楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 連載
  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第56回

【イベント】G-CLUB TOKYO主催 話題シリーズの全貌に迫る「All about True Historic」

Gibson Custom / True Historic Les Paul

  • 文:井戸沼尚也
  • 動画撮影:編集部 映像編集:熊谷和樹 取材協力:G-CLUB TOKYO

Gibson Custom True Historicの全貌を明らかにするイベント『All about True Historic』が、2015年5月、東京・千代田区のG-CLUB TOKYOにて開催された。当日は、ギブソン・インターナショナル・セールス・マネージャーのThom Fowle(トム・ファール)氏が、True Historicの実器3本を携えて来店。開発秘話を語るトーク・ショーあり、実器の音を聴くサウンド・チェックありの、レス・ポール・ファンにはたまらないひと時となった。

このエントリーをはてなブックマークに追加

True Historic Les Paul デモンストレーション

トーク・イベント

True Historic──徹底したこだわりの果て

 現在、入手可能なレス・ポールの最高峰として注目を集めているTrue Historicシリーズ。今年1月のNAMMショーでプロトタイプが発表されて以来、噂となっていたTrue Historicの全貌をいち早く伝えるべく、世界最大級のギブソン・ディーラーであるG-CLUB TOKYOがイベント「All about True Historic」を開催した。

 当日は、前述のトム・ファール氏に加え、ギブソン・ジャパンから栗田隆志氏、G-CLUB TOKYO店長の藤川忠宏氏の3名によるトーク・ショーからスタート。そこではTrue Historic開発に関する重要なトピックが次々と明かされた。まずはTrue Historicの概要について、次のような説明があった。

●True Historicとは、Gibson Customディヴィジョンがこれまでにさまざまな問題(予算、時間、ワーカーの教育など)で実現できなかったこだわりに正面から取り組み、“ネクスト・レベル”のレス・ポールを製作するプロジェクトのこと。
●この新シリーズの誕生により、これまでのヒストリック・コレクションは生産完了となる。
●生産数はごく少量、バースト・カラーはVintage Cherry Sunburst、Vintage Dark Burst、Vintage Lemon Burstの3色で展開する。
●True Historicの製作はカスタムショップでも選抜されたスタッフによって行われている。ギブソンは各工程のスペシャリストを15人程度選抜し、スペシャリストは改めてトレーニングを積んだ上で製作に携わっている。

 ここで注目したいのは、生産数。藤川氏は「ヒスコレの場合はシリアルから考えて、59だけで年間3000本前後の生産数と推測されるが、True Historicはシリーズ全体で年間2000本、59だけなら800本(うちエイジドが150本)と、極端に生産数が絞られている」と指摘。この理由について栗田氏より、生産効率よりもディテールの再現にこだわった結果だという説明があった。具体的には、これまで以上にトップのアーチにこだわった点が注目される。例えば、これまではCNCルーターでトップを粗く仕上げた後で、スラックベルトを使い、手仕上げでアーチを成形していた。手作業による温かみあるものの、どうしても個体差が出てくる。あえてCNCルーターにこだわり、完璧にプログラム通りに仕上げることで、個体差が少ない美しいアーチを再現できる。しかし、それには1回目の作業で7分、2回目の作業で14分、マシンを使うことになる。これまでは1回目の7分のみであった。マシンを増やしたわけではないので、作業効率は大幅に低下する。しかし、これによって、頂点はフラットで急激に落ちエッジがくぼむような、ビンテージ同様の美しいアーチを実現している。

 もうひとつのこだわりは、プレイアビリティの向上。初めて手にした瞬間から、長年愛用したビンテージのように手に馴染むグリップを目指した。栗田氏によれば、「ヒストリック・プログラム・マネージャーであり、True Historicのプロジェクト・リーダーであるエドウィン・ウィルソンが非常にこだわった部分」であるという。ネック・バインディングのエッジから、ネック・シェイプへと繋がる曲面を丁寧に、丸みがあるように仕上げた“ロールド・バインディング”と呼ばれる処理を採用。また、ネック・グリップのカーブ自体もトップ面と同様にCNCルーターを2段階で使用し、ビンテージ・シェイプを忠実に再現した。ネックをジョイントする前に細かな処理を行ない、その弾き心地は新品でありながら手に吸い付くようなグリップ感を持っている。

ビンテージ・パーツを解体して調査

 今回、パーツ類も一新されている。開発にあたり、5〜6万ドル分のビンテージ・パーツを実際に購入。そのパーツを切り刻み、形状や素材のみならず、メッキなどの成分も調査。その成果のいくつかを箇条書きで紹介しておこう。

●コントロール・ノブには、ゴールド・ブラス・パウダーを使用。材質が変わることで、操作性も変わった。
●エスカッションには、ネジのウケ部分にビンテージそっくりのムラがある。これを再現するために金型から作り直した。
●ピックガードやジャック・プレートはプライ構造。技術がなかった昔の製法をあえて再現している。

 上記のような開発秘話が公開され、さらに参加者に新しいパーツを手渡して、細部にわたるこだわりを直接確認してもらうひとコマもあった。

塗装前/パーツ類の組み込み前のプロト・パーツも会場に展示され、参加者の視線を集めていた。

 また、週刊ギブソンでの既報を含む、下記についても発表された。

●ボディ・トップとバックの接着にハイド・グルー(にかわ)を使用。ネック・ジョイント/ネックと指板も含め、振動に大きな影響を及ぼす箇所すべてにハイド・グルーが使用されたことに。
●ヘッドの突き板が非常に薄くなった。
●塗装に使用するラッカーそのものと、塗装回数が変わった(回数減り、さらに薄くなった)。
●Collector's Choiceやビンテージ・スペックのアーティスト・モデルは今後、True Historicに基づく仕様になる。
●ヒスコレの流れを汲む製品として、ネック・ジョイントがディープ・ジョイントではなくExpanded Neck Tenonとなった「CS Les Paulシリーズ」が登場(こちらのシリアルは、CS9 XXXXとなる/True Historicの59のシリアルは9 XXXX)
●True Historicの仕様をベースにしたカスタム・オーダーも受け付ける。こちらは「Historic Select」と呼ばれ、シリアルは、例えば59ならHS9 XXXXと管理される。
●ボディとネックで使用されているマホガニーは、色味や導管のフィールをマッチングさせている。

 イベント中盤と最後にはトム・ファール氏のデモンストレーションがあり、芳醇な音色が会場に響き渡った。またイベント終了後には、当日用意された58、59、60の3本のTrue Historicを、参加者のめいめいが手にすることができる贅沢な時間が設けられ、大盛況のうちにイベントは終了。ちなみに今回のイベントは、G-CLUB TOKYOの来店者に限定して告知されたもの。日頃からお店に足を運んでおくと、こういった耳よりな情報が得られるのは間違いない。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは6月26日(金)を予定。

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品情報

Gibson Custom / True Historic Les Paul

【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
デジマートでこの商品を探す

人気記事RANKING

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS