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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第49回

ヒスコレに代わる新シリーズ「True Historic」とは!?

Gibson Custom / True Historic

  • 資料提供:ギブソン・ジャパン

ギブソン・カスタムから、2015年5月より製品シリーズを一新することが発表された。その目玉は、これまで“ヒスコレ”の愛称で親しまれてきた「Historic Collection」の改訂だ。同シリーズを次なるレベルへ引き上げるべく、ボディ・シェイプを含むモデル自体のブラッシュアップ、生産ラインの見直し、さらにはシリーズ名も「True Historic」と改称されている。リリースを前に、True Historicのポイントを、オフィシャル・アナウンスを引用しながら押さえておこう。

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True Historicについて

 True Historicは、1950〜60年代に作られていたギブソンの最も精巧なリイシューとなる。ヒストリック・プログラム・マネージャーのEdwin Wilsonをプロジェクト・リーダーとして、これまで生産効率やコストなどの事情でマス・プロダクションでは成しえなかった部分まで着手することで、ビンテージの持つトーン、ルックス、プレイアビリティを極限まで突き詰め、さらにはフィーリング、趣といった感覚的な部分にまで迫った究極のリイシューとして誕生した。既存製品のリファインを超えたTrue Historicシリーズは、ショップ内からこのプロジェクトのために選りすぐられた高いスキルを持つクラフツマンが、その多くの作業を手仕上げで行い、ステップごとの仕上がりを確認しながら作り込んでいくという、“ビンテージ”が作られていた時代の製法を限りなく踏襲したものだ。この新たなプロジェクトは、ビンテージへのあくなき追求と、ヒストリック・リイシューをネクスト・レベルに高めるために、ギブソン・カスタムが並々ならぬ意気込みで取り組んだ新たなフラグシップとなるもので、今後Collector's Choice、及びビンテージ・スペックのアーティスト・モデルは、このTrue Historicに基づく仕様となる。

True Historicの構造ポイント

Point1 True Historic Plastics&Pickup cover

 トグル・スイッチ・キャップ、トグル・スイッチ・ワッシャー、ジャック・プレート、ピックガード、ピックアップ・マウントリングなど、プラスティック・パーツがリファイン。ギブソン・カスタムでは当時のオリジナル・パーツを揃え、シェイプ、サイズをデジタル・データ化、さらに全パーツをカットして、その断面から使われていた材質の成分構成から当時の製造工程までも分析。こうして50年代のパーツを再現したという。裏側に型番を持つマウントリング、裏側からのゴールド・ペイントによるコントロール・ノブ、濃淡のバリエーションを持たせたスイッチ・キャップなど、マニアックな仕上がりとなっている。ピックアップ・カバーはプラスティック・パーツ同様に、オリジナルを切断、成分分析を行い、シェイプ、サイズなどの外見はもちろん、下地処理、メッキの厚み、ポールピース穴、メッキ前の研磨工程により見られるユニークな特徴まで含めてリファインされた。

仕上がり確認用のプロトタイプ・パーツ。形状、カラー・マッチングなど細部を詰めながら開発が行われた。

Point2 Double-Carved Top

 これまでのコンピュータ制御によるCNCマシン加工のラフ・カービング(粗仕上げ)⇒スラッグ・ベルトとサンディング・パッドを使用したボディ・トップ・カーブのシェイピング(アーチの成形)という工程を一新し、代わりにCNCによるラフ・カービング⇒バウンド加工⇒再度、現存するビンテージ・レス・ポールから得た3Dスキャン・データに基づく精密なCNCカービングという、2ステップのCNCカービング作業を行うことで、デリケートなビンテージのトップ形状を精密に再現している。ボディ中央部のフラットなエリアからの落とし込み形状、そしてサイド・エッジ部のくぼみ部分など、光の反射で浮かび上がる美しいボディ・トップ・シェイプが実現した。

リムがえぐれたことでよりグラマラスになったボディ・シェイプ。

Point3 Neck Carve

 トップ・カーブ同様に、ビンテージから得た3Dスキャン・データに基づくCNCマシンのダブル・ステップにより、精密なビンテージ・シェイプを再現。

Point4 Broken Peghead Edge, Smoother Edges throughout

 全体に手仕上げによる丹念なハンド・サンド作業を追加することにより、滑らかなフィーリングに。

Point5 Matching Body and Neck

 最新テクノロジーと、専属クラフツマンのスキルとの融合による精密な木工加工で仕上げられたネックとボディは、マホガニーへの目止め+着色を行うにあたり、最適な仕上がりとなるように木肌の色味と木目パターンによるマッチングが行われている。

Point6 Original Thinner Holy Peghead Veneer

 ヘッド突板の厚みをリファインし、オリジナル同様に、これまでより薄い突板に変更。

左がTrue Historic用の従来よりも薄くなった突板、右は従来のもの。

Point7 Complete Finish Overhaul

 新たに採用したハイクオリティ・ラッカーと、下地処理からコーティング数まで、塗装のすべてのプロセスを見直すことで実現したビンテージ同様の薄い塗装により、ボディ鳴り、塗装のクオリティともに高めた。True Historicには、これまでの流れを継承するハンド・セレクト材や、カスタム・カラーによるオーダー品の生産枠も用意されている。これらは「Historic Select」と呼ばれ、シリアルナンバーの頭がHSになることで区別される。すでにHistoric Selectによる日本限定モデルMurphy Burstシリーズの企画も進んでいるという。

4月に行われたトム・マーフィーによるMurphy Burst最新企画のカラー・テストの様子。

Point8 Playability

 フレット、指板、ネック・バインディングの処理を専属のクラフツマンが時間をかけて丹念に処理を行うことで、プレイヤーのフィーリング、弾き心地をより高めることに注力している。特に“ロールド・バインディング”と呼ばれるネック・バインディングのエッジから、ネック・シェイプへとつながる曲面は、新品のギターでありながら長く弾き込まれたビンテージのように手に馴染むのが特徴だ。

“ロールド・バインディング”が施されたネック/指板。

Point9 Hide Glue Top Construction

 ハイドグルー(にかわ)を、ボディ・トップとバック部分にも採用。これにより、ネック+ボディ、指板+ネック、ボディ・トップ+ボディ・バックがにかわ接着となり、弦振動をあますところなくギター全体に伝えることで鳴りを高める。

ハイドグルーをボディ・トップ&バックに採用。

Point10 New Multi-Step Set Up

 組み込み後のファイナル・セットアップ・プロセスも見直された。製品が出荷される直前まで時間と手間暇を惜しむことなく、手にしたプレイヤーが最高の状態で演奏を楽しめるように配慮されている。

 これまで、NAMMショー2015や先日行われたフランクフルト・メッセ会場にて、プロトタイプやある程度の情報の露出はありながらも、その全貌が明らかにされていないTrue Historic。このテキストを編集している段階では、まだオフィシャル・サイトのアップもなく、日本には実器が届いていないため、製品の仕様詳細、試奏、レビューなどを含む、その実態は追って特集する予定。お楽しみに。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは5月8日(金)を予定。

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