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  • モデリング・ギターのShurikenにレギュラー・スケール・ネックのモデルが仲間入り

Line 6 / Shuriken Variax SR250

Line 6 / Shuriken Variax SR250

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Line 6とヤマハのギター開発のノウハウを集結して制作された
モデリング・ギターのニュー・モデル

 世界中どこを見渡しても、ここまで進化したギターにはお目にかかれない。このShuriken Variax SR250はコレクター向きのソレではなく、実際に楽曲をプレイするすべてのギター・プレイヤーがチェックしなければならないだろう。少し見た目が特徴的かもしれないが……もしあなたがトラディショナルなギターを弾いたことがあるのであれば、何も心配することはない。このギターが、これまでにあなたが体験したことのない新しい音楽の世界に導いてくれる。そしてあなたは、ギターという楽器が持つ可能性に驚かされることだろう。

Line 6 / Shuriken Variax SR250(Front)

 モデリング・ギターという新しい楽器/定義を生み出し、世界中から注目を集めたLine 6製のVariax。そのラインナップに新たに加わったのが、トゥエルブ・フット・ニンジャのギタリスト、スティーヴ・マッケイのシグネチャー・モデルから派生したShuriken Variax SR250だ。Line 6とヤマハが持つギター開発のノウハウを集結して誕生したこのモデルは、エッジにコンター加工の施されたユニークなボディ・シェイプに、ミディアム出力のカスタム・ハムバッカー・ピックアップを採用している。そして、現代的でクオリティの高いギター本体に搭載されたVariax HDテクノロジーがサウンドに無限の可能性を与えている。

Line 6 / Shuriken Variax SR250(Back)

 今回の製品レビューでは、Shuriken Variax SR250とLine 6製のギター・プロセッサーHelixを専用ケーブルでリンクさせて使用し、ライン・サウンドを録音している。進化したギターとギター・プロセッサーがどれほどの可能性を秘めているのかを、動画と合わせてチェックしてほしい。

モデリング技術に磨きをかけたVariax HDテクノロジーにより
瞬時にエレキやアコギなどの弦楽器のサウンドやチューニングの変更が可能!

 Variax HDテクノロジーとは、「Line 6独自のモデリング・テクノロジー」のことを指している。ギター本体のノブを回すだけで、名器と呼ばれる数々のエレキ/アコースティック・ギター、そのほかの弦楽器のサウンドに瞬時にアクセス可能で、オルタネート・チューニングも簡単に切り替えることができる。ギター本体にはひとつのハムバッカー・ピックアップが搭載されているだけだが、ブリッジに仕込まれたセンサーが弦の振動を読み取り、Variax HDテクノロジーがそのシグナルをギター・サウンドとして出力する。一般的なピエゾ・センサーでは、弦の振動を汲み取りサウンドを切り替えることしかできなかったが、Variaxではネック・ピックアップやミドル・ピックアップのポジションによるサウンドの変化、さらにチューニングすらもVariax HDテクノロジーの内部で変化させることができる。

ギター本体に設置されたノブ。さまざまなプリセットを保存でき、数々のギターや弦楽器のサウンドに瞬時にアクセスできるほか、チューニングも簡単に切り替えることができる

 また、Variax Workbench HDソフトウェアを活用することで、バラエティ豊かなボディとピックアップのモデルを組み合わせることも可能となり、独自のギター・トーンから歴史あるギター・サウンドまで簡単に創造できてしまう。また、ギターをオープンGやDADGAD、ドロップDなど、あらゆるカスタム・チューニングに設定でき……まさにドリーム・ギターを創り出すことができる。

Variax Workbench HDソフトウェアでは、このようにSTタイプのギターにP-90やハムバッカーを載せることもできるので、自分が考えるオリジナル・ギターも再現可能!

