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ポータブルに進化した次世代MTR ZOOM R12

ZOOM / R12

  • 制作・企画:ギター・マガジン 取材・文:今井悠介 写真撮影:北村勇祐 動画撮影&編集:宮脇俊郎

2021年にZOOMがリリースした新世代のMTR(マルチ・トラック・レコーダー)、R20。ロングセラーであるR8など、同社のMTRを現代の技術でブラッシュ・アップしたモデルで、往年のMTRを使いこなしていた世代から、スマートフォンのタッチ操作に慣れている世代まで、幅広い層のクリエイターに支持されている。そして今年9月、最大8ch同時再生/2ch同時録音とチャンネル数をコンパクトにまとめ、さらに持ち運びが容易になったR12が登場した。本機のMTRとしての魅力を、ギタリスト宮脇俊郎のインプレッションと共にお届けしよう。

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ZOOM R12の特徴

Point 1:タッチ・スクリーンで直感的な操作が可能

 2.4インチのタッチ・スクリーンでは、録音した波形やメニューが視覚的にわかりやすく表示される。タッチによる直感的な操作が可能で、例えばリージョン(波形)をドラッグすることで移動ができ、同じ演奏をループしたい時にはリージョンを引き伸ばすだけでOK。詳細な波形編集画面も用意されており、拡大した波形を見ながらトリミングやタイム・ストレッチが可能だ。一方で、主要な操作子はトップ・パネルに配置され、アクセスが容易になっているのが嬉しいポイント。

Point 2:Guitar Lab対応のエフェクトを内蔵

 録音/再生だけでなく、しっかりとギターの音作りを行なえるのもR12の特徴だ。各チャンネルはコンプ/リミッター/ゲートとEQが使用でき、さらにセンド・エフェクトも搭載。加えて、ZOOMマルチ・エフェクターでお馴染みのエフェクト・パッチが多数収録されている。1つのパッチ内では3つのエフェクトを同時に使用でき、各パラメーターを調整することが可能だ。Mac/Windows用ソフトGuitar Labからエフェクトやパッチを追加することもできる。

Point 3:電池駆動で持ち運び簡単

 R12は単3電池×4本での駆動ができるようになり、持ち運んでの使用がさらに容易となった。スタジオに持ち込んでバンド・メンバーとレコーディングし、自宅で細かな音作りや編曲を進める……という流れも、電源ケーブルの取り回しを気にせずスムーズに行なえるだろう。USB-C端子を使ってACアダプター/USBバス・パワー/モバイル・バッテリーでも動作するため、屋内/屋外問わず、幅広いシチュエーションで録音を楽しめる。

Point 4:ライブでの同期音源再生でも活躍

 R12にはスピーカーなどに接続するメイン・アウトと、ヘッドフォン・アウトという2系統の出力が用意されている。クリックはヘッドフォン・アウトのみに送ることが可能で、例えばライブ時にドラマーへクリックを送り、R12でシーケンスを再生するということもできる。さらに、プレイリストという機能では、R12で作成したプロジェクトをプレイリスト化し、連続再生が可能。制作だけでなく、ライブでの同期音源再生でも活躍するMTRとなっている。

R12のリア・パネル。左から、インプット2&1(XLR/フォーン・コンボ)、メイン・アウト(フォーンL/R)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)、給電/パソコンとの接続/MIDIキーボード接続用のUSB-C端子が並ぶ

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IMPRESSION:R12 × 宮脇俊郎

 様々な音楽ジャンルに精通し、音楽教則本や映像などを多数手がけているギタリスト、 宮脇俊郎がR12を使ってレコーディングを実施! その模様はデジマート・マガジンにて動画で公開するが、 ここでは宮脇がR12を使ってみて感じたインプレッションをお届けする。

制作からライブまで活躍してくれる
次世代のMTRになっています。

録音を聴き返すことが成長につながる

 ギターを弾いている時に気づかなくても、録音を聴き返してみて初めてわかることがあります。演奏している時は時間の流れに沿った“横軸”の意識になっていますが、聴く側は横軸にとらわれずに、ハーモニーなどの“縦軸”も意識して聴く余裕があるからです。つまり、演奏している時よりも聴き返した時のほうがよりシビアに聴くことができるんですね。R12で演奏を録ったり曲を作ってみることで、客観的に自分のサウンドを聴くことができ、成長につながると思います。

 演奏を録る際、パソコンであればソフトを立ち上げて録音の設定をして……と色々と準備が必要ですが、R12はスイッチをオンにして新しいプロジェクトを立ち上げるだけで録音をスタートできます。豊富なリズム・ループも用意されているので、それに合わせて演奏するだけで、作りたい曲のイメージを形作りやすいでしょう。シンセ音源も備えていて、タッチ・スクリーンでの打ち込みのほか、MIDIキーボードをつないで演奏を録ることもできます。音源のサウンドもバリエーションに富んでいるので、どんなジャンルでも対応できますね。

 録音したギター・サウンドの奥行きやダイナミック・レンジも素晴らしく、高価格帯のオーディオI/Oと比べても遜色ない音だと言えると思います。R12内でエフェクトを使って音作りをしていく時にも、この録り音の良さは有利に働くでしょう。

サウンドメイクだけでかなり楽しめる

 ギターの音作りで使えるエフェクトも豊富です。ドライブやモジュレーション、空間系のほか、アンプ/キャビネット・シミュレーターなどもあります。収録されているエフェクト・パッチは3種類のエフェクトで構成されていて、それぞれを細かく調整できるのもポイント。普段はやらないようなアンプとキャビネットの組み合わせを試すなど、サウンドメイクだけでかなり楽しめると思います。

エフェクト・パッチ内のパラメーターを調整している様子。パッチ内には3つのエフェクトがあり、それぞれを細かく調整可能だ。様々な組み合わせができるので、音作りだけでかなり楽しめるだろう

 R12ではプレイリスト機能が備わっていて、複数のプロジェクトを連続再生できます。ライブでのシーケンス・プレイで活躍する機能です。また、ギターの音作りがR12で完結してしまうことを考えれば、R12でバック・トラックの再生&ギターのサウンドメイクをしてソロ・パフォーマンスをするということもできるのではないでしょうか。制作からライブまで幅広いシーンで活躍してくれる、まさに次世代のMTRになっていると思います。

Movie:宮脇俊郎がR12でレコーディングに挑戦!

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製品情報

プロフィール

宮脇俊郎
みやわき・としろう●『ギター基礎トレ365日!』、『最後まで読み通せるジャズ理論の本」など、これまでに単行本や教則DVDを多数手がける。近年では台湾・中国でのデモ演奏やセミナーなど海外での活動も展開。自身のオンライン・レッスンでは、3台のカメラや譜面表示を切り替えながら映像を記録していく独自の方式を取り入れている。 http://miyatan.cup.com

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