THE W01

低域が鳴り過ぎないので、僕のスタイルにはすごく合っています。

　まずシェイプがオシャレですね。アメリカの楽器ばかりを弾いてきたので新鮮に思えます。最初は小さ過ぎるかと思いましたが、すごくボディが体にフィットします。それに手に馴染んで弾きやすい。フル・スケールのギターとパーラー・ギターの良いところを合わせたような印象です。僕は5、6弦でベースを鳴らしながら弾くスタイルなので、低域が鳴り過ぎると少し使いづらいですが、これは低域が鳴り過ぎないので、僕のスタイルにはすごく合っていますね。このギターは持ち歩き、外で友人の前で歌ったりする時にも使ってみたいですね。エンドピンが木材で作られていることもカワイイですし、こういう細かなディティールにこだわっている点も大切だと思いました。

Specifications ●ボディ・トップ：シダー●ボディ・サイド＆バック：ウォルナット（5PC）●ネック：マホガニー●指板：エボニー●ブリッジ：エボニー●ギグバッグ付属●価格：オープン（実勢市場価格：112,000円前後）

THE S02

弾き語りでバラードを演奏する時に使ってみたいですね。

　　ボディがWよりも大きいので、かなりしっかりとギター感が出てきます。サイズもこれくらい大きいとフィット感も増し、抱きしめたくなるギターですね。それにボディにはアームレストがついていて、腕が痛くならないので弾きやすい。エッジも滑らかに仕上げられ、しっかり作られていることが伝わってきます。ボディのサイド＆バックに（サントス・）ローズウッドが使われていることもあって、普段聴き慣れたサウンドですし、しっかりとその響きが感じられます。W01よりも低域があって、音も抜けてくる印象を受けました。このギターは、弾き語りでバラードを演奏する時に使ってみたいですね。

Specifications ●ボディ・トップ：シトカ・スプルース●ボディ・サイド＆バック：サントス・ローズウッド（5PC）●ネック：マホガニー●指板：エボニー●ブリッジ：エボニー●ピックアップ：L.R.バッグス・エレメントVTC●コントロール：ボリューム、トーン●ギグバッグ付属●価格：オープン（実勢市場価格：164,000円前後）　＊2021年製作モデルよりすべての"02" & "03"のサイド＆バック材はサントス・ローズウッドからインディアン・ローズウッドへ変更となります。　

THE W03

優しいタッチで、このギターを爪弾きながら、明るい曲を歌ってみたいですね。

　これは欲しい（笑）。とても良いギターだと思います。ピックアップも付いているのでライブ向きですね。音が前に飛んでくれる印象があるのは、サイド＆バックが（サントス・）ローズウッドだからでしょうか。ウォルナットは甘い音が出ますが、それよりも芯のあるサウンドに感じます。ライブでPAを通して弾いたら、どんな音が出るだろうってイメージが膨らみます。これは友人とパーソナルな環境で楽しむのではなく、誰かに向かって弾くことが似合うギターです。優しいタッチで、このギターを爪弾きながら、明るい曲を歌ってみたいですね。

Specifications ●ボディ・トップ：シダー●ボディ・サイド＆バック：サントス・ローズウッド（5PC）●ネック：マホガニー●指板：エボニー●ブリッジ：エボニー●ピックアップ：L.R.バッグス・エレメントVTC●コントロール：ボリューム、トーン●ギグバッグ付属●価格：オープン（実勢市場価格：152,000円前後）　＊2021年製作モデルよりすべての"02" & "03"のサイド＆バック材はサントス・ローズウッドからインディアン・ローズウッドへ変更となります。

THE S04

ストロークでガシガシ弾いても応えてくれるので、アグレッシブな曲で使ってみたい。

　これはカッタウェイもついていて、実戦向きなギターですね。ソロも弾きやすいと思います。最上級モデルということもあって、ウォルナットの杢目も綺麗ですね。音は他のモデルに比べると少しダークな印象を受けます。だからマイナー調の曲が合いそうですね。それからコードを鳴らしたくなるギターだなって思いました。ストロークでガシガシ弾いても応えてくれるので、アグレッシブな曲でも使ってみたいです。Wに比べボディの面積も広いので、ボディ・ヒッティングもやりやすい。いいバス・ドラムの音がします。マイクの乗りも良さそうで、レコーディングでも使ってみたいですね。自慢したくなるギターです。

Specifications ●ボディ・トップ：シトカ・スプルース●ボディ・サイド＆バック：フィギュアード・ウォルナット（5PC）●ネック：マホガニー●指板：エボニー●ブリッジ：エボニー●ピックアップ：L.R.バッグス・エレメントVTC●コントロール：ボリューム、トーン●ギグバッグ付属●価格：オープン（実勢市場価格：184,000円前後）

Total Impression

低域が鳴り過ぎないので、僕のスタイルにはすごく合っています。

　エントリー・クラスのモデルでも、ローデン譲りの高級感があると思いました。ローデンのクオリティを体験する入り口としても、すごくいいギターがそろっているなという印象です。サイド＆バックは5PC（Five Piece Construction）ですが、しっかりと綺麗な杢目を選んで使っていて、木材へのこだわりが感じられました。アイルランドに、こんなにもクオリティが高く、芸術性も感じられるギターを作るブランドがあるということを、初めて理解できました。
　シリーズを通してエドのプレイ・スタイル以降のギタリストを意識して設計されていると感じましたね。まとまりのある音で、ルーパーやエフェクターを使った演奏とも相性が良さそうです。どのモデルも演奏性が高く、Wシェイプであれば子どもでも弾きやすいと思うので、人を選ばずに愛されるギターですね。これで練習したら初心者でも上達が早そう。新たなギターのスタンダードになるイメージも感じました。
　それからミュージシャンと製作家のコラボは、すごく羨ましいですね。ギターを弾き始めた人は、いつか自分のモデルを作りたいと思っているはずです。ヘッドに“Sheeran”と入っていて、自分の名前が刻まれたギターを世界に発売できることは、本当にすごいと思います。それに今回みたいなミュージシャンと製作家のコラボは、もっと生まれてほしいですね。シーラン・バイ・ローデンは、ミュージシャンとギター製作家、ふたりの経験の蓄積があったからこそ完成したギターだと感じました。

『アコースティック・ギター・マガジンVol.87』 発売中！

　本記事は1月27日発売のリットーミュージック刊『アコースティック・ギター・マガジンVol.87』にも掲載されています。Sheeran BY Lowdenギターの詳細はこちらをチェック！