 そしてShuriken Variax SR250とHelixを連動させ、Helixのスナップショット機能を使うことで、異なるギターとチューニングを瞬時に、かつ音切れなしに切り替えることが可能になる。つまりHelixのフット・スイッチでサウンドを切り替えれば、Variax側のセッティングも同時に切り替わる。

例えば、

・シングルコイルのサウンド/レギュラー・チューニング
・2ハムバッカーのミックス・ポジション・サウンド/DADGADチューニング
・Dタイプのアコースティック・ギター・サウンド/レギュラー・チューニング
・シタールのサウンド/レギュラー・チューニング
・テレキャスターのブリッジ・ピックアップのサウンド/ドロップDチューニング

 といったセッティングをHelixのスナップショットにセーブしておくだけで、劇的なサウンド・チェンジがワンアクションで完結するのだ。

 いかがだろうか? このようにバーチャルで作り上げたサウンドとチューニングを、実際のギターを弾くことでトリガーし、何の違和感もなく弾けるのだ。これこそが、このギターが「モデリング・ギター」と呼ばれている所以である。

演奏や制作において刺激を与えてくれる
「次世代のギター」筆頭のShuriken Variax SR250

 Variaxの開発に際しては、世界的に有名なビンテージ楽器のディーラー、アルバート・モリナーロ協力のもと至上のビンテージ・ギターを集め、さらにその中から選りすぐられた楽器のサウンドがモデリングされている。例えば、いわゆる「バースト」と呼ばれる58〜60年製のレス・ポールの中でも、特有の枯れたサウンドを持つ個体からウェットなサウンドの個体まで、さまざまなものが存在する。Variaxはこれらのギターを年式やスペックで選別せずに、ビンテージ・ギターの中でも最良の音色を持つ個体を選び、そのクラシックな楽器が持つ独自のキャラクターや魔法のようなトーンの秘密をモデリングという形でデジタル化。それゆえに、オリジナル・ギターのボリュームやトーンのコントロールに対する振る舞いも驚くほど正確にキャプチャーされている。例えば、弦を擦ったりブリッジを叩いてみると、実際に演奏を行なわなくてもボディの共鳴が得られ、ハムバッカーを搭載したギターのモデルはシングルコイルよりも音量が大きくなる傾向なども見事に再現されているのだ。

 このVariaxギターの登場により、要求されるギター・サウンドやチューニングを含めた「響き」を再現する技術面での難点は過去のものとなった。ひとまずプリセットを組み上げてしまえば、ギタリストは完璧なテイクを生み出すことにだけに集中できるだろう。エレキ・サウンドからアコースティック・ギター・サウンドに簡単にチェンジでき、オルタネート・チューニングもレギュラー・チューニングもその場で一瞬で切り替えることができる。さらに、現実ではなかなか触れることのできないシタールなどの民族楽器は、新しいインスピレーションを生み出す刺激にもなるだろう。

 冒頭でも記述したように、このギターはコレクター向けの楽器ではない。しかし、ギター・コレクターであれば思わず「アツく」なってしまう往年のギターサウンドも再現することができる。そしてオルタネート・チューニングは、単調になりがちなバンドの楽曲やアンサンブルに刺激を与えてくれるだろう。こんなにも強力なギターをモダン・ギタリストだけのものにするのはもったいない! ギター好きであれば、ぜひ実際に手にして試してほしい「次世代のギター」筆頭であることは間違いないだろう。

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製品情報

Line 6 / Shuriken Variax SR250

価格:オープン

【スペック】
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:インディアン・エボニー ●スケール:25.5インチ ●フレット:24、ミディアム・ジャンボ・フレット ●ブリッジ:ピエゾ・ピックアップ搭載固定式カスタム・ブリッジ ●ピックアップ:中出力ハムバッカー×1基 ●コントロール:ボリューム、トーン、ギター・モデル、オルタネート・チューニング、5ウェイ・セレクター・スイッチ(Variaxモデル切り替え用) ●出力端子:1/4インチ、VDI(Variax Digital Interface) ●カラ―:マット・ブラック ●重量:3kg ●サイズ:140×470×1171mm
【問い合わせ】
Line 6 インフォメーションセンター TEL:0570-062-808 http://www.line6.jp
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

岡 聡志(おか・さとし)
1992年生まれ。三重県出身。「GIT Masters 2012」と「Guitar Magazine誌上コンテスト2012」にてグランプリを獲得したギタリスト。現在はマーティ・フリードマンや上坂すみれ、小野賢章を始めとするアーティストのレコーディングやライブ・サポート、さらにはギター講師など幅広く活動中。

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