5万円で買うマイク
自宅で過ごす時間が増えたこともあり、アコースティック・ギターはもちろんマイクについても需要が高まっている。そこで今回は、Lightning、USB、XLRそれぞれの規格を含むおすすめマイクを集めてみた。ギタリスト井草聖二、エンジニア岡本司による試奏＆クロスレビュー動画もお見逃しなく。なお、さらに詳しい試奏コメント、マイクの基礎知識やアーティスト7名の愛用マイク＆マイキングをアコースティック・ギター・マガジンVol.89に掲載している。そちらもぜひチェックを！
アナログ・コンプ内蔵でiOS/PCに対応
▲付属の専用ケース、カスタム・ポップフィルター、三脚、Lightning／USB（Type-A）／USB（Type-C）ケーブル
1985年にロサンゼルスで創業し、革新的なデジタル・オーディオ機器を開発してきたアポジー。このマイクは、PCやiPhone、iPadと接続することで、オーディオ・インターフェイスがなくても最大24bit／96kHzまでのレコーディングが可能だ。スタジオ・クオリティのアナログ・コンプレッサーも内蔵し、初心者でも簡単に高クオリティの録音ができる。ライブ配信やポッドキャストなどでも活躍できるだろう。3.5mmジャックでモニタリングも可能だ。
【Specifications】
●指向性：単一 ●コントロール：ヘッドフォン・レベル、コンプレッション・コントロール ●外形寸法：38(Φ)×124(H)mm ●重量：200g ●価格：44,000円（税抜価格：40,000円） ●問い合わせ：メディア・インテグレーション
クセがなく鳴りモノにも使えるペンシル型
▲ポーチ、ウインドスクリーン、ナイロン・クリップが付属している
ダイナミック・マイクの“OMシリーズ”を始め、世界的に評価されているオーディックスは、1984年にオレゴン州で創業したブランドだ。ペンシル型マイクもバリエーション豊かで、中でもこのプリ・ポラライズド・コンデンサー・マイクはフラットな周波数特性を持ち、クセのない音質で人気のモデル。-10dBのパッド、さらに150Hz以下の低域を自然にカットするロールオフ・スイッチも搭載し汎用性が高い。アコギのみならず、鳴りモノにもオススメ。
【Specifications】
●周波数特性：40Hz～18kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：100Ω ●コントロール：パッド・スイッチ、ベース・ロールオフ・スイッチ ●外形寸法：19.5(Φ)×160(H)mm ●重量：184g ●価格：オープン（実勢市場価格27,500円／税抜価格25,000円） ●問い合わせ：キクタニミュージック
YouTuberらにも人気のフラッグシップ機
▲ずっしりと安定感バツグンの専用スタンドが付属する
生配信などをするストリーマーの間でも、煩わしい設定なしに高音質で集音できると話題になった、カリフォルニアのBLUEマイクロフォンズが送るフラグシップUSBマイク。使い方はPCやスマートフォン、タブレットなどと接続するだけ。本体内部に14mmのコンデンサー・カプセルを4基搭載。音質はクリアで、指向性を単一、無指向、双指向に変えられ、ステレオ・モードもある。アコギの集音のみならず、さまざまなシチュエーションで重宝するだろう。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一、無指向、双指向、ステレオ・モード ●コントロール：スマート・ノブ（ゲイン、ヘッドフォン・レベル、ブレンド、ミュート） ●外形寸法：110(D)×122(W)×289(H)mm（スタンド含む） ●重量：519g ●価格：オープン（実勢市場価格24,860円／税抜価格22,600円） ●問い合わせ：ロジクール
汎用性が高くとにかく手軽、ライブ・ユースにも
▲アクセサリーはケースに加え、プリアンプをストラップなどに固定できるストッパーも
IKマルチメディアの中でも、大ヒットとなった“iRig”シリーズ。クリップ形式でボディへの取り付けが手軽な無指向性の小型マイクは、MEMS（微小電気機械システム）技術を用いて作られ、付属のDSPプリアンプ・ユニットによりアンプやPAに出力できる。同ユニットからPCやモバイル端末に直接音声データを送ることも可能だ。また、AUX入力も搭載しているので、エレアコならピックアップからのライン音をミックスできる点もありがたい。
【Specifications】
●周波数特性：30Hz～20kHz ●指向性：無指向 ●コントロール：キャンセル・フィードバック、トーン、ボリューム、ミックス ●外形寸法：18.8(D)×32.2(W)×31.7(H)mm（マイク）／23(D)×72.3(W)×101(H)mm（プリアンプ） ●重量：20g（マイク）／99g（プリアンプ） ●価格：オープン（実勢市場価格14,850円／税抜価格13,500円） ●問い合わせ：IK Multimedia
上位機種と同等のダイヤフラム＆回路設計
▲付属品はショックマウントやポップフィルター、ウインドスクリーンなど
エントリー・クラスの価格ながら高級感ある筐体が印象的なこのモデルは、オーストリアのウォーンに本社があるルウィットが手がけるコンデンサー・マイク。1インチのラージ・ダイアフラムを搭載。上位モデル譲りの回路設計で、原音を損なわずナチュラルなサウンドが得られる。中でもノイズの少なさは同価格帯ではトップ・クラスで、等価ノイズレベルは7dBだ。特に高域が伸びやかで、アコースティック・ギターの倍音感の再現度が高い。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：110Ω ●外形寸法：36(D)×52(W)×138(H)mm ●重量：310g ●価格：29,700円（税抜価格：27,000円） ●問い合わせ：メディア・インテグレーション
ワイド・レンジかつ低ノイズの好評モデル
▲ポップフィルター、ショックマウント、6mのXLRケーブルが同梱
高コスト・パフォーマンスかつ高音質なコンデンサー・マイクで、世界のメーカーを震撼させたオーストラリアのブランド、ロード。中でNT1は世界中で大ヒット。その後継機種と言えるのが、このNT1-Aだ。ハイエンドなマイクを彷彿させるデザインも秀逸で、その実力も高く、金メッキが施された1インチ・ラージ・ダイアフラム、トランスレスの回路によって、ワイド・レンジかつ低ノイズを実現。ボーカルはもちろん、アコギも立体感のある音で録音できる。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：100Ω ●外形寸法：50(Φ)×190(H)mm ●重量：326g ●価格：38,500円（税抜価格：35,000円） ●問い合わせ：銀一
ペンシル型の長所をギュッと凝縮した逸品
▲アクセサリーはポーチ、クリップ、ウインドシールドだ
ハイ・コストパフォーマンスで人気のペンシル型マイク。金メッキされた1/2インチ・コンデンサー・カプセル、アクティブJ-FETインピーダンス・コンバーターを搭載し、音の輪郭がしっかりと感じられるメリハリのある音質が魅力。アコギの鳴りがグッと前に出てくるような音像が得られる。さらにノイズが少ない点もポイントだ。ステレオ録音ができるマッチド・ペアもラインナップし、より幅広く使いたいユーザーはこちらがオススメ。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：100Ω ●外形寸法：20(Φ)×118(H)mm ●重量：100g ●価格：33,000円（税抜価格：30,000円） ●問い合わせ：銀一
こだわりの設計でボディの胴鳴りを豊かに拾う
▲ショック・マウント、ポップ・シールドがセットになっている
2000年創業と比較的新しいブランドだが、自社工場で職人の手により丁寧に製作されるマイクは高い評価を得ている。そしてこちらのsE2200は、1インチのトゥルー・コンデンサー・カプセルが用いられており、ふたつの金蒸着ダイアフラムを搭載。さらにクラスAディスクリート回路を採用した高音質、高感度、低ノイズが魅力で、ギターのボディ鳴りも豊かに拾う。本体に重量感があり、ブラックの金属製筐体が高級感を感じさせてくれる。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：50Ω以下 ●コントロール：パッド・スイッチ（-10dB/-20dB）、ロー・カット・フィルター（80Hz/160Hz） ●外形寸法：51(Φ)×215(H)mm ●重量：611g ●価格：31,900円（税抜価格29,000円） ●問い合わせ：フックアップ
アコギにピカイチ、対応力の高さも魅力
