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  • "夢の空間"を実現した自宅スタジオに大接近!

アコースティックエンジニアリングが手がけた"ドラムが叩ける"プライベート・スタジオ Vol.30

アコースティックエンジニアリング

“自宅で思いきり音を出したい!”、“いつでも楽器を鳴らせる環境を手に入れたい!”……自分のスタジオを持ちたい願望は、楽器を演奏する人ならば誰もが思うこと。そんな“マイ・スタジオ”の夢を実現してくれるのが、プロ用のスタジオやライヴ・ハウスの防音/音響工事も行う、アコースティックエンジニアリングだ。ここでは同社が手がけた“ドラムが叩ける”プライベート・スタジオにフォーカス! #30はプロ・ドラマーとして活躍する能村亮平の自宅スタジオ後編。今回はスタジオ施工から4年経った具体的名“活用法”について紹介していく。

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CASE:30 東京都 能村亮平邸スタジオ〜後編〜

のむらりょうへい:Musicians Institute, Hollywoodへ留学。首席で卒業し、卒業生の中で最も優れたプレイヤーに贈られるOutstanding Player Awardを受賞。卒業後は同校でインストラクターを勤めながら、LA周辺のさまざまな演奏、レコーディングに参加。2005年に帰国後、ライヴ、レコーディング、TV収録など、幅広い活動をしている。カノウプスのエンドーサー

スタジオの使い方が“絞られていく"

 僕はもともと“ドラムを練習する空間”として自宅スタジオを作ったんです。今はレコーディングでもよく使っていますけど、最初は全然そんなことは考えていなくて、そもそも、そういうことを考えて作るのであれば電気的な配線も考えなければならなかったですし。“ドラムを練習する空間”というのは、僕が仕事でドラムを叩くときの性分として“準備をして現場に臨みたい派”なんですよ。もちろん全然準備をしないで、当日現場に行って音を聴いて譜面を見てパッとやる方もいますし、そういう能力も必要なんでしょうけど、やっぱり、(準備して現場に臨むことで)自分の中の納得度が違うんですよね。事前に消化したいというか。だから自宅スタジオを作ったんです。 

スタジオの床面積は約9畳。吸音パネルはドラム・セットが置かれた3面の壁にのみ取りつけられている

 で、それがなぜレコーディングでよく使うようになったかというと、2011年くらいに知り合いの作家が、世には出回らない曲……いわゆるコンペに出す曲のドラムを録ることになったのが始まりだったと思います。コンペって、例えば数百の曲から5つくらいまでに絞られると“直し”が入ってきて、1コーラスだけだった曲をフル・コーラスにしたりするんです。それで、本当ならもっとクオリティを上げるためにレコーディング・スタジオを押さえてプロ・ドラマーをブッキングして……ってところなんでしょうけど、ものすごいスピードでスケジュールが進んでいくので、それは現実的に間に合わないんです。なので、その知り合いの作家が僕に電話して曲のデータを送って「すぐにやってくれない?」って連絡が来たんです。僕としては24時間自宅で叩けるので、夜中3時くらいから録り始めたりして(笑)。

デスクや棚を置いて書斎としても使えるように考えていたため、天井面には一部凹凸のある材を取りつけていることでスタジオ内の音の響きを良くしている

 そのくらいからそういったことをやり始めて、芦田愛菜ちゃんとか藍井エイルさんの作品などをこのスタジオで録ったんです。録音機材は自分で購入したんですけど、今はある程度安く買えるし選択肢もあるので、それほど費用をかけずに揃えることができました。オーディオの世界は追究すれば何千万の世界ですけど(笑)、僕が安い予算で揃えた機材でも、“製品”として耐えられるクオリティのものが作れるってわかったのはすごく大きかったですね。オーディオやレコーディングの知識に関しては、現場で結構見ていたこともあって何となくはわかりました。自分で音を録ったり、あとはやっぱり録音の仕事をやらせてもらって、レコーディング現場でエンジニアによって音が大きく左右されることを経験しまして、エンジニアの方とのコミュニケーションをより大事にするようになりましたし、例えばマイキングにしても“こんなやり方があるんだ”とか、すごく楽しめるようになりましたね。僕はそういう環境にすごく恵まれていて、勉強させてもらえる機会がたくさんあったんです。自宅スタジオが出来たばかりの頃はベース・アンプを置いていたのでベーシストとの練習なんかもやっていたんですけど、そんなこともあってか、スタジオの使い方が、逆に“絞られて”いったんです。

