部にもコンポーネント・オーディオ機器で培ったノウハウが生かされ、高品位なパーツも使われています。またUSB DAC、iPod/iPhone、AUXの3つの入力を備えているため、幅広い再生装置に対応可能です。音質は、いい意味でとてもバランスの取れたサウンドだと感じました。各音の分離感も向上し、音も見えやすいのですが、聴き疲れしない自然な音質に感じられます。デノン独自のビット拡張&データ補完によるアナログ波形再現技術“Advanced AL32 Processing”も、CDからのリッピング・ファイル(16bit/44.1kHz)を聴く際など、特にその効果を体感することができます。DACには、上位機種にも使われているBurr-BrownのPCM1795が使われ、PCMは24bit/192kHz、DSDは2.8MHz、5.6MHzまで対応しています。ただし、iPod/iPhone端子経由の場合は、24bit/48kHzまで(もしかすると、アプリを入れることで96kHzまで対応できるかもしれません)となるようです。最初から、Lightningケーブル等が付属している点も嬉しい配慮ですね。操作も極めてシンプルなため、初心者でも安心して使えるモデルと言えるでしょう。

携帯プレーヤーとしても機能する注目モデル

TEAC HA-P90SD

TEAC HA-P90SD / 価格:オープン(市場実勢価格:75,000円前後)[メーカー製品ページ

 ティアックから発売されたばかりのHA-P90SDは、ポータブル・ヘッドフォン・アンプと携帯プレーヤーのふたつを合わせた個性的なモデルです。現在は、各社からハイレゾ対応の携帯プレーヤーが発売され、それ単体でも十分にハイレゾ音源の魅力を堪能できる機種ばかりでしたが、高価なハイ・インピーダンスのヘッドフォン等を駆動させるにはやや力不足なモデルもありました。それ故、別途ポタアンを使うことによって、ハイ・インピーダンスのヘッドフォン等で音楽再生を楽しむユーザーもいました。このHA-P90SDは、ハイ・インピーダンスのヘッドフォンを駆動させるポタアンとしての実力と、PCM/DSDどちらも再生できる携帯プレーヤーとしての機能が盛り込まれています。まずアンプ部ですが、ディスクリート構成でパワー・アンプ回路が作られています。採用されているオペ・アンプは、Burr-BrownのOPA1602 SoundPLUS。さらに電源部の強化により、170mW+170mW(32Ω負荷時)のヘッドフォン出力を確保し、インピーダンスも8〜600Ωと幅広いヘッドフォン/イヤフォンを鳴らせるスペックです。DAC部には、Burr-Brown のPCM1795を採用し、PCMは24bit/192kHz、DSDは2.8MHz、5.6MHzに対応しています。そしてプレーヤー部ですが、128GBまで認識可能なmicro SDXCカード・スロットを搭載し、カードに入っている音源をダイレクトに再生できます。再生できるファイルは、DSFやDSDIFFのDSD、WAVやFLAC (FLAC 176.4k/192kHzファイルはファームウェア・アップデートにて対応予定とのこと)、MP3、AACといったPCM音源に対応します。現在市販されている音源の多くに対応できるプレーヤーと言っても良いでしょう。もちろん本体のみで手軽に曲送り/戻しなどができる操作性も良好です。煩わしい設定をせずに、ハイレゾやDSD音源を手軽に再生したいユーザーには特にお薦めです。PCでのハイレゾ音源の再生においても、同社のホームページから無料でダウンロードできる『TEAC HR Audio Player』を使えば、簡単に楽しめます。

ハイレゾ音源対応USB DAC内蔵モデル

 ここから紹介する3機種はDSDの再生はできないですが、PCMのハイレゾ音源には対応したモデルです。DSD対応モデルよりも、やや求めやすい機種もあり、小型な製品もあります。DSD再生が必要のない方にはお薦めです。

