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  • いっちーのデジタル・デジマート〜第1回

誰もが音楽を作って発信できる時代

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 デジマート・マガジンをご覧の皆様、はじめまして! いっちーと申します。

 わたしはつい最近まで、とある楽器店でネットショップの店長をしておりまして、お店で楽器を販売、さらに店長Blogを毎日10年以上更新しながら楽器の楽しさを啓発してきましたが、この度、
ご縁がありまして「デジマート・マガジン」でコラムを連載させていただくことになりました。

 題して「いっちーのデジタル・デジマート」

 いきなりスケールのでかいタイトルになってしまいましたが(汗)、こちらのコラムでは電子楽器、DAW、プラグインソフト、DJ機器などを中心にお話させていただきます。「デジタルなマート= デジマート」にさらにデジタルをプラスして「デジタル・デジマート」というわけなんですね。みなさんと一緒に楽器から得られる素晴らしい体験を共有し、音楽によって豊かな人生を送ることができれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします(^ー^)ノ

 第1回ということもありますので、今回は自己紹介を兼ねながらコラムを始めるにあたっての意気込みを少々。

我々は今、とても充実した音楽制作環境の中にいる

 わたしが音楽を始めた頃は1990年代前半、当時中学生でした。スピーカー搭載のオールインワン・シンセサイザー使って曲作りを始めたんですが、その後、本格的なワークステーション型シンセサイザーに乗り換え、アナログ・モデリング・シンセサイザーやサンプラーなどのいろんなMIDI音源を追加していき、メイン・シーケンサーをシンセサイザー内蔵からDTMソフトに乗り換え、ハードウェア機材をコンピューターでコントロールした時期を経て、最終的にラップトップPC中心のDAW環境に移行していきました。

 「なんだか専門用語がたくさん出てきてよくわかんないