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ミト(クラムボン)がチェック! 特選!DIガイド2019

DI

レコーディング/ライヴにおいて、どんなベーシストでも必ず使用する機材であるDI。ライン音がサウンドメイクにおいてこれまで以上に大きな要素となった現代においては、ベーシスト自身がお気に入りのDIを積極的に選択する必要に迫られていると言える。今回は、クラムボンのミト氏、都内のレコーディング・スタジオstudioforesta のエンジニアである森田良紀氏を迎え、注目モデル11機種をレビューする。なお、ベース・マガジン2019年10月号には、ミト氏による試奏音源が付録。こちらもあわせてチェックしてほしい。

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ACME AUDIO
MOTOWN D.I. WB-3

伝説の60年代サウンドを再現!

 1960年代のモータウン・サウンドを再現するというコンセプトで開発されたACME AUDIOのMotown D.I. WB-3。モータウンのスタジオ(ヒッツヴィルUSAスタジオ)のオリジナルDIを再現するため、当時使用されていたトランスを製造した技術者を捜し当て、本機の開発を実現した。外観はオリジナルのDIとほぼ同一で、アンプへのパラアウトが取れる2系統のインプット、アッテネーターのスイッチ、グランド・リフト、バランス・アウトというシンプルな構成。パッシヴ・タイプであるのに加えて、当時の使用方法が前提となるので、別途マイクプリやコンソールの接続が必須となるが、その手間をゆうに上回るヴィンテージの質感を持ったモデルだ。

TOP

SIDE

【Specifications】
●電源:不要●外形寸法:133(W)×55(D)×76(H)mm●重量:約755g●価格:¥55,370

【問い合わせ先】
宮地商会 MI.D.

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IMPRESSION TALK

ミト “モータウン”の名前どおり、やっぱり古めかしい音はしますね。いい感じに太くなっている。意外とスラップは痛い帯域がないから使いやすいかな。

森田 でも、思ったよりは抜け感があって。

ミト そうなんですよね。ピックは意外とギャリギャリにまでいけますし。ただ、やっぱりカラーが強いから、DIにストレートなものを求めると、ちょっと毛色が違うかな。

森田 どのベースを入れても、このDIのキャラクターに引っ張られる感じはありますね。ボトムの太さはかなりあって、もとで録ったものと比べると相当出ていますね。

ミト 普通のDIではこういう感じの、重心が定まって、なおかつまろやかな感じにはならないと思うな。逆を言うと、それ以上のことはできないっていう、いろいろと割り切っている感じには聴こえますね。

森田 かといって、モータウン風の音楽以外に合わないかと言われれば、そういうわけではなくて。

ミト モータウンまでさかのぼらなくても、今の落ち着いた音楽にも合うし、最近の生演奏でヒップホップ寄りなものとか、ちょっと黒い感じのものを録音するなら、すごくいいと思います。ロー・ミッドに倍音的な特徴があって、それがコシのある感じに聴こえる。

森田 上の帯域を落としているのかなと思ったんですけど、多分、下の帯域がグッと出ているからそう聴こえるのかもしれませんね。

ミト そうですね。いわば、アンペグっぽい感じ。アンペグも実は低い側がモリッといるだけで上の帯域もしっかりと伸びていたりするじゃないですか。ハイファイなベースを差し込んでも、このDIだったらしっかりと落ち着いた音、言い方は悪いけど“プロっぽい音”にしてくれる感じはあります。

森田 うん、ベースとして整った感じはあります。あと、リアンプ機能がついているというのも興味深い。

ミト リアンプでこのカラーがついて、それをマイクで録ったら、どのアンプを使っても“モータウンの音”になるのかな?(笑)どういう感じで使えるのか、今度やってみましょう(笑)。

A-DESIGNS
RED DI

フル・チューブによる高品位サウンド

 米国の録音機器メーカーA-Designsが製造する、フル・チューブの高品位DIとして知られるアクティヴ・タイプのRED DI。アンペグB-15からインスパイアを受け、6NI-P真空管で駆動することからも、本機がベースでの使用を念頭においた製品であることがわかる。入出力はバランス/フォーン兼用のインプット、バランス・アウト、スルー・アウト(フォーン)、操作子はレベル・コントロール、グランド/リフト、オン/オフ・スイッチ。B-15と謳うとヴィンテージ系と思うかもしれないが、ワイドレンジな周波数特性を持ち、クリアで伸びのあるトーンが特徴でもあるため、エレキ・ベースはもちろんのこと、ギターやシンセサイザーまで幅広く使用できる。

FRONT

REAR

【Specifications】
●電源:100V●外形寸法:89(W)×368(D)×89(H)mm●重量:4.54kg●価格:¥110,000

【問い合わせ先】
ミックスウェーブ

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IMPRESSION TALK

森田 ハイファイですね。エンジニアではけっこう好きな人が多い印象のDIなんですけど、人気があるのもわかります。

ミト 受けが広いから作りやすい、まとめやすいというのがあるんでしょうね。

森田 エンジニア的には入ってきた音がちゃんと上下のあるレンジの広いものだし、しっかりとチューブの押し出し感もあるから、まとめやすいんですよ。これはアンペグのB-15からインスパイアされているそうで。B-15のどの部分からインスパイアされているのかはわからないですけど、上の帯域がちょっとなまる、アンプっぽい感じはあるのかな。

ミト いわゆるB-15の明るさというか前に出る感じをイメージしているんじゃないかな。その流れでのチューブ感みたいなものとか。B-15Nは僕も使っていて、あれに勝るものはないと思っているし、ベースの帯域から何から、みんなが思っているいろんな機材のスペックが、ある意味あの音を基準に作られていると思うんですね。だから、そういう意味での可能性の広さというものを、これに委ねているのかもしれない。

森田 B-15うんぬんというのでなくても、レンジの幅も広いし、いいDIだと思います。

ミト DIに何を求めるかって、たぶんラインのサウンドに対してアンプと同じ、遜色ないニュアンスを欲しがるわけじゃないですか。そういうニーズにはとっても応えているDIだと思います。ラインの音でレコーディングをしているけど、ちゃんと空気振動に感じる何かを付加しているように聴こえる。それがチューブの良さなんですけどね。ヘッドフォンをしながらプレイしていても、不自然じゃない。サウンドという面以外に、弾き心地に影響してくる要素かもしれないですね。ライン音のクセみたいなものにとらわれて弾きにくかったりすることもあるので。

森田 情報量が多いサウンドですよね。

ミト うん。だからベース1本でも成り立つというか、デモ演奏でもやりましたけど、ベースだけでアルペジオを弾いていてもすごくリッチに聴こえる。速いパッセージにもしっかりついてくる感じがあって。表現がしっかり出せる感じがありますね。

ENFINI CUSTOM WORKS
FIDELITY D.I.

厳選されたパーツを使用したピュア・サウンド

 アコースティック・ギターに特化した機材メーカー、アンフィニカスタムワークスのFidelity D.I.は、左右2系統のステレオ仕様。トランスレスのフル・アクティヴ・タイプの本機は左右の各チャンネルにバッファーとバランスというふたつの出力、さらにロー・カットとハイ・カットのフィルター、グランド/リフトとフェイズ・スイッチを備えており、積極的に音を作れる設計になっているのもポイントだ。フィルターは各帯域で3つの周波数ポイント(ロー・カット:80Hz/160Hz/250Hz、ハイ・カット:4kHz/6kHz/12kHz)が選択でき、これらを操作することでチューブDIのような柔らかみを持ったトーンを作ることが可能だ。

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【Specifications】
電源: 48Vファンタム、9V乾電池●外形寸法:106(W)×136(D)×40(H)mm●重量:460g(006P 9V バッテリー含む)●価格:¥185,000

【問い合わせ先】
アンフィニカスタムワークス

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IMPRESSION TALK

ミト これはステレオDIなの?

森田 そうみたいですね。しかもフィルターがたくさんあります。こんなにカットできるDIはあまりない。アコギ用のプリアンプから派生しているということで、アコギのハウリング防止にはすごく納得の帯域です。ベースで使うぶんには、これらのスイッチは触らなくてもいいでしょうね。音はすごくストレートな印象。もとの音を録ったときと印象が変わりませんね。入ったものがそのまま出てくるというか。すごくクリアですよね。

ミト すごくクリアでピュアな分、ライン録りしている際の、空気に触れていないっていう違和感というか不自然さという部分ではシビアかもしれないですね。だから、ベース本体から直挿しして録音するっていうよりは、自分のベースと足下のセッティングを素直に出したいっていう場合に使うのがとってもいいと思います。ある程度キャラを作った状態で、それを変えずに出したいという用途にはすごくハマるんじゃないかな。あと、最近はベーシストが鍵盤でシンセ・ベースを演奏することも多いじゃないですか。そういうシンベを出すにはすごくいいですよね。

森田 たしかに。シンセとかに使うにはすごく良さそう。

ミト 5弦ベースを弾いてみると、本来の感じでローBも出ますね。ハイファイだから、上下が広い感じをフレーズで作りたくなります。デモ演奏でもハーモニクスの音域とローBの音域で、違和感なく両方出ているのがわかると思います。デモ演奏でやったみたいなハーモニクスのプレイなんかをやりたくなりますね(笑)。コーラスを入れたいくらい。

森田 それこそステレオ機能を生かして、ステレオ・コーラスを使ってもいいかも(笑)。すべてがフラットにそのまま出るので、状況に合わせた楽器を選んで使うのにはいいでしょうね。アコギとかで使うと全部が出ちゃってハウリングしてしまうからカット・スイッチがついているんでしょうけど、普通のDIだとそこら辺は少し落ちていることが多いから、それが落ちずに出るというのは再生力があるということなのかも。ピュアですよね。ここからいかようにも持っていける。

HUMPBACK ENGINEERING
HIGH DEFINITION D.I.

エフェクター・サイズのコンパクトDI

 現在は録音系機材のカスタムオーダーも手掛けるHUMPBACK engineering。外部アダプターで駆動するHigh Definition D.I. (HDDI) は、ハンドメイドで製造されており、DIの心臓部となるトランスには定番のマイクプリとして知られるFocusrite ISAシリーズにも使用されるLundahl社の“LL1517”を採用していることからも、楽器本来の音に加えて、弾き手のダイナミクスをしっかりと表現する。後段にマイクプリを挟めばプリのキャラクターに合わせて特性も変化するため、ライヴはもちろんレコーディングにも活用できる。MXRのストンプ・ボックス・サイズというコンパクトさも魅力の1台だ。

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SIDE

【Specifications】
●電源:DC9〜18V●外形寸法:112(W)×60(D)×31(H)mm●重量:310g●価格:¥45,000

【問い合わせ先】
HUMPBACK ENGINEERING

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IMPRESSION TALK

ミト これはベース向けにフォーカスしている感じの印象ですね。

森田 下の帯域の感じが強いですね。

ミト ベース・サウンドに対してロー感のイメージがかなり強い人とか、低いところで支えることを基本とする、バンドの低域でしっかりとボトムを支えたいっていう人が使うのにとってもいい。そういう意味で、キャラクターづけが明確なDIだと思います。

森田 特徴的なサウンドで、ちょっとドンシャリっぽい傾向に感じますね。

ミト こういうタイプのものだと、例えば速いパッセージを弾くときってわりとロー感が損なわれがちですけど、そこでロー感もつけたいみたいなときには、太さが前に出ているのでアリかなと思います。重心がすごく低いので、12フレットあたりで速いパッセージを弾くと、フラットなDIだとやっぱりロー感が寂しくなってしまうんですけど、これを通して弾いてみると、ちょうどいいロー感でステイしてくれる。

森田 たしかに、上のポジションに上がっていったときのバランス感はいいですよね。ベースの音をそのまま出すっていうよりは、ややEQで調整したような感じはあります。

ミト ローBを使ったときのローの出方はけっこう強烈ですね。ベース的な帯域ではないところでもけっこう主張がある。フレージングとしては、4弦ベースの“ドーン、ドドーン”みたいな、オーソドックスでポップな、“ベーシスト”っていう存在を出していくにはいいというか。

森田 キャラクターが強いので、目的や使う楽器がしっかりと定まっている人には、ハマってくると思います。使っている楽器や足下などの組み合わせによって、いい重心の下がり方をしてくるというか。だから、DIというよりはエフェクター的な捉え方でもいいかもしれないですね。

ミト そうですね。いい意味でキャラクターがしっかりした音で出てくるので、このリッチな低域感を生かす作り方で楽器やフレーズを選んでいたほうがいいと思います。そういう意味では、珍しいタイプのDIで、新たな知覚の扉が開くような感じもありますね。

KLARK TEKNIK
DI 10A

MIDASトランスを搭載したクリーン・サウンド

 ライヴハウスなどに常設される定番EQ“DN360”でも知られるプロ・オーディオ・メーカーであるクラーク・テクニックが開発するアクティヴ・タイプのDI。カスタムメイドのMIDAS製トランスを内蔵し、高いヘッドルーム設計によって優れた音質を実現した本機は、48Vのファンタム電源もしくは内蔵バッテリーで駆動する。入出力はバランスとフォーンの2系統の入力と、スルー・アウト、バランス・アウト。グランド・ループを解消するアース・リフト・スイッチも付属する。3段階のレベル切り替えが可能な入力アッテネーション・スイッチがあり、アクティヴ/パッシヴのベースはもちろん、それ以外にもさまざまな楽器の入力にも対応する。

FRONT

REAR

【Specifications】
●電源:ファンタム電源、9V乾電池●外形寸法:118(W)×120(D)×64(H)mm●重量:560g●価格:オープンプライス(市場実勢価格¥7,500前後)

【問い合わせ先】
ベステックオーディオ

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IMPRESSION TALK

森田 コストパフォーマンスが素晴らしいですよね。でも、それで何かが損なわれるということもなくて、いわゆる“ライン音”がしっかり出てくる。イメージしているDIのフラット感というところですよね。

ミト いわゆる“ライン感”は残ってしまうんですけれど、個人的にはフラットな音で安心感というのがある。

森田 ラインの音ってこういう音だよねっていうか(笑)。

ミト そうそう(笑)。

森田 定番DIに近い音かな。現場に行って、“DIはこれしかありません”って言われても、全然OKですって作業をしていける普遍感はありますね。色づけがないからこそ、むしろこのあとはこちらでちゃんと音を作りますよっていうことができる。ロス感もないし。

ミト 試奏で使ったジャズ・ベース自体が優秀なものなんですけど、その優秀さをそのまま出してくれるというか。クセがないからあまり音作りでも悩まないですよね。そういう意味で、DIについて悩みたくなくて、でも必要に迫られて手元にDIを置いておきたいっていう、初めてマイDIを買いたいなっていう人にもお薦めできるモデルなんじゃないかな。

森田 うん。スタートする最初として問題ないですよね。ここから、自分はどちら方向のものが必要なのかを見極めてもいいし。

ミト DIにあまりカラーを求めたくない、自分の楽器とかケーブル、システムにこだわりがあって、それをそのまま出したいっていうのには最適ですね。ただ、これでプレイをする、これで宅録をするってなると、いかんせん空気に触れていないライン感は強いので、それに引っ張られてしまう可能性はあります。タッチ・ノイズが気になったりとか。逆を言うと、この音のままで練習したら、めっちゃウマくなりますよ(笑)。

森田 音以外の面で言うと、電池を入れておくと、ファンタム電源がおかしくなったときに、自動的に電池に切り替わる、バックアップ電源的な考えもおもしろいですね。

ミト すごく頑丈そうなのも、またいいポイント。ライヴで使ったりすることを考えれば、耐久性も大事ですから。

RADIAL
FIREFLY

ふたつの入力を備えたチューブDI

 ベーシストには馴染みのあるDIメーカーとして知られるラディアルの真空管搭載型のアクティヴ・モデル。本機は2系統の入力をA/Bスイッチで切り替えられ、各入力にトリム・コントロールがあるため、楽器の交換はもちろん、楽器自体の音量をDI側で調整できるのも大きな特徴だ。ラディアル独自のDragコントロールを搭載し、アンプに接続したときのようなローディングを再現する。ほかにもロー・カット・コントロール(ハイパス・フィルター)、位相反転スイッチ、グランド・リフト・スイッチを搭載。またAUX、チューナー用のアウトがあり、ライヴを想定した機能が充実しているのもポイント。これ一台でライヴから録音までマルチに活用できる。

FRONT

REAR

【Specifications】
●電源:付属パワー・サプライ●外形寸法:146(W)×210(D)×70(H)mm●重量:1.80kg●価格:¥108,000

【問い合わせ先】
エレクトリ

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IMPRESSION TALK

森田 インプットがふたつあって、2本のベースの切り替えができるんですね。かつ真空管が入っていると。

ミト チューブ感はあるんですけど、極端にそのカラーがつくという感じではないですね。

森田 思っていたよりは、あっさりとした感じです。ラディアルはクセのないDIでは定番のメーカーですが、その音の延長線上にあるというか。チューブなんだけど、変にチューブを前面に押し出している感じではなくて。

ミト ライン音のクリアさはありつつも、ちょっとチューブ感が加わって自然な質感になるというところを目指しているのかな。AとBで2種類のインプット・ゲインを設定できるというところで、ホットな設定にもできるわけですよね。それによってドライブさせるというのもアリかもしれない。ドライブしているものとフラットなものを使い分けてみるのもいいでしょうし。

森田 トリムを上げなければチューブ感を抑えたフラットでストレートな感じにもなるし、アウトとトリムが別にあるから、インプットを突っ込んでいくと、ブリっとしたところが出てきますね。付録音源ではこの突っ込んだ設定にしています。

ミト 僕が使うなら、あえてこうやってちゃんとカラーをつけてあげるような使い方をすると思います。そのほうがこのモデルの特性も出やすいというか。

森田 そうですね。倍音の感じにチューブっぽさが出てきますよね。

ミト こういうものがハマる曲とかで、もうこれで作り込んだ音でそのままいっちゃおうっていうこともあり得ますよね。チューブの良さは、倍音成分を強めることによって、その楽曲での棲み分けもできるところなので。このモデルの場合、そうやってチューブ感を強調すると、ピック弾きの音はすごくカッコよくなりますね。ロックっぽいというか。

森田 ロー・カットを入れなくても下のほうがすっきりしていて、まとめやすい。

ミト ピックで8分を刻むロックっぽいものとかドライブ感のあるものをチューブで押し上げてあげる感じにすると、すごく良さが出てくる。プレイヤー向きのDIな気がします。

RADIAL
J48

原音に忠実な定番モデル

 ラディアルの定番とも言えるアクティヴ・タイプのJ48。楽器のインプットがDIに対して過入力になった際に起こる短形波の歪みを防ぐため、内蔵のスイッチング・パワー・サプライで動作電圧を9Vまで引き上げることで充分なヘッドルームを確保し、歪みのないクリアな原音を出力する。入出力はインプット(フォーン)、スルー・アウト(フォーン)、バランス・アウト(XLR)で、操作子は15dB PAD、グランド・リフト、ロー・カット、MERGE、極性の各スイッチを装備。MERGEはインプットとスルーに挿した信号を内部でミックスしバランス・アウトから出力できる。ライヴはもちろん、スタジオでのレコーディングまでに活用できるベーシックなモデルだ。

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REAR

【Specifications】
●電源:48Vファンタム●外形寸法:84(W)×127(D)×48(H)mm●重量:720g●価格:¥34,000

【問い合わせ先】
エレクトリ

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IMPRESSION TALK

ミト これはもう定番中の定番ですね。DIってこういう音だよねっていう音がちゃんとします。今回のなかでは一番フラットな立ち位置と言えるんじゃないですか?

森田 そうですね。ほどよくピークも鈍る感じがあって、さすがだなっていう感じがあります。安心するDIのフラット感というか。“ラディアルの音”っていうのはあるんですけど、色づけはないんですよね。

ミト ラディアルの音って、生き物感じゃないんですよ。いい意味で機械的な音。でも、DIの本来の目的を考えれば、これでいいんですよね(笑)。この音は楽器の特性から何からすべてを網羅しているんですが、音楽的ではないんです。だから、その“音楽”を自分たちで作っていく必要がある。そういう確固たる向き合い方ができていれば、それを素直に出してくれる。楽器からの信号を純粋に変換しているだけというか。でも本当は、それがDIの一番の役割ですから(笑)。余計なものを足したりもしないし、“あなたはこういう音なんですよ”っていうのを伝えてくれる。そうなると、使っている楽器とか、自分のプレイとか、そういう部分がすべてになる。そういう意味では透明な存在と言えるんですけど、そういうものが意外と大切なことだったりもするわけで。

森田 おもしろいなって思うのが、改めてこの標準的な音を聴くと、ほかのDIの特徴がよりわかってくるというか(笑)。

ミト たしかにね。あと、ピッチも安定して聴こえるんですよね。余計なものがないからなのか、ピッチに濁りを感じない。そして、ライン音ならではの弾きづらさっていうのも感じないんですよね。

森田 フラットですけど、イヤなライン臭さはない。個人的にはレコーディングよりはライヴでの使用率のほうが高い印象もあるモデルですが、それは耐久性の良さ、壊れにくさという点も評価されている気がします。

ミト ジャズベはジャズベの音がするし、5弦アクティヴ・ベースは5弦アクティヴ・ベースの音がする。このベースはこういう音なんだよっていうことがよくわかる、素直な音ですね。これが1台あると便利でしょう。

RUPERT NEVE DESIGNS
RNDI

プロからの信頼も厚い新定番モデル

 高品質なマイクプリなどを製造する録音機器メーカー、ルパート・ニーヴ・デザインのRNDIはファンタム電源で駆動するアクティヴ・タイプのDIだ。新設計のトランスにより出力信号のロスを最小限に抑え、クラスAのディスクリート回路で構成されたFETアンプが歪みを排除するだけでなく、偶数倍音の響きが自然に得られるのが特徴。2次倍音(オクターヴ)、3次倍音(オクターヴ+5th)の存在感が増し、音楽的に豊かなサウンドが得られる。入出力はインプット(フォーン)、スルー・アウト(フォーン)、アウト(バランス)で、操作子はグランド/リフトとインプット・レベルの切り替えスイッチ(スピーカー/インストゥルメント)となる。

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REAR

【Specifications】
●電源: 48Vファンタム電源●外形寸法:101.6(W)×158.7(D)×38.1(H)mm●重量:約680g●価格:オープンプライス(市場実勢価格¥31,000前後)

【問い合わせ先】
フックアップ

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IMPRESSION TALK

ミト けっこうハイファイなんですね。

森田 ルパート・ニーヴ・デザインの音って感じですね。近年のルパート・ニーヴ・デザインのマイクプリの音も同じような質感です。“ニーヴ”っていうサウンドをどうイメージするかは人によって変わってくると思うんですけど、いわゆるオールド・ニーヴとはちょっと違うというか。ある種のシルキーさはちゃんとありますけどね。

ミト 私たちが使っている1073とかのマリンエアのトランスが入っているかそうじゃないかというところなのかな。

森田 だから、“意外とハイファイだな”っていう印象になるのもわかる気がします。

ミト でも、この音って、今の時代にはすごく合っているかも。ピックとかを使うとよくわかりますが、サウンド的にはだいぶ上の帯域まで伸びているんですね。ギターみたいな質感までいっている。それが、今の楽器のハイファイな感じとか、今の音楽っぽいところには合っていると思うんですよ。

森田 ちょっと腰が高めな部分はあるかもしれないですね。今流行っているエフェクターやアンプなんかでも、ベース用だとしてもわりと腰高な部分があったりしますよね。そういう意味でいうと、今っぽさっていう部分は感じられますね。

ミト 上がだいぶ現代的に伸びている感じが特徴なんじゃないですかね。上がしっかりと出ているから、低音でもトーンが見えやすい。かといってロー感が削れたイメージもないんですよ。それによるピッチの見えやすさは特筆すべきところで、4弦も含めたロー・ポジションで和音を弾いても、ちゃんとピッチが聴こえてくるっていうのはすごいですよね。音程感が見えるし、開放のEとかがすごくキレイに聴こえる。

森田 今回の試奏でいうと、5弦のアクティヴのベースにはけっこう合っているなと感じましたね。

ミト 上が伸びているから音が速く聴こえるし、ローBのピッチ感も気にならないし、音が見えてくるからヴォーカリストは歌いやすいかもしれないですね。そういう部分も含めて今っぽさがあります。

UMBRELLA COMPANY
SIGNALFORM ORGANIZER

専用アクティヴ・ケーブルで得るクリア・サウンド

 DIのみならず、リバースDI(リアンプ)、レベル・コンバーターを搭載した複合機。近年の録音現場で需用が増えた、録音したテイクをアンプで鳴らして再録音するリアンプ機能だけでなく、アンバランス(-10dB)、バランス(+4dB)の相互変換が可能なレベル・コンバーターを用いればラック・タイプのコンプを併用でき、レコーディングで重宝する機能を多く備える。入出力は【DIセクション】が専用ケーブルのActive Hi-Z入力(4ピンXLR)、Hi-Z入力(標準フォーン)、アンプ・アウト1/2(フォーン)、DIアウト(マイク/ライン・レベルの2系統)【Reverse DIセクション】がライン・レベル入力(XLRコンボ)、インスト・レベル・アウト1/2(フォーン)だ。

FRONT

REAR

CABLE:専用のケーブルを使用することで楽器の出力ジャックのポイントで信号の最適化が行なわれ、ピュアなサウンドが得られる。

【Specifications】
●電源:専用電源アダプター●外形寸法:216(W)×148(D)×41(H)mm●重量:1.46kg●価格:¥70,000

【問い合わせ先】
アンブレラカンパニー

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IMPRESSION TALK

森田 DIってひとくくりにしていいかわからないくらい多機能ですね。リアンプもできますし、ハイ・インピーダンスのエフェクト・センド/リターンも付いているので、エンジニアとしても便利。家で制作する作家系のベーシストにもお薦めです。価格も比較的手頃ですし。専用のアクティヴHi-Zケーブルがついていて、今回はこれを使って録音しました。

ミト 傾向でいうと今っぽいハイファイさがあります。帯域的には上のほうも強烈に伸びています。でも、何よりすごいなと思ったのは、このスピード感。反応の速さは本当にすごい。これは驚異的ですよ。音色的には、ハイエンド・モデルのハイファイな感じなんですけど、反応速度が段違いですね。ローのスピードもめっちゃ安定していて逃げない。

森田 上の帯域と下の帯域のスピードが同時というか。だいたい下の帯域って遅くなるものなんですよ。上の帯域を速くするのはそんなに難しくないんですけど、ここまでのローの速さっていうのはあまりないですね。

ミト パッシヴのジャズ・ベースを使っても、パッシヴの音じゃない感じ。これはまた別の意味でプレイアビリティが高いですよ。スピード感があるから、グルーヴも全然違う。なんていうか、“音楽している”。すごいですね。

森田 音の食いつきがヤバいですね。

ミト これだけ速くて、これだけプレイアビリティが高いと、ミックスをするときも楽そうですよね。コンプもキレイに反応してくれそうだし。

森田 音色としては、比較的標準というか、そんなに色があるわけではないんですけど、それ以上に、この音の速さは魅力的。これをライヴで使ったら、PAのローの出方は相当変わると思いますね。ローのキレの良さはすごいと思います。

ミト 自分がウマくなったように感じるかもしれませんね。リズムに鈍らないプレイをしているんじゃないかっていう気になる。逆に、これに慣れてしまうと、違うDIを使ったときに大変かもしれないけど(笑)。普通のインプットで使ってもこのモデルの良さは出ますけど、使うなら専用ケーブルをぜひ使ってほしいですね。

UNIVERSAL AUDIO
SOLO/610

クラシカルな610コンソールのサウンドを継承

 レコーディング機材メーカーであるUniversal Audioが発売するアクティヴ・タイプのプリアンプ兼DIボックス。同社のクラシックな610コンソールのサウンドを継承すべく、真空管を2本搭載し、本機はゲインとレベル・コントロールを備えることで、クリーンからサチュレーション感まで多彩なサウンドが得られる。入出力はDIイン(フォーン)、スルー・アウト(フォーン)、アウト(バランス)、マイク・イン(XLR)で、ベースやギターなどの楽器入力はもちろん、ファンタム電源の供給も可能で、マイクプリとしても活用できる。DAWを使いこなす宅録派や音にこだわりを持つプレイヤーにとって、レコーディング時に強い味方になるだろう。

FRONT

REAR

【Specifications】
●電源:100V(日本仕様)●外形寸法:127(W)×356(D)×146(H)mm●重量:4.1kg●価格:オープンプライス(市場実勢価格¥122,000前後)

【問い合わせ先】
フックアップ

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IMPRESSION TALK

森田 僕が普段、ベースの録音をするときには、ユニバーサル・オーディオの製品はよく使っています。DIというよりはマイクプリという感じですけどね。このモデルは、チューブのサチュレーション具合が強いので、インプットの調整でけっこう音が変わりますよ。

ミト 音に粘りがありますね。チューブ感が強い。ちゃんと説得力もあるし音楽的です。モリッとファットな存在感を演出してくれるというか。

森田 チューブの色づけが強いですよね。

ミト その感じが心地よくて、気持ちよく弾いていられますね。現代的な速い曲よりもミドル・テンポの曲だと、この粘り感もすごく生きてくるでしょうし。センスのいい音というか。ファットで太くて、ハイファイな方向性ではないんだけれど、音楽みがある。例えば、単音でルートを弾いているだけでも音楽しているような質感があるから、プレイとしてもシンプルなものを弾きたくなりますよね。ちょっと“黒いノリ”みたいなもので、そんなに難しいことをやらなくても、いい感じに聴こえるというか。

森田 ライン臭さみたいなものはまったくないし、音像がすごく大きい感じがするんですよ。だから、変に音量を上げなくてもベースの存在感がしっかりと出せる。

ミト ひと言で言うと“カッコいい音”ですね(笑)。そのカッコいい音の方向性が、いわゆる今の流行りっぽいものではなくて、もっとオーソドックスなもの。だから、5弦のアクティヴ・ベースを弾いても、落ち着いた感じに聴こえますよね。アクティヴ・ベースの電気的な感じを消して自然な感じにしてくれるというか。フレット・ノイズの上のほうの音が痛く聴こえないですし、粘りもあるから、スラップの音のつながりもいい感じになってくれますよね。

森田 ドライブした感じが出てくるとカッコいいですよね。もうこれだけで充分っていう感じで。

ミト そうですよね。ちゃんとハマったところを出せれば、変な話アンプを鳴らさなくても、このライン1本で音を作ってしまってもいいかもしれませんね。

VINTAGE FACE
WABI-SABI (2019 BASIC PLUS)

スタジオ・グレードのEQを搭載した上質機

 ベーシストのための演奏表現を忠実に再生する録音機器を製造するVintage Face。本機は、3バンドのパラメトリック・イコライザーを搭載したアクティヴ・タイプのヘッドアンプ/DIだ。入出力は2系統のフォーン入力に加えて、フット操作をするための別売オプションに対応するEX入力端子、スルー・アウト、アウトプット(アンバランス・バランス)で構成され、常時楽器を2本接続しての切り替えが可能。各入力のレベル・コントロールに加えDIアウト・レベルも調整可能なほか、DIラインにはEQのプリ/ポスト・スイッチを備えた、キメの細かい操作性も魅力。本機からパワーアンプへの接続を推奨する、独自の切り口で作られた個性派モデルだ。

FRONT

REAR

【Specifications】
●電源:専用アダプター●外形寸法:260(W)×220(D)×78(H)mm●重量:2.6kg(ACアダプター込み)●価格:¥280,000

【問い合わせ先】
Vintage Face

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IMPRESSION TALK

ミト 弾いていても聴いていても全然飽きない。音楽的に優秀だから、“本来、こうであってほしい”という感じに収まりますね。

森田 ちゃんとベースの音をわかっている人が作っているのが伝わってきますね。しかも、みんなが思っている、普遍的な“いい音”。温かみもあって、“太くしている”という太さではなくて、ベース本来の自然な太さが感じられるのがいいですね。

ミト ライン臭くないっていうところで、こんなにも自然にベースがベースの音をしているんだなって。

森田 ベースの音のいいところをバランスよく出している感じがして気持ちがいいですね。しかも、レンジを絞っているっていうほど狭いわけじゃなくて、楽器のあるべき場所の帯域がしっかりと出ているという感じ。

ミト だから、あんまり小難しいことをしなくても、アンサンブルのなかでベースとして成立していくし、聴ける。それが機械っぽいものだと、なんとか頑張っていいフレーズを作り出さなきゃいけないっていう気にもなっちゃうんですけど、これは小細工を必要としないという気にさせますね。

森田 もう、ベースとしてできあがっている音ですね。録音したあとに変にEQをしなくても、オケのなかで置きやすい。音がすごく音楽的なんです。

ミト 上の帯域の感じがちょうどいいところで止まっている感じがしますね。3和音のようなものを弾いても濁らない。ちょうどいいところで倍音がストップしている。

森田 変にハイファイで伸びているんじゃなくて、ベースのおいしいところが全部ギュッと詰まっている感じがします。

ミト 平たくいうと、“音がいい”(笑)。

森田 確かに(笑)。“音がいい”っていう音がしますね。不必要に上とかすごい下を伸ばしていないので、録音のときにこの音が鳴ってきたら、もうその時点であとはレベルを合わせたらOKですっていう感じ。安定した音がしていますよね。

ミト 通すことによって色づけはされているんだろうけど、すごく自然だから、逆に色づけをしていないように聴こえますよね。

ベース・マガジン 2019年10月号 発売中!

BM_2019_10.jpg 本記事はリットーミュージック刊『ベース・マガジン 2019年10月号』の特集記事を一部転載したもので、本誌には、今回紹介したDIの試奏音源が入手できるダウンロード・カードが付いています。今月号の表紙は、次世代の世界的ベース・ヒーローとなるジョー・ダート(ヴルフペック)。ほかにも、中村和彦(9mm Parabellum Bullet)や明希(シド)の特集インタビューのほか、ダウンロード音源対応の「前ノリと後ノリの真実」「須藤満のベース塾」などなど盛りだくさんの内容ですので、ぜひチェックしてみてください!

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プロフィール

ミト
1975年5月6日生まれ、東京都出身。1995年にクラムボンを結成し、1999年にメジャー・デビュー。バンド・マスター/メイン・コンポーザーとして活躍する。2006年よりソロ活動も展開しているほか、他アーティストへの楽曲提供やプロデュース、アニメ・ソングなどの作家としても多くの作品に関わっている。

森田良紀
自社スタジオstudioforestaを拠点に、moumoon、大森靖子、AI、豊崎愛生など幅広いアーティストのレコーディングからミックス、ライヴ録音、マスタリングまでを手がけているエンジニア。映像制作/ネット生配信などにも精通しており、数多くのアーティストのLINELIVEなどにも関わっている。

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