Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
DENON / オーディオ・リスニング・システム
2007年にアルバム『tide of stars』でデビューし、ボイス・サンプルのカットアップによるメロディ・メイクや、電子音楽への造詣の深さを感じさせるサウンドで独自の立ち位置を固めたDÉ DÉ MOUSE。6thフル・アルバム『dream you up』も記憶に新しい中、早くも5曲入りのEP『via alpha centauri』がリリースされた。今回はDÉ DÉ MOUSE本人と、まだ出来上がったばかりだったこのEPをオーディオ機器ブランドDENONのオーディオ・ルームで試聴する機会を得た。開発中のDENON製品のサウンド・チェックなどに用いられているこの部屋で実施されたプライベート試聴会の模様をお伝えしよう。
神奈川県川崎市を拠点にオーディオ機器の輸入/販売を手掛けるディーアンドエムホールディングス。そのオフィス内にDENONのオーディオ・ルームは併設されている。この部屋は普段、開発中のDENON製品のサウンド・チェックなどに用いられているのだ。今回の試聴会は、DENON製品の最終的な音決めを手掛けるサウンド・マネージャー=山内慎一氏が見守る中で実施。音源再生に使用したのは、氏がチューニングしたオーディオ・リスニング向けのシステムだ。取材当日は『via alpha centauri』のオーディオ・ファイル(16bit/44.1kHzのWAV)をAUDIRVANA Audirvana Plusで再生し、USBケーブルのAUDIOQUEST Diamondを通してCDプレーヤーDENON DCD-SX11のUSB入力にインプット。そこでD/Aした後、カスタムのライン・ケーブルを介してパワー・アンプのPMA-SX1へと送り、AUDIOQUESTのスピーカー・ケーブルを通してB&W 802 D3から出力した。
試聴を終えた後DÉ DÉ MOUSE本人に第一印象を尋ねてみると「音の距離感がすごく奇麗に見えますね」との答えが返ってきた。
「特に「rigil」では顕著です。キックはバリッと前に張り付くんですが、その向こうにほかの音が距離感をもって位置しているように聴こえます。また「wanna dance」という曲に荒れた音質の風鈴の音を入れていて、それに含まれる“サー”というノイズなども立体的に聴こえました。コンプのかかり具合もよく分かります。音がこちらに向かって飛んでくるんですが、スピーカーの手前辺りで止まるんですよ。このEPでは“荒々しい音”がテーマの一つにあったので、荒くした部分はちゃんと荒く聴こえたし、すき間を作ったところは距離感がしっかりと再現されていました。何かが誇張されることもなく、“作った音がそのまま出ている”という印象です」
この言葉を受けて、DENONの山内氏が語る。
「このシステムは、なるべく音の遠近感が出るように調整しているんです。また過度に写実性を重視するのではなく、楽しく音楽を聴けるように音決めをしています。それはDENON製品の開発にも通じることですね」
「実は途中から聴き方を変えてみたんですよ」とDÉ DÉ MOUSEが話す。
「最初の1〜2曲くらいは“アラが目立って聴こえるんじゃないか”と心配して、気になるところにフォーカスして聴いていたんですが、3曲目くらいから純粋に音楽を聴いてみようと思ったら急に楽しくなってきて。このシステムなら、一瞬だけ出てくるノイズでさえも気持ち良いと感じられます。ノイズだけでも楽しいと思えるのはスゴいことですよ。またさっきも言ったように距離感がよく分かるので、迫力を出すために随所に入れているライザーなどは、少し間引いた方が音と音のすき間を楽しめるのではないかと思いました。現在のダンス・ミュージックには、パソコンの内蔵スピーカーやスマートフォンで鳴らしたときに派手に聴こえるよう、ダイナミック・レンジや奥行きを犠牲にした音作りが目立ちます。裏を返せばパソコンやスマホが音作りの前提になっていると思うので、似たようなサウンドが増えていますよね。こういったシステムで音楽を聴くと距離感などにも耳が行きますし、音楽を作る側がそれを意識するようになると、生まれてくるものも変わってくるんだろうと思います。今回ここで音を聴いて、“普段から良い環境で音楽を聴く人が増えてほしいな”と切に思いました」
日ごろ聴いている音というのは、その人の音楽作品に多大な影響を与えるのかもしれない。制作用のツールのみならず、リスニング環境を整えることも、作る音のクオリティ向上やバリエーション拡大につながるだろう。
2017年9月29日(金)~10月1日(日)有楽町の東京国際フォーラムで開催される「2017東京インターナショナルオーディオショウ」にデノンが参加(G701)。同社のハイファイ・オーディオの世界を体験することができます。
http://iasj.info/tokyo-international-audio-show/2017/
8月にリリースされたDÉ DÉ MOUSEさんの配信限定EP『via alpha centauri』をDENONのピュア・オーディオのシステムで体験できる試聴会を開催いたします。DÉ DÉ MOUSEさんご本人の解説を交えながら、素晴らしい環境で『via alpha centauri』を楽しめる好機会です。応募は先着順になるので、早めのお申し込みを!
日時:2017年10月20日(金)18:30 OPEN / 19:00 START
場所:両国アコースティックラボ
住所:東京都台東区柳橋2-19-10 第二東商センター2号館 B棟1F(MAP)
費用:無料
お申し込み:http://acaudio.jp/?p=2482
※先着順になります。
本記事は、リットーミュージック刊『サウンド&レコーディング・マガジン 2017年11月号』の特集記事を一部転載したものです。本誌記事には、ここでは紹介できなかったDÉ DÉ MOUSEニューEP『via alpha centauri』収録曲のプロダクション・インタビューを掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。
また本号の巻頭インタビューではフー・ファイターズをフィーチャー。世界的バンドの新作レコーディングを探るべく、LAのStudio 606 & EastWest Studiosを巡礼! さらに110ページに及ぶ特大企画では「アメリカ音楽の聖地」ナッシュビルのさまざまなスタジオを訪問。豊富な写真と貴重なインタビューとともに、ナッシュビル・スタジオの最新事情をお届けするなど注目の1冊となっています!
DÉ DÉ MOUSE
『via alpha centauri』
not records:NOT0016
(配信限定リリース)
1.festa de centauri
2.wanna dance
3.rigil
4.otters for fete
5.star gazer