Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
DiMarzio
ディマジオが誇る名機Super Distortionは1973年に誕生し、今年で50周年を迎えた。それを記念しディマジオの新旧8機種をギタマガ編集部が厳選。有賀教平による試奏レビューをお届けする。
1973年から現在までディマジオの顔役として君臨する超定番ピックアップであり、リプレイスメント・ピックアップの代名詞。名前のとおりのハイゲイン系のモデルで、ディストーションでリードを奏でるのに最適だ。強力なセラミック磁石や、細いワイヤーを多く巻いたボビンなど、それまでのハムバッカーとは違った設計から生み出される濃密な歪みサウンドは、多くのトップ・ギタリストを魅了してきた。現在の製品は4芯仕様になっているため配線次第でコイル・タップやパラレル・ワイヤリングにも対応し、幅広い音作りもできる。今回リア・ポジションで試奏したDP100Fは、各弦間ピッチがポールピース上で10.2mm間隔になった“Fスペース”仕様。トレモロ搭載ギターのリア・ポジションなどに適合する。
一度は体験すべき気持ちいい歪み
名前からは意外ですが、クリーンもマイルドで使いやすいですね。少しトーンを絞ってジャズっぽいコードを弾くのにも合います。リアのクリーンも耳に痛い帯域はないのに、アタックが速くてちゃんとピッキングが抜けてくれますね。クリーン・トーンでもサステインがしっかり伸びてくれるのも良いです。
今回はオーバードライブ(BOSS BD-2W)を使って試奏していますが、ゲインが真ん中くらいでも、僕が普段使っているディストーションくらいの深い歪みになっています。やはり歪ませると本領発揮で、荒々しさがあるのが特徴。プレキシのマーシャルで歪ませたようなテイストもあって、現代の音楽の中であえて使ってみるのも面白いと思います。フロント側はカリッとしたクリスピーな部分があって、ハードロック寄りなブルース・ロックにも良さそうです。
出力に余裕があるからなのか、ギターのボリュームを絞っても歪みの質を損なわずに、音色だけクリーン寄りに変化させることができます。手元で操作する人も良いと思います。タップしても音が薄くならず、普通のシングルコイルよりもパワーがありますね。
色々な音楽をやるというよりは、歪みのサウンドの中に自分の個性を追求したい人に向いていると思います。これを載せることでギターのキャラクターがガラッと変わるので、手元のギターの新しい音色を追求したい人にも良いですね。
ロングセラーなだけあって、歪みの気持ちよさが素晴らしいので、ぜひ一度体験してみてもらいたいモデルだと思いました。
ラリー・ディマジオが所有する59年製レス・ポールに搭載されているPAFピックアップのサウンドを、ディマジオが持つ特許技術を駆使してよみがえらせたモデル。ビンテージPAFと同じく、弾き方によって甘めなサウンドから力強いオーバードライブ・サウンドまで手元で操ることができるレスポンスの良さを持つ。ラリーが持つPAFにならって磁力を弱めにすることでビンテージ・サウンドを獲得し、さらに弦の振動を極力阻害しないという副産物も得た。音はビンテージを再現しながらも同社自慢のポッティング技術により、ノイズやマイクロフォニックは極力排除されているため、現代のシーンでもオールマイティに対応。DP103はフロント/リア共に搭載可能だが、リア専用のDP223は出力をやや高めてバランスを取りやすくしたモデル。
クリーンと歪みがシームレスにつながる
優しい音色で弾きやすいですね。多くの人がイメージするハムバッカーのサウンドに近いと思いますが、手元の強弱への反応がとても良い。歪ませた状態でもボリュームを操作せずピッキングを弱くするだけで、しっかりクリーンな音が出せますね。ここまでセンシティブなピックアップは珍しいと思います。
クリーンはローの出方が良いですね。低域が出過ぎると上の帯域がマスキングされてしまいますが、整理されているのでハイとミッドの存在感がある。かと言って、ローが少なすぎることもないので音が薄いという印象はまったくない。バッキングではコード感が聴き取りやすい音色になりますね。ソウルやR&Bにも合いそうです。
歪ませても印象は同じで、クリーンと歪みがシームレスにつながるように感じました。歪みとクリーンでまったく音が違うピックアップもあって、それはそれで面白いのですが、クリーン、クランチ、歪みを手元のボリューム操作で行ったり来たりする音楽性だと、このピックアップはとても良く合いそうです。チューブ・アンプとクリーン・ブースター、そしてこのピックアップという組み合わせなら、弾き方とボリューム操作で色々な音が作れますね。
フロントのタップ・サウンドは、シングルの代用にするのではなくて、タップ独特のカリッとしたサウンドを楽しめます。対照的に、リアのタップはシングル的に使えます。
どのギターにでも合うと思うし、音楽ジャンルも幅広く対応できる、オールランドなハムバッカーだと感じました。
エリック・ジョンソンのシグネチャー・ピックアップ。彼の要望により、レス・ポールに搭載した際にグレッチのカントリー・ジェントルマンのようなサウンドを得ることを目的に開発された。その結果、ブライトでクリアだが耳に痛くない高音域が特徴という、シングルコイル寄りのサウンドを持った本機が誕生。クリーン・サウンドでの澄んだサウンドを得意とし、歪ませても音がつぶれずに前に出る。スペック的にはビンテージPAFなどとも共通するが、より高音域のレスポンスが良く、低音域も十分出ているためサウンドが薄くならない。いわゆるビンテージ・サウンドとは別の傾向の、ハムバッカーのクリーンを楽しめるモデルだ。リア用のDP212は、フロント用のDP211よりもやや出力が高く設定されている。
ハムバッカーとは思えない抜けの良さ
ほどよく枯れていて、音を出した瞬間からブルースを弾きたくなりました! 出力がシングルコイル並みに低くて、トップの抜け感も本当にハムバッカーなのかと思うほどクリアに聴こえてきます。ハムの良い部分も持っていつつ、シングルコイル的に使えるピックアップですね。かといって音が薄いわけではなく、ハイと一緒にローがちゃんと出ていて、全体を支えているのも好印象です。
歪ませてもその印象は変わらずに、キラッとした帯域が出てくれるので、シングルコイルのギターを弾いているような感触がありました。出力は低いのですが、サステインが伸びやかで、リード向きの歪みもしっかり作れます。最近の音楽だとわざとファズを使ってギターの音に特徴を持たせることもありますが、ファズでも音がつぶれすぎずにピッキングのニュアンスが残りそうです。
小編成のバンドで演奏する時なんかでも、コード感が出てくれるのに音が薄くならないから使いやすいと思います。
タップの音も特徴的ですね。フロントをタップしてクリーン・トーンで弾くと、エレアコっぽいハイファイな響きも出てきます。ほかでは聴いたことのない音で、とても面白いです。リアのタップはテレキャスター的なトゥワンギーな音で、これも実用的。
これはブルース・プレイヤーにお薦めしたいですね。ハムバッカーだけど煌びやかさが欲しい人にはちょうど良いと思います。僕としては古いツイード・アンプに直でつないで、フルアップにして弾きたいです。最高に気持ち良さそうですね!
シングルコイルのような高音域をハムバッカーでも出せるように開発されたモデル。名前とは裏腹に繊細なクリーン・サウンドを得意とし、ハムバッカーならではのロー・ノイズも実現。2ハムのギターのフロントに搭載することで、カッティングやアルペジオにも対応できる万能ギターを狙える。フロント・ポジションで試奏。
ブラインドならシングルと区別できない
シングルコイルのサウンドを狙ったということで、まさにそんな音ですね。ブラインド・テストをしたらシングルだと思ってしまいそうです。だけど弱々しい音ではなくて、存在感のあるクリーンが出せます。コンプがかかっているのかと思うほど整った音がして、弾きやすいですね。カッティングの時のチャキチャキしたアタックがしっかり出るので、ハムバッカーを使いたいカッティング主体のプレイヤーにお薦めです。ハイゲインにしても音がつぶれないので、深く歪ませる人にも良さそう。
アイバニーズのアンディ・ティモンズ・シグネチャー・ギターだけに搭載されていたモデルだが、製品化を望む声にこたえて単体でも販売された。PAF 36th Anniversaryで培われた技術が投入され、暖かみがありつつ、弦の響きを明瞭に伝える。本体がブライトな傾向のギターに、ウォームなトーンを与えるのに最適。リア・ポジションで試奏。
タップをエフェクター的に使える
“リードを弾いてくれ”とピックアップが主張しているようなモデルですね! リア特有の耳障りな帯域がカットされていて、クリーミーな歪みを作りたい人には最適です。アンディ・ティモンズはもちろんですが、アレン・ハインズなどの歪みを狙いたい人にもお薦め。サステインが素晴らしくて、音を伸ばすとミッドがグッと膨らんでくるのが印象的です。 タップするとスッキリした音になるので、タップでバッキング、戻してリードという、エフェクター的な使い方もできますね。
ブランドに対するイメージが変わりました。
これだけ色々なピックアップを同じギター載せて比べる機会がないので、とても面白かったです。ギター本体ごと替えるとピックアップ単体の音色を聴き比べることができませんからね。今回はそれぞれのモデルの個性がよくわかりました。
ディマジオ製品はこれまで、Super Distortion、PAF Pro、Tone Zoneなんかを使ったことがあり、ハイゲイン・サウンドに特化したようなイメージをずっと持っていたんです。だけど今回、PAF 36thやEJ Customなどに触れてみて、ロー・ゲインでニュアンスを聴かせるピックアップもあることを知って、僕が持っていたブランドへのイメージが変わりましたね。
モデルによってキャラクターがハッキリしている。
今日の中ではEJ Customが特に気に入りました。ハムバッカーを使っていると、もうちょっとハイのニュアンスが出したいとか、音が抜けてほしいとか思うこともあるのですが、EJ Customはそれが表現できるピックアップでした。僕だったらセミアコに載せて、セミアコの空気感とシングルっぽさの組み合わせでどんな音になるのかを試してみたいです。
ほかのモデルと弾き比べたことで、Super Distortionの印象も変わりました。昔使っていた時には名前のとおりディストーションに使うものだと思っていましたが、クリーンやクランチでもピッキングに追従してきて、とても音楽的なサウンドだったことを改めて認識できました。
ディマジオはモデルによるキャラクターがハッキリしているので、自分の欲しいサウンドが明確になっている人は必要なピックアップが選びやすいと思います。オールマイティに使いたいならばPAF 36thのようなモデルも用意されていますね。どのモデルも整った音になっているのが好印象で、音楽的に使いやすいというのが共通した感想でした。
※本記事の表示価格は掲載モデルのカラーのものです。別のカラーでは価格が異なる場合があります。
価格:¥18,700 (税込)
価格:¥20,900 (税込)
価格:¥22,000 (税込)
価格:¥18,700 (税込)
価格:¥20,350 (税込)
有賀教平
ありが・きょうへい◎10代からプロ・ギタリストとしての活動をスタート。松田聖子、SixTONES、フィロソフィーのダンスなど様々なポップ・アーティストのサポートを行なう。また、SNSで発信する演奏動画は高い人気を誇り、特にネオソウル系のフレージングは、プロ/アマ問わず、多くのギタリストから注目を集めている。