4年前と比べると、ドラム・セットの配置をはじめレコーディング機材の充実など以前とはまったく違う形に

大事なのは“24時間叩ける遮音性能"

 自宅スタジオが、“ドラムを練習する空間”から“レコーディングする空間”になって、いろいろと変化はあったのですが、ドラミングにも影響は“良くも悪くも”あると思います。例えば完全に生音でリハーサルをするときは、“生音で良い”と思える音が一番良いですよね。でも1 人でドラム・レコーディングをする場合は、(生音は)結構気にしないんです。やっぱりマイクで録る音は実際に耳で聴いている音とは違いますし。で、僕はその自宅スタジオでのオンマイクの音と叩き方に慣れてしまって、そういう(生音だけでない)状況では僕にすごくアドバンテージがあるんですけど、“リハスタでの生音”のときは、オンマイクの音とかそういうことを無意識に考えてしまったりすることもあるので、“良くない面”と言えるかもしれません。“録り音”と“生音”の差で具体的に僕が悩んでいるのは、オーディオ・インターフェースを通ってのマイキングだと、スネアのすごく高い成分が録れないんですよ。生音だとオープン・リム・ショットの高い余韻が長く聴こえるんですけど、(録ると)耳で聴いてるほど長くない。そんなこともあったりで、自宅スタジオの状況だけに慣れ過ぎないようにも意識していますね。生音では、変な倍音がいっぱい鳴っていても気にならないこともあるんですけど、レコーディングだと気になることも多いですね。もちろんそれは“良し悪し”なんですけど。

ドラム側からの写真。作業机や機材ラックなどが見える

ラックは楽器ケースで満載!

 それから自宅スタジオでたまに“チューニング研究会”というのもしているんですよ(笑)。知り合いのドラマー……伊藤大地君とかりっちゃん(岡田梨沙)を呼んで、みんなのセットを持ち寄って、同じ曲を叩いて録ったりして結果、“全然違う!”っていう。音はもちろん、アプローチとか、気にするところ……みんな何もかもが違って面白いです。同じ楽器を使って録ったときも“ここまで違うのか!”ってみんなで聴いて話したりして。今は宅録が当たり前の時代ですし、しかもハイ・クオリティでできる。それがまさにこんなスタジオなのかもしれませんね。やっぱり(自宅スタジオを)作ったときは、この先どう使っていくかなんてわからなかったですし、今は自宅スタジオで現場の準備をするのが好きでいろいろとやっていますけど、将来それが必要なくなったら、また別のことをやるようになると思いますし。(スタジオや自身の)状況も“どんな仕事をしているか”、“何時くらいに家にいるのか”などによって、どんどん変化していきますし。そう考えたときに、自宅スタジオのポイントって遮音性能なのでは、と思うんです。24時間叩ける性能があれば、どんなことでもできると思いますし。それは、“一番難しくて”、“一番大事なところ”ですよね。

※本記事はリズム&ドラム・マガジン2014年7〜8月号の記事を転載したものです。

前編はこちらから!

CASE:29 東京都 能村亮平邸スタジオ〜前編〜

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アコースティックエンジニアリングとは?

 株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

株式会社アコースティックエンジニアリング

【問い合わせ】
TEL:03-3239-1871
Mail:info@acoustic-eng.co.jp
住所:東京都千代田区九段北2-3-6九段北二丁目ビル

HP:http://www.acoustic-eng.co.jp

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株式会社アコースティック・エンジニアリング TEL:03-3239-1871 http://www.acoustic-eng.co.jp
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