Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
Jule Amps / Monique DOVECAGE
カリフォルニア州サンタクルーズに本拠を置くJule Ampsのモニークは、オール・チューブのベース用プリアンプ/DIです。トーン・コントロール部分は変化特性に優れたバクサンドール型アクティブEQ回路方式を採用しており、それぞれ±20dBのコントロールが可能です。DI出力にはプロ・オーディオ界でも高い評価を得るシネマグ製のライン出力トランスを使用しており、すべて真空管による回路方式で細部に渡って緻密に設計され、ポイント・トゥ・ポイント配線による完全ハンドメイドで製作されたハイエンドな製品です。
多少マニアックですが、本機で使用している真空管に目を向けてみると、6SL7が2本、12AU7が1本、EZ81が1本となっています。EZ81は電源回路に用いられる整流管ですが、いずれも楽器業界ではあまり見かけない真空管ですね。例えば6SL7はGT管という形状の双三極管で、12AX7などに代表されるMT管よりも歴史の古い真空管です。真空管回路の良し悪しは設計次第であり、6SL7だけで音質云々を語ることはできませんが、本機が完全オリジナル回路でこだわり抜いた設計であることは容易に想像ができますね。
フロント・パネルに並ぶコントロールはとてもシンプル。SENSITIVITYは楽器から入力されるゲインのコントロールで、ノブを引くことで+4dBの出力アップとなり、パッシブ楽器に適した入力設定となります。LINE LEVELはバック・パネルのLINE OUTの出力レベルのみをコントロールし、XLR BALANCED OUTの出力レベルはバック・パネルのBALANCED OUTでコントロールします。LINE LEVELノブを引くと出力が約10dBアップしますが、こちらは両方の出力レベルに反映されます。仕様上、LINE LEVELはもともと大きめに設定されており、ノブを引いて出力をアップさせるのは意図的にオーバードライブさせたい場合に限られるでしょう。レベル設定に関する動作仕様は少し複雑に感じるかもしれませんが、外部のパワー・アンプに接続して本機をベース・アンプ・ヘッドとして使用する場合は、フロント・パネルで音量をコントロールしつつ、XLRアウトのレベルは変化しない方が使いやすいですし、実際の運用面を考慮すればとても親切な仕様と言えるでしょう。
さて、実際に本機を試奏して感じたのは、極めてロー・ノイズで上質なトーンであるということです。シルキーな高域と深みのある低域で、情報量が多く音楽的な音色ですね。真空管回路というとオーバードライブさせたトーンを想像する方も多いと思いますが、本機に関してはクリーン・トーンはあくまでもクリーン。ただし冷たいクリーンではなく、温かみのある音色といった雰囲気です。SENSITIVITYを上げれば、わずかにサチュレーションを含んだホットな音色に変化します。トーン・コントロールは劇的な変化を生むタイプではありませんが、効果がしっかりとしていて音質的な破綻がなく、自然な変化で音作りもしやすいですね。
モニークは鳥カゴのようなケージ型の「DOVECAGE」のほかに、まったく同じ内部回路を持った竹製のキャビネット型の「BAMBOO」やデスクトップ型の「DESKTOP」をラインナップしているので、使用環境に合わせて選ぶと良いでしょう。モニークがあればワンランク上の音色で気持ち良く演奏できることを約束できますよ。
価格:オープン
価格:オープン
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