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ジミヘン機材を総まとめ!  Jimi Hendrix Gear

ジミ・ヘンドリックスの機材

  • 企画・画像協力:DU BOOKS

ギター・ロック史に燦然たる功績を残した天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス。その背景には彼のインスピレーションに刺激を与えた素晴らしい楽器群があったことは言うまでもない。本記事ではこのたび刊行された書籍『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』と連動し、ジミが愛用した代表的な機材を一部本人が実際に使用した写真とともに紹介していきたい。

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書籍『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』について

 ジミ・ヘンドリックスは後世に残した巨大な影響ゆえにさまざまな分析や研究がなされてきた人物だが、ギター・ファンにとってその“使用機材”はことさらの興味対象になり得るだろう。エレクトリック・ギターやエフェクター、ギター・アンプのサウンドが音楽シーンを席巻した時代に突如として現われたジミは、時に奇想天外な手法を用いながらそれまで誰も生み出さなかったサウンドを次々と弾き出していった。その革新性は40年以上を経ても色褪せず、多くのギタリストに刺激を与え続け、現在ではある種の“標準”とさえなっているからだ。

 ジミヘン使用機材に関してはこれまでたくさんの刊行物がリリースされてきたが、ここにまた魅力的な書籍が誕生した。ジョン・レノンやニール・ヤングの伝記も手がけているマイケル・ヒートリーが著者を務めた『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』(原本は洋書『Jimi Hendrix Gear』で、日本語版に際して訳者・川村まゆみ/DU BOOKS編集部によって極力史実に添うよう加筆・修正されている)は、ジミの音楽キャリア最初期である1950年代後半から、最盛を迎えた66〜70年まで、当時の証言や貴重な写真を交えながら時系列に沿って追っていくものだ。ジミに関する情報はファンでなくとも大勢の人が少なからず持っているかもしれないが、本書では各機材が生み出された経緯や時代背景にも触れられており、時代の寵児であったジミを中心とした当時のギター・シーンを俯瞰する上でも有用な資料となっている。もちろん渡英以前の使用機材や激動の変遷もなめらかに語られており、機材という切り口から彼がどのような音楽を志向していたのかが透けて見えてくるような名著だ。

【Contents】

Chapter1 Early Experience 1959–61 初期の体験
Chapter2 Paying his Dues 1962–63 栄光の座
Chapter3 Knight of the Road 1964–65 流浪の騎士
Chapter4 Destination London 1966 運命の地ロンドンへ
Chapter5 Flaming Frets 1967 炎のごとく
Chapter6 Rocking the World 1968 ロッキング・ザ・ワールド
Chapter7 Gypsy Soul 1969 ジプシーの魂
Chapter8 Seattle’s Setting Sun 1970 シアトルの落日
Chapter9 Hendrix Connections 1960–70 ジミ・コネクション

【ジミ・ヘンドリックス機材名鑑の詳細はこちらから!】

※本企画における製品画像は同書に掲載されているものを流用していますが、一部、ジミ・ヘンドリックス本人が使用していた機材ではなく、現行品ほかの画像も混在していますことをご了承ください。

ジミ・ヘンドリックスが使用したギター

Fender / Stratocaster

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 ジミのトレードマークと言えばFender Stratocaster。自身は特定の個体に執着することはなく、ステージ上でギターを壊したり燃やしたりするたびに新しい個体を用意していたわけだが、キャリア全般においてStratocasterを好んでいたのは間違いない。写真は2本ともメイプル指板となっているが、キャリア初期にはスモールヘッド、ローズウッド指板の個体も多用している。なお、下写真はかの有名な“ウッドストック”で使用された個体の実物写真。右利き用のナットを反転させて弦を張るというジミヘン・スタイルを保持したまま、現在はEMPミュージアムに展示されている。

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』P.8/ⒸExperience Music Project

