ヘッドウェイの桜10周年記念モデル、第一弾としてSAKURA'24&YOZAKURA'24の全8機種が登場
- 2024/03/19
SGTech / SGT-3DPEB01JB
SGTechは横浜に本拠を置き、ポータブル・エレキ・ギターの開発製造販売などを手掛けるブランドですが、本器は同社初のポータブル・ベースということでとても意欲的な製品に仕上がっています。ポータブル・ギター&ベースは楽器としてのクオリティよりも、持ち運びの利便性ばかりを重視する向きも多いのですが、本器は高いクオリティを保ちながら優れたポータビリティをも発揮する製品です。
本器の名称SGT-3DPEB01JBの“3DPEB”とは“3 Dividable Portable Electric Bass”の略で、“3分割できるポータブル・エレキ・ベース”という意味ですね。ボディ、ネック、弦アッセンブリ―の3つの部分が簡単に着脱できるわけですが、注目すべき点はこの楽器を日本のベテラン・ギター職人がハンドメイドで丹精込めて作り上げている、ということです。手にしてみると確かに質感が良く、塗装や仕上がりも上質で丁寧に作られた楽器であることがわかります。
大きめのエフェクター・ケースほどのハード・ケースには、オプションのネックを含むすべてのパーツが綺麗に収められています。ストラップやシールド、チューナーなど演奏に必要な小物が収められるスペースもありますね。組み立ての手順としてはまずボディにネックを取り付けます。ボディのネック・ポケットにはネック側に取り付けられた金属プレートがピタリと収まる凹みが設けられているので、ネックをボディに合わせ、ボディ側にあるダイヤル式のネジを手で締めるだけでネックがボディにしっかりと固定されます。次に弦が固定されたデタッチャブル・チューナーをボディのブリッジ部分にはめ込み、ネック先端の所定の位置にナット部分を合わせてネジ止めします。あらかじめブリッジ部分のチューナーを緩めてサドルを前に出しておくのがコツですね。すべての行程は工具なしで作業でき、組み立ては慣れれば1分ほどで完了します。誰でも簡単に組み立てることができますし、組み立て方による音質の差もほぼないでしょう。デタッチャブル・チューナーは精巧な造りでチューニングも安定しており、耐久性も高そうです。
コンパクトなボディの材質はハード・アッシュ、ネックはメイプルで、22フレット(0フレット含む)の指板はローズウッド。ピックアップはバルトリーニの9Sを搭載し、コントロールは2ボリューム/1トーンのシンプルなパッシブ仕様です。さまざまなジャンルに対応しやすいJBタイプならではオーソドックスな音色ですが、タイトな低域からクリアな高域までレンジが広く澄んでいて、ヘッドレスならではのクセのないスムーズなサステインがあり、優れた木材によるネックやボディの“鳴り”もしっかりと感じられます。クセがない音色なのでエフェクターとの相性も良いでしょう。オプション(別売り)のフレットレス・ネックでも弾いてみましたが、バルトリーニ9Sとの相乗効果なのか、ノイズレスで充実した中音域の特徴がより鮮明になり、心地良く演奏できますね。
SGTechではユーザーに合わせた特別仕様の製作も対応可能とのことで、本器のキャビティにも、アクティブ化に対応しやすいようにあらかじめ広いスペースが確保されています。例えばEMGのアクティブ・ピックアップなども合いそうです。カラーリングやピックアップの選択など、オリジナル・モデルの夢が広がりますね。本器は、例えポータブル・ベースでなかったとしても充分に魅力的な楽器でした。JBタイプのほかにPタイプ・ピックアップを搭載したモデル「SGT-3DPEB01PB」も用意されていますが、まずはこのレビューをじっくり観て、聴いて、その実力を確かめてくださいね。
価格:¥247,000 (税別)
価格:¥225,000 (税別)