▲メタルフライトケース、ステレオマウントバー、ウインドスクリーン×2、クリップ×2の豪華セット
アコースティック・ギターの録音でよく使われるペンシル型のコンデンサー・マイク。その理由としては、近接での録音に向きマイキングの自由度が高い、また音圧レベルが高くても歪みが発生しにくいといった特性ゆえ。sE8はペンシル型のマッチド・ペアのコンデンサー・マイクで、ステレオ・バーも付属。初心者でもすぐにステレオ録音が可能だ。クラスA回路で低ノイズ、低域が膨らみ過ぎず、クリアで瑞々しいアコギの鳴りを集音できる。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：110Ω ●コントロール：パッド・スイッチ（-10dB/-20dB）、ロー・カット・フィルター（80Hz/160Hz、6dB/0ct） ●外形寸法：23(Φ)×120(H)mm ●重量：141g ●価格：49,500円（税抜価格：45,000円） ●問い合わせ：フックアップ
老舗初のラージ・ダイアフラム搭載スタジオ・マイク
クランプとポーチが付属
マイクのみならず、高価なヘッドフォンやイヤフォンのメーカーとしても知られるドイツのブランド、ゼンハイザー。同社初となる大型ダイアフラム（24Kゴールド・メッキ）を搭載したプロ・クオリティのコンデンサー・マイクで、アコースティック・ギターの鳴りを繊細に集音する。解像度が高く音の輪郭もクリアで、高域が伸びる傾向が特徴となる。フル・メタルのハウジングも高級感が感じられ、クラスを超えたスペックを誇っている。
【Specifications】
●周波数特性：20Hz～20kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：50Ω ●外形寸法：57(Φ)×160(H)mm ●重量：485g ●価格：オープン（実勢市場価格33,000円／税抜価格30,000円） ●問い合わせ：ゼンハイザージャパン
ダイナミックながらさすがの繊細さを誇る1本
クリップと専用ケースが付属
老舗ブランドとして名を馳せるテレフンケン。長い歴史の中で培ったマイクは最上級で、エンジニアからの信頼も厚い。そんな同社が手がけたダイナミック・マイクがこのM80。レンジが広めで繊細さも備えている。その音を生み出すのは、新設計されたローマス・ボイスコイルと超薄型のマイラー・ダイアフラム、そしてカスタム出力トランスだ。ライブのボーカル用マイクとしてもオススメで、アコギはまとまりのある音で録音することができる。
【Specifications】
●周波数特性：50Hz～18kHz ●指向性：単一 ●インピーダンス：325Ω ●外形寸法：48(Φ)×184(H)mm ●重量：430g ●価格：オープン（実勢市場価格26,950円／税抜価格24,500円） ●問い合わせ：宮地商会 M.I.D.
本記事は、『アコースティック・ギター・マガジンVol.89』（7/27発売）の特集記事を転載したものです。“宅録、動画＆配信も！ 5万円で買うアコギ向きマイク～プロのマイキング術も教えます”と題し、マイクの初歩的な知識やマイキングの裏技も含めた基本講座、ギタリストの実例（井草聖二／奥田民生／笹倉慎介／松井祐貴／森恵／龍藏Ryuzo／りりあ。）、本製品紹介による3本立ての特集となります。今号はそのほか、ビートルズのアコースティック・サイドを徹底深掘りする“BEATLES GET BACK ビートルズのアコギ大博覧会2021”、特別追悼企画“安田裕美のギター・コレクション”など読み応えバツグン。付録としてビートルズ4人のソロ曲を集めた歌本“AGM SONG BOOK Vol.3 THE BEATLES SOLO SONG”も付いています。ぜひチェックしてください！
■詳細はこちら →https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3121112004/
井草聖二
いぐさせいじ●1988年生まれ、兵庫県出身。20歳でプロとしての活動をスタート。2009年にトミー・エマニュエルの前座を務めるなど、ソロ・ギター界の旗手として注目を集める。
岡本司
おかもとつかさ●2018年、東京都赤坂にバグース・レコーディングスタジオを設立、ハウスエンジニアを務める。EGO-WRAPPIN'、クラムボンなど数多のレコーディングで活躍中。