Fender / Duo-Sonic

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 Fender Duo-Sonicはトーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンらニュー・ウェーブのミュージシャンに愛用されたことで知られるが、実はジミもそのキャリアの最初期に愛用していた。年式は1959〜60年製で、1964年、アイズレー・ブラザーズのバック・バンドに加入する直前に入手したとされている(ジミの個体はブロンド・フィニッシュ/ホワイト・ピックガード)。Duo-Sonicは一般的にストラトの弟分に位置付けられており、4点留めのボルトオン・ジョイントなど似通った仕様が散見されるが、ジミはここにエピフォン製のビブラート・ユニットを後付けするなどのカスタムを施していたようだ。ちなみにジミの初代Duo-Sonicは盗まれており、代わりにJazzmasterをオーケリー・アイズレーに買い与えられたという逸話が残っている。

Gibson / Flying V

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 ジミの使用ギターとしてはストラトに次ぐ存在感を放つGibson Flying V。彼の憧れの存在だったアルバート・キングの影響もあったのか、1967年に入手し、2ndアルバム『Axis: Bold As Love』から使用を開始した。同器は1966〜69年の間に製作されたマホガニー・ボディ製で、仕様としてはショート・バイブローラが搭載されているのがポイントだろう(ジミはこのユニットを頻用した)。フィニッシュはもともとブラックだったとされており、その上に本人がマニキュアでサイケデリック・ペイントを施している。ジミはこのほか、サンバースト・モデルやカスタムメイドの左利き用モデルのFlying Vも使用している。

Martin / D-45

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 あまりイメージがないかもしれないが、ジミは作曲の場面でアコースティック・ギターをよく使っていたという。中でも愛用していたのがMartin D-45(写真)とEpiphone FT79。米英の行き来が多い中、前者をアメリカで、後者をイギリスで使っていた。写真のD-45に関しては、ミッチ・ミッチェルの証言によると“Black Gold”テープを制作する際に使われたほか、レコーディングでも『The Cry Of Love』で使用していたそうだ。使用していたのは1968年製で、ボディ・サイド&バックに稀少材であるブラジリアン・ローズウッドが使われていた最終期の個体である。ジミの使用有無を差し置いても非常に価値の高いギターだ。

※ここでは代表的な使用モデルを紹介していますが、上記以外にも、Epiphone WilshireGibson Les Paul CustomGibson SG Customなど書籍『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』では本人がキャリア初期〜晩年まで使用したモデルについて紹介、言及されています。

ジミ・ヘンドリックスが使用したエフェクター

Arbiter(Dallas-Arbiter)/ Fuzz Face

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 ジミ・ヘンドリックスの2ndシングル「Purple Haze」にはさまざまな革命的要素がある。不協和音を用いたイントロ・リフ、E7コードに長2度のテンションを加えたいわゆる“ヘンドリックス・コード”の登場などはのちのギター・ミュージックに計り知れない影響を与えた。一方、機材面からこの曲を見ると、Fuzz Faceの使用も忘れられない要素だろう。その凶暴なサウンドの創出はエレクトリック・ギター・サウンドの価値観を一変させるインパクトを与え、またStratocasterという楽器の有用性も証明して見せた。Fuzz Faceはその後もジミの特徴的なサウンドに重要な役割を果たし、現在でも多くのロック・ギタリストがFuzz Faceにある種の憧憬を抱いていると言っても過言ではない。

VOX / WAH

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 「Voodoo Child(Slight Return)」での名演が証左とするように、ジミヘンはワウを非常に効果的に用いたギタリストのひとりだ。クリームの影響で1967年から使用を開始したと言われ、写真は1968年に使用していたVOXブランドのものとなる。そのほかトーマス・オルガンが設計し、イタリアのジェン・エレクトロニクスが製造したモデルも愛用していた。ジミのワウ・サウンドを堪能したい方は上述「Voodoo Child(Slight Return)」が収録されている『Electric Lady Land』や『Axis: Bold As Love』などを聴いてみると良いだろう。

Honey(Shin-ei) / Uni-Vibe

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 日本人エンジニアである三枝文夫氏が開発したユニヴァイブもジミが使用したエフェクターの中で有名だ。ウッドストックではかなり多くの場面でユニヴァイブが独特なうねりを響かせており、そのほかのコンサートでも頻用された。ジミが使用していたのは1967〜68年に製造されたHoneyブランド製(1970年以降はShin-eiブランドが製造を引き継ぐ)とされているが、ロゴの書体がHoneyブランドの初期モデルと異なるという説もあり、その詳細は明らかになっていない。実個体は現在EMPミュージアムに展示中である。