JVC SU-AX7

JVC SU-AX7 / 価格:オープン(市場実勢価格:49,000円前後)[メーカー製品ページ

 JVCケンウッドから登場したのが、独自高音化技術「K2テクノロジー」を搭載したポタアンです。これは、レコーディング時の原音(アナログ)からデジタル音源に変換する際に失われてしまう情報を再生成し、より原音に近い音質で再生するための技術とのことです。普段はハイレゾ音源ではなく、CDクオリティーのファイルをよく聴いているユーザーには、特に恩恵がありそうです。実際に使ってみると、デジタル・ファイルにも関わらず、ややアナログ的な質感が加わり、音も見えやすくなるように感じられます。音質は、フラットな傾向に思えましたが、艶やかさのあるミッド・レンジと伸びの感じられるハイが印象的で、女性ボーカル音源の再生などにも向きそうな印象を受けました。DAC部には、AKM製のAK4390が使われ、PCなどとのUSB接続では24bit/192kHzまでのハイレゾ音源が楽しめます。内部回路やシャーシなどにも、細かなこだわりが感じられ、アルミの筐体も高級感が感じられます。これからハイレゾ音源を楽しみたい、CDクオリティーの音源をより良い音質で聴いてみたいというユーザーにぴったりな機種だと思います。

ONKYO DAC-HA200

ONKYO DAC-HA200 / 価格:オープン(市場実勢価格:24,000円前後)[メーカー製品ページ

 ハイレゾ音源を購入できるサイト『e-onkyo』を主宰し、新たな音楽リスニングの可能性を広げている会社がオンキヨーです。またオーディオ製品の開発も、60年以上続けている老舗でもあります。そんな同社が発売した初のポタアンが、DAC-HA200です。DACには、BurrBrownのPCM5102が使われ、24bit/96kHzまでのPCM音源に対応しています。また無料のアプリ『HF Player』(有料版もあり)を使うことで、手軽にハイレゾ音源を楽しめるようになっています。ディスクリート構成のパワー・アンプ部には新日本無線のオペ・アンプMUSES8920が採用され、質の高いヘッドフォン出力を得ることができます。ゲインもハイ/ローの切り替えが可能で、幅広いヘッドフォン/イヤフォンに合わせた再生が可能になっています。質量も210gと軽く、スマートフォンなどとの重ね使いもしやすく、初めて購入するポタアンとしてもお薦めの機種です。

Astell&Kern AK10

Astell&Kern AK10 / 価格:オープン(市場実勢価格:24,000円前後)[メーカー製品ページ

 Iriver社のブランド、Astell&KernはDSDを含むハイレゾ音源を、手軽に再生できるハイエンドな携帯プレーヤーを販売していることでも知られています。それらプレーヤーで培った技術で製作されたポタアンがAK10です。写真からも分かるように、非常にコンパクトに作られ、スマートフォンと手軽に持ち運んで使ってみたくなるモデルですね。DAC部には、Wolfson社のWM8740が使われ、PCとのUSB接続では24bit/96kHzまでのPCM音源を再生することができます。また付属のLightningケーブルを使いiPod/iPhoneと接続することで、24bit/48kHz(アプリケーションとの組み合わせで最大96kHzまで対応)の音源を楽しむこともできます。さらに筐体に大きく設けられた丸型のアルミ・ボリューム・キーで、ボリューム調整もスムーズに行なえます。新製品の発売サイクルが早いポタアンの中では、やや発売から時間が経ってしまった機種ではありますが、DAC内蔵のポタアンとしては小型で、iPod/iPhoneでの使用や携帯しての使用をメインで考えているユーザーに、適したモデルと言えるのではないでしょうか。

シンプル・イズ・ベスト!なヘッドフォン・アンプ

 現在では、DACを内蔵したポタアンが主流となりつつありますが、DACを内蔵せず純粋にヘッドフォン・アンプのみの機能に特化したモデルもあります。ここでは注目の2機種を紹介します。

FOSTEX HP-V1

FOSTEX HP-V1 / 価格:¥52,000(税別)[メーカー製品ページ

 ホームからプロ・ユースの音響製品まで幅広く手掛けるのがフォステクスです。同社が手掛けるポタアンHP-V1は、増幅部前段に真空管(6N16B-Q)が使われているのが大きな特徴となります。ギター・アンプやマイク・プリなどでは、本物の真空管が使われることもありますが、ポタアンでは珍しいと言えるでしょう。さらにオリジナルの大型カップリング・コンデンサが使われるなど、徹底的に音質にこだわったモデルです。音質は、増幅団に真空管を使っているせいか、クリアに音像が広がりながら、どの帯域でも艶やかな肌触りが感じられます。さらに音に奥行き感が加わるような印象も受けました。ただ、やはり小型とは言い難く、約390gの重さがあります。しかし、このサウンドに魅力を感じるユーザーにとっては、唯一無二の存在かもしれません。ぜひ試して頂きたいポタアンと言えます。

Fiio E12A

Fiio E12A / 価格:オープン(市場実勢価格:25,000円前後)[メーカー製品ページ

 コストパフォーマンスに優れたポタアンをはじめ、ポータブル・オーディオ製品を多数手掛けるフィーオ。まだ発売されたばかりのE12Aは、インナー・イヤー・モニター(IEM)に向けたチューニングが施されたポタアンです。iPhone 5Sなどと同サイズのスマートな筐体は、とてもスタイリッシュで持ち運びにも便利です。オペ・アンプには新日本無線のフラグシップ・チップMUSES02が採用され、高品位なバッファーLME49600との組み合わせにより、プロのミュージシャンなどにも使われる、繊細な音の再生が可能なIEMのポテンシャルを引き出してくれます。さらにS/N比も向上しより高音質な再生を可能にしています。IEMを使っているユーザーには試してほしいポタアンですが、より幅広いユーザーに向けたE12も発売されています。どちらも小型ながらパワフルな再生能力を誇っているので、幅広いヘッドフォン/イヤフォンに対応してくれそうです。

ベーシスト必見のポタアン!

 最後に、ベーシストにおすすめのポタアンを1機種紹介しましょう。

Phil Jones Bass BIGHEAD

Phil Jones Bass BIGHEAD / 価格:オープン(市場実勢価格:24,300円)[メーカー製品ページ][デジマートで検索する

 小型/軽量ながら質の高いベース・アンプ等を手掛けているのが、フィル・ジョーンズ・ベースです。そんな同社が開発したポタアンは、ベースを入力するインプットが設けられたユニークなモデルです。詳しい説明は、ぜひデジマート・マガジンの特集『BIGHEAD featuring 河辺真』を参考にして頂きたいと思います。旅先やライヴの前など、ちょっと演奏したくなった時には重宝しそうです。また外部音源を再生しながらの演奏も可能なので、ベースだけ弾いても物足りないと感じているベーシストの練習用アンプとしてもお薦めです。さらにPCと接続することでオーディオ・インターフェースとしても使え、レコーディングもできてしまいます。もちろん、16bit/48kHzまでの音源をD/Aコンバートすることもでき、質の高いヘッドフォン・アンプとして使用も可能です。さすがにDSDや24bit以上のハイレゾ音源には対応していないですが、楽器を演奏するユーザーには嬉しいポタアンと言えると思います。できるならば、ハイレゾ対応さらにはギター用があれば嬉しいですね。



 今回は、近年各社が力を入れているポータブル・ヘッドフォン・アンプ、“ポタアン”を採り上げましたが、気になったモデルはあったでしょうか? 中でもUSB DACの機能が付属したポタアンは、手軽にハイレゾ再生にチャレンジすることができ、置き場所にも困らないため、これから始める方にはお薦めです。まずは、USB DAC機能が付いたポタアンを購入して、ハイレゾの魅力を体験するのも良いですね。ここで紹介した機種はごく一部で、まだまだ魅力的な製品が各社から発売されています。3月14日からは、名古屋を皮切りに全国8カ所で、最新のヘッドフォン/イヤフォンなどを体験できる、ポータブル・オーディオのイベント『ポタフェス』も開催されます。実際に足を運んで、魅力的な機器の数々のサウンドを聴いてみて下さい。ではまた、次回!

このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

菊池 真平(きくち・しんぺい)
音楽雑誌「Player」、オーディオ誌を発行するステレオサウンド社で「Beat Sound」、「Digi Fi」の編集に携わった後に独立。現在はフリーランスで、ヴィンテージ・ギター関連書籍/ギターに関する雑誌等に、編集/ライターとして携わる。国内外のミュージシャンへのインタビュー等も多数行っている。

人気記事RANKING

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS