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斎藤誠が弾く!マーティン・スタンダード・シリーズ〜DC-28E、OMC-18E、GPC-35E

Martin、Fishman

  • 取材・文:坂本信 写真撮影:八島崇 動画撮影&編集:熊谷和樹 録音:大屋努

マーティン──160年以上の歴史を持ち、フラットトップ・アコースティック・ギターの王道、標準と言える存在である。デジマート・マガジンにも特集を望む声が多く寄せられていたが、今回、日本のマーティン伝道師とも言えるトップ・ギタリストの斎藤誠氏を迎え、最新モデルのスタンダード・シリーズ3機種を、たっぷりと弾き、語っていただいた。フィッシュマンのオーラVTエンハンスを搭載し、純アコとしてもエレアコとしても自在に使える現在のマーティン“標準器”のサウンドを、生音とピックアップ・システムのライン音の両方から、じっくりと味わってほしい。

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斎藤誠が弾く!マーティン・スタンダード・シリーズ〜生音編
DC-28E/OMC-18E/GPC-35E

斎藤誠が弾く!マーティン・スタンダード・シリーズ〜エレアコ編
Aura VT Enhance(DC-28E)/Loudbox Mini

斎藤誠が語る!マーティン・スタンダード・シリーズ、
フィッシュマン・オーラVTエンハンスの魅力

マーティン・スタンダード・シリーズについて

 1833年の創業以来、アメリカのアコースティック・ギターを代表するブランドの地位を維持してきたC.F.マーティン社は、これまでに000やOM、D(ドレッドノート)など、業界標準と呼べる数々のモデルを送り出してきた。ラグタイムからブルース、ブルーグラス、カントリー、フォーク、ロック、モダンなフィンガーピッキングと、音楽や演奏のスタイルは大きく変化したが、これら“標準”モデルの多くは、細かい仕様変更を受けながらも、基本的には同じスタイルのまま、多様な音楽に適応している。この事実は、基本設計の優秀さを示してもいる。

 そのマーティンのラインナップの中心的な存在になっているのが、文字通りの“標準”を意味するスタンダード・シリーズである。このシリーズには、000-18、28、42、OM-28、42、D-18、28、35、45などの歴史ある人気モデルの基本仕様を踏襲した最も標準的なモデルの他、現代の奏法やライブ事情に応じるべくカッタウェイを設け、ピックアップを内蔵したDC-28EやOMC-35E(Cはカッタウェイ、Eはアコースティック・エレクトリックを意味する)といったモデルが揃っている。近年になると、モダンな音楽に対応すべくゼロから設計されたGPC(グランド・パフォーマンス・カッタウェイ)というモデルもラインナップに加えられた。楽器に限らず、老舗と呼ばれるメーカーが長い間存続できたのは、ただ単に昔からの技術や製品を継承するだけでなく、イノベーションの先頭に立つ努力を怠らないからである。スタンダード・シリーズの多岐にわたるラインナップには、老舗マーティンのそういったスピリットが反映されていると言えるだろう。

 ここでは、長年にわたるマーティンの愛用者としても知られる斎藤誠氏を迎えて、現在のスタンダード・シリーズを代表する、ライブでも威力を発揮するモデルのいくつかを動画とともにご紹介しよう。

Martin DC-28E

Martin / DC-28E


DC-28E(Back)


ヘッド裏のボリュートがトラッドな雰囲気を醸し出す。ペグはグローバーのロトマチック。

エボニー指板はニッパチのお約束でドット・インレイのみの質実剛健なデザイン。

センター・ストリップも28仕様。カッタウェイ以外はトラッドなデザインだ。

 クラレンス・ホワイトからエルヴィス・プレスリー、マイケル・ヘッジスまで、様々なアーティストの愛用で知られるマーティンの代表機種“ディーのニッパチ”をモダンな仕様にしたモデル。第一次大戦の超弩級イギリス戦艦ドレッドノートに因んで名づけられた、大型のDタイプのボディにカッタウェイを設け、フィッシュマン社製Aura VT Enhanceピックアップ・システムを搭載したエレクトリック・アコースティックとなっている。スタイル28はボディ材にローズウッドを使用。トップ材はシトカ・スプルースで、ロー・ポジションからハイ・ポジションまで均質な演奏性が得られる、マホガニーのモディファイド・ロー・オーバル・ネックを採用している。[この商品をデジマートで探す]

【Specification】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.16mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●ピックアップ・システム:フイッシュマン・オーラVTエンハンス ●定価:530,000円(税抜き)

Makoto’s Impression

 普段使っているOM-28カスタムに比べて、Dの音はふくよかな感じですね。コードをジャラーンと鳴らした時の、ダイナミック・レンジももちろんだけれど、リッチな感じも違ってくると思います。ピックアップを付けると、生の音量が物足りなく感じられることもありますが、このぐらいのボディ・サイズになると、そういう問題もクリアしてくれます。あと、ピックで弾いた時でもふくよかなサウンドが崩れないというか、グチャッとつぶれませんね。ネックは通常よりも薄めでナット幅が広めになっている効果か、とても弾きやすいです。もともとDタイプには敷居の高さを感じていたんですが、このギターを弾いてそれが解消されたような気がしましたね。

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Martin OMC-18E

Martin / OMC-18E


OMC-18E(Back)


ボリュート無しのすっきりしたヘッド。ペグはバタービーン・ボタン付きグローバーのオープン・タイプ。

トップはビンテージ・トーン仕上げで、べっ甲柄のピックガードとのマッチングも良好。

マーティンの中では本来マホガニー・ボディは下位モデルの位置付けだが、このギターには非常にクオリティの高い材が使用されている。

 ドレッドノートよりも小ぶりでやや薄めのボディを持つOM(オーケストラ・モデル)は、同じボディでスケールがやや短い先行モデルの000と同じく、バンジョー・プレイヤーのペリー・ベクテルのアイディアを基に開発され、1930年に発売された。これにカッタウェイを設けたのがOMCで、スタイル18はボディにマホガニーを使用しており、明るく軽やかなサウンドが特徴となっている。トップ材はシトカ・スプルースで、Aura VT Enhanceピックアップ・システムを搭載したエレクトリック・アコースティック仕様。ネックはモディファイド・ロー・オーバル・ネックを採用している。
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【Specification】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.16mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●ピックアップ・システム:フイッシュマン・オーラVTエンハンス ●定価:500,000円(税抜き)

Makoto’s Impression

 僕はバンドと一緒にやったり、桑田佳祐さんと大きなステージで演奏する時にはカッタウェイ付きの000C-16を使っていて、このボディにも慣れているのでしっくりきます。OM-28Cとは、ボディがマホガニーというところが違いますが、このマホはきれいですね。試奏した時にはブルースっぽい演奏になりましたが、マホの明るいサウンドを聴くと、ちょっとイナタイというか、そういうことをやりたくなっちゃう。ボディの形だけじゃなく、音が飛び散らない感じも、すごく自分にぴったりしているなあと思いましたね。ネックの握りは自分の000C-16とよく似ているので、僕にとっては即戦力の1本という感じです。

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Martin GPC-35E

Martin / GPC-35E


GPC-35E(Back)


ペグはグローバーのロトマチック、ボリュートは無しのモダン仕様のヘッド。

エボニー指板。スタイル35から施されるバインディングは上位モデルの証。

3ピースのローズウッド・バックはスタイル35だけの特徴。

 マーティンの歴史的なモデルではなく、現代の音楽に対応すべくゼロから開発された、同社では最も新しいグランド・パフォーマンス・タイプで、ボディ容量はDよりもやや小さい程度で、たっぷりとしている。スタイル35はボディ材にローズウッドを使用しているが、バック材が3ピースなのが特徴で、コントロールの効いたサウンドが得られると言われている。トップ材はシトカ・スプルースで、カッタウェイを備え、Aura VT Enhanceピックアップ・システムを搭載したエレクトリック・アコースティック仕様。マホガニーのモディファイド・ロー・オーバル・ネックを採用している。
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【Specification】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.16mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●ピックアップ・システム:フイッシュマン・オーラVTエンハンス ●定価:540,000円(税抜き)

Makoto’s Impression

 あまり知らないモデルでしたが、Dよりも音が締まっていながら、マーティン独特のシャリーンっていう部分がちゃんとあって、スケールがでっかく感じるんですよね。マホのOMと比べると音が柔らかいから、ブルージーなことをやると可哀想で(笑)、もっときれいに弾きたい感じ。あと、スタイル35の3枚バックっていうのは、幅の狭い材でも使おうという、エコの意味もあるんですよね。そこがまた良いじゃないですか。吉田拓郎さんもたしか35でしたよね。指板のバインディングも、引き締まった感じがして良いですね。このGPCは新しいモデルで、往年のファンが目隠しして弾いたら、何のギターかわからないと言うかもしれませんが、僕は素直に受け入れちゃいますね。

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Fishman Aura VT Enhance & Loudbox Mini

 ピエゾ素子を使用するアンダーサドル・ピックアップ・システムは、楽器の構造や外観をほとんど損なわずに内蔵できる、アコギに優しいピックアップ・システムだ。そのシステムのトップ・メーカーであるフィッシュマン社とマーティン社が最初に手を組んだのは32年も前のことで、システムはその後、様々な改良が加えられ、現在のAuraへと進化している。Auraの最大の特徴は、システムを搭載するギターの生音をスタジオで収録し、そのデータから抽出したアコースティックな成分をアンダーサドル・ピックアップの信号にブレンドすることで、より自然でリアルなサウンドが得られる点にある。そして、最新のAura VT Enhanceピックアップ・システムは、新たにブリッジ・プレートに貼られたエンハンス・トランスデューサーの信号をAuraの信号にブレンドすることで、より明瞭なサウンドが得られるだけでなく、タッピングやボディ・ヒットなど、従来のアンダーサドル・ピックアップが苦手だった、よりモダンな奏法にも対応している。“VT Enhance”の名前は、サウンドホールからアクセスできるマスター・ボリューム(V)とAuraのトーン(T)、エンハンス・トランスデューサーのブレンド量(Enhance)の3つのコントロールだけでサウンドの調節が可能であることを意味している。
 なお、今回は試奏に同じくフィッシュマンのアンプLoudbox Miniを使用した。現在のラインナップでは最小最軽量だが、出力60Wとヘッドルームに余裕があり、小規模なライブやモニター用に便利な1台である。

楽器を構えた時にサウンドホールの上側にくるVとTのコントロール。従来のものはホイールがトップのすぐ下にきていたが、トップからやや離れて斜めにアレンジされた新型では、操作性が大幅に向上している。

同じくサウンドホールの下側にくるエンハンスのコントロール。

エンドピンと電池ボックス、出力端子は一体化されてエンドブロックに仕込まれている。生音への影響が最も少ない方法だろう。

試奏で使用したアンプ、Loudbox Mini。ギター入力とマイク入力を備え、動画で確認できるように弾き語りにも最適。

Makoto’s Impression

 Aura VT Enhanceのシステムは初めて試したんですが、エンハンスを上げると、長年アンダーサドル・タイプのピックアップを使っていて足りないなあと思っていた低音域が、ムワンと上がってきてくれる感じがしましたね。それに、ハウリングの心配無しに音が前に出て来るし、弾いている本人の気持ちもグーッと高まります。ボディ・ヒットみたいなことは滅多にやらないけれど、これからやってみようかな(笑)。そして、アンプのLoudbox Miniですが、マイク入力もあってこれでライブ用のシステムが完結するのが良いですね。サウンドもMiniとはいいながらしっかりしていて、低音から高音までバランス良く出ます。内蔵のエフェクターはアコースティック楽器にぴったりで、リバーブは自然だしコーラスは上品ですね。[Loudbox Miniをデジマートで探す]

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製品情報

Martin / スタンダード・シリーズ(エレクトリック・アコースティック・モデル)

【問い合わせ】
黒澤楽器店 http://www.kurosawagakki.com/
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プロフィール

斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。青山学院大学在学中の1980年、西慎嗣にシングル曲「Don’t Worry Mama」を提供したのをきっかけに音楽界デビューを果たす。1983年にアルバム『LA-LA-LU』を発表し、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポートギターをはじめ、数多くのトップ・アーティストの作品への楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。2013年12枚目のオリジナル・フルアルバム『PARADISE SOUL』、2015年にはアルバム「Put Your Hands Together!斎藤誠の嬉し恥ずかしセルフカバー集」と「Put Your Hands Together!斎藤誠の幸せを呼ぶ洋楽カバー集」の2タイトル同時リリース。また、本人名義のライブ活動の他、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務め、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。

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