※ここでは代表的な使用モデルを紹介していますが、上記以外にも、Roger Mayer OctaviaMaestro Fuzz Toneなど書籍『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』では本人がキャリア初期〜晩年まで使用したモデルについて紹介、言及されています。

ジミ・ヘンドリックスが使用したアンプ

Marshall / Super Lead

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 ストラトと並ぶジミのトレードマークと言えば、MarshallのSuper Lead 100W(1959)だろう。プリ管に12AX7を3本、パワー管にKT66を4本使用したこのアンプ・ヘッドをジミは何十台(100台とも)も使ったと言われている。写真はジミ・ヘンドリックスの伝記本を手がけたトニー・ブラウンが所有していた個体(シリアルナンバー11252)でウッドストックの翌年に行なわれた全米ツアーで使用していたものだという。ヘッドの上面にはエクスペリエンスのローディであったジョン・ダウニングが管理したほかの機材と同様、“JH EXP”のステンシルが記されている。キャビネットはセレッション製の25Wスピーカーを4基搭載したものを2台連結して使用することが多かったようだ。

Fender / Twin Reverb

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 Marshallの印象が強いジミヘンだが、実はその対極的なFender Twin Reverbを使用していた時期がある。それは同Duo-Sonicを弾いていた1965〜66年頃、チャス・チャンドラーに見出されて渡英する直前である。この年代のTwin Reverbは名機と名高いブラックフェイス期(1963〜67年)で、その鋭利なまでにクリーンな特性はエリック・クラプトンらにも愛された。ジミは渡英時にこのTwin Reverbを持参せず、その後の行方は知られていないが、Marshallと出会う前の1968年にはFenderのDual Showmanを入手している。

※ここでは代表的な使用モデルを紹介していますが、上記以外にも、1968年製Fender Dual ShowmanAmpeg Portaflexなど書籍『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』では本人がキャリア初期〜晩年まで使用したモデルについて紹介、言及されています。

ジミ・ヘンドリックスが使用したサイケ柄ストラップ/カールコード

Strap

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』より

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 その熱狂的なパフォーマンスを筆頭に、ジミはステージ上での立ち振る舞いから衣装やストラップにも並々ならぬこだわりを持っていた。写真は実際にジミが使用していたストラップ。サイケデリック・ブーム全盛期とあって花柄のモチーフがあしらわれたデザインだ。これはウッドストックを始めさまざまなシーンで使われたもので、グラハム・セントラル・ステーションのデヴィッド・ベガがウッドストックの音響エンジニアから譲り受け、2008年にオークションへ出品されたものだ。

写真:『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』P.126_127/ⒸVal Wilmer

VOX / Curl Cord

写真:クロサワ楽器 デジマート店

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 モンタレー・ポップ・フェスティバルなどの映像にも残っているが、ジミはカールコードを愛用していた。カラーは白や黒が多く、現在でもそれを真似て同色のカールコードを使うギター・ファンがいる。これもまたサウンドの一翼を担うギアなので、ジミヘン・サウンドを標榜する人は一度試してみてはどうだろうか?

詳細は『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』にて!

 本記事でジミ・ヘンドリックスの機材に興味を持った人はぜひ『ジミ・ヘンドリックス機材名鑑』をチェックいただきたい。本特集では紹介できなかった情報や貴重な写真を多数掲載しているほか、冒頭でも触れたように当時のギター・シーンを知る上でもとても有用な書籍となっています。貴重かつ美しい写真群だけでも一見の価値ありです。限定2,000部ですのでお早めに!

【Contents】
Chapter1 Early Experience 1959–61 初期の体験
Chapter2 Paying his Dues 1962–63 栄光の座
Chapter3 Knight of the Road 1964–65 流浪の騎士
Chapter4 Destination London 1966 運命の地ロンドンへ
Chapter5 Flaming Frets 1967 炎のごとく
Chapter6 Rocking the World 1968 ロッキング・ザ・ワールド
Chapter7 Gypsy Soul 1969 ジプシーの魂
Chapter8 Seattle’s Setting Sun 1970 シアトルの落日
Chapter9 Hendrix Connections 1960–70 ジミ・コネクション

【ジミ・ヘンドリックス機材名鑑の詳細はこちらから!】

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