楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 連載

ギターワークス【2018ギター工房放浪記。】

ギターワークス

このエントリーをはてなブックマークに追加

国内ジャズの重鎮たちをはじめ、関西シーンを支える経験豊富な老舗

 阪急の摂津市駅から徒歩約7分に位置する、創業25年の老舗工房ギターワークス。ギター製作、パーツ販売、修理という3つの柱で、総合的にギター・ライフを支えるというのが工房の理念であり、最も大切にしていることであると代表の伊藤邦雄氏(下写真中央)は語る。

「技術面のレベルが高いことは大前提で、そのうえでお客様のニーズにいかに応えるかに重点を置いています。私自身がジャズ・ギターを何十年もやってきて、生きていくうえでどれだけ音楽が有益かを感じていますからね。我々が行なっているのは、お客様に音楽を介して生活をエンジョイしてもらうお手伝いなんです。そこが一番ですね」

 顧客の中には、現状の楽器に対して漠然と不満を持っている人もいるが、経験に基づき、どんなリクエストも汲み取ることができる点も特徴だ。

「この方は何を求めているのか、どうしたら喜んでもらえるのか。それを汲み取るには、いろいろなお客様と接してきた経験も必要なので、そういったところもウチの特徴です。技術に関しても、リクエストに応えるために必要だから自然とスキルアップしている形で。ほかとは考え方が違うかもしれないけど、ギターワークスの存在意義や使命はそういうところにあると思いますね」

 顧客満足のために、妥協は許さない。ギター製作は、ネック・オーダー/ボディ・オーダー/フル・オーダーから選択可能で、いずれも丁寧な作業によって高品質なものを作り上げる。オリジナル・モデルの“Virgo(ヴァーゴ)”や、手にしっかり馴染むネックが特に人気だ。

「新しいネックでも、弾き込んだものと同じくらい手に馴染むものを作るようにしています。一番気をつけているのは、フレット周りの処理。プレイアビリティに特に関わるので一番時間をかけていますし、どの工房と比較されても自信があります。と、言っても何か変わったことをしているわけじゃなく、ひとつひとつの工程を丁寧に行なうだけなんですけどね。でも、握ってもらえば、その違いがわかると思いますよ」

 さらに、力を入れているパーツ販売でも、同社ならではのこだわりが感じられる。

「楽器をいじる方が好きな人にとっては、“改造”自体が音楽ライフを楽しむ手段ですよね。そう考えると、パーツも供給してトータルで“楽しい”と思っていただきたいんです。そのためには単にパーツを売るだけではなくて、知識や使い方などノウハウも提供する必要があると思うんですよ」

 オリジナル・パーツで特に人気なのが、テイルピース・ロック・システムの“FIXER”。ストップ・テイルピースのスタッドをFIXERに交換するだけで、弦振動がボディにダイレクトに伝わり、サステインや音の立ち上がり、鳴りも良くなるという。特別な工具は不要で、取り付けも簡単だ。ちなみにリペアの顧客は、プロやハイ・アマチュアなどリピーターが多数だが、実は関西ジャズ・シーン御用達の工房でもあるという。

「日本のジャズ・ギター界の大巨匠である竹田一彦さんや寺井豊さんもいらっしゃいます。自分が最も尊敬しているおふたりのギターを修理・メンテナンスさせていだいていて、とても光栄ですね。僕が若いころ、竹田さんに師事していたこともあってかジャズ界隈のお客様は多いですよ。修理に出すなら、やっぱりジャズを知る人に……ということもあると思いますし、箱モノに関してはかなりの数を見てきたので、得意分野でもあります」

 もちろん、3名いるクラフトマンはそれぞれ異なるジャンルを得意とするので、ジャズ以外の顧客も数多い。ちなみに伊藤氏自身、月に数回ライブを行なう現役バリバリのジャズ・ギター弾きだ。

「頭の半分はミュージシャンで、半分は会社経営(笑)。忙しいけど、ギターをプレイすることは譲れない部分ですね。やりたいように音楽をやって、しかも会社を経営してお客様に喜んでいただければ最高かなって。音楽や楽器というのは、本当に素晴らしいもので、人生が豊かになる。会社を大きくするとかそういうことじゃなくて、お客様に音楽を通して楽しく生活してもらいたい。それだけですね」

Shop Data

ギターワークス

〒566-0012
大阪府摂津市庄屋2-3-31
06-6317-5129
http://www.guitarworks.jp/

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS