Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
Warwick Team Built / Streamer LX
現在Warwickにはマスタービルダーの手によってドイツ国内でハンドメイドされる“Custom Shop”、同じドイツ工場で製作されながらも高いコストパフォーマンスを実現した“Team Built”、中国の工場で製作されるエントリー向けの“Rockbass”という3タイプのプロダクト・ラインがありますが、今回紹介するのは“Team Built”を元に、カタログには掲載されていないスペックで製作された日本限定カスタム仕様のStreamer LXです。
Warwickをお好きな方はご存知かと思いますが、Streamerはアーチの付いたコンパクトなボディ・デザインが特徴の定番モデルで、LXはボルトオン構造を意味していますね。カタログに掲載されていない本器のスペックというのは、ボディ・トップに上位グレードの“Custom Shop”では定番となっているフレイム・メイプルを採用している点です。高級感のある杢目がシックなカラーリングと相まって大人の雰囲気を醸し出していますね。ボディ・バックはスワンプ・アッシュですが、ボディを横から見るとトップ材がかなり分厚いことがわかります。フレイム・メイプルのトップ材はルックスだけでなく音質面でも本器の特徴に大きく貢献しそうです。また、ネック材はオバンコール、指板はウェンジとなっていて、アフリカ系の硬質なマテリアルが持つ音響面の特徴も本器に生かされていることでしょう。また、JJレイアウトのピックアップと2バンドEQは、Warwickでは定番のMEC製で、2ブロック構成のブリッジなどとともに安定した実力を発揮してくれそうです。
楽器を持ってみると、ネックは一般的なJBタイプに比べればやや幅広ですが、太いと感じることはありません。オバンコールの杢目の質感を生かしたネックの仕上げは、例えばメイプル・ネックのサテン・フィニッシュに代表されるサラサラの質感とは異なりますが、スムーズさを損なうということもなく、逆に“木で作られている楽器”を実感でき、音楽的な表現も豊かになりそうです。コンパクトなボディなので座奏時はやや低めのポジションになりますが、自身にピタリとはまる場所(持ち方)を見つけられると楽器も安定するし、ハイ・フレットが弾きにくいということもないでしょう。各部の完成度は高く、タイトで剛性も高そうだと感じました。
楽器の音色は、月並みな表現ではありますがクリアでストレートです。筆者としてはWarwickの楽器に対してアクティブのクセの強い音色でジャンルを選ぶ、というイメージを抱いていたのですが、本器にはそれがありません。しかし個性がないというわけではなく、あらゆるジャンルに対応できる万能性がありながらもWarwickらしいタイトさ、アタック感を兼ね備えています。これらは多分にネックやボディのマテリアルによるところが大きいと感じました。さらにドイツ国内生産による確かな完成度とハイ・クオリティなエレクトロニクスが加わり、総合的に高域から低域まで音色や質感のバランスは安定しており、アンサンブルで埋もれずソロでも魅了できる有機的な音色の楽器に仕上がっていると感じました。
本器を弾いてみて、最近はロックに限らず、さまざまなジャンルのベーシストがWarwickを愛用している理由がわかったような気がしました。ルックスは上位グレードと同等で、音色も遜色ないうえにコストパフォーマンスも高いとあって、まさに死角なしの1本と言えるでしょう。
価格:¥250,000 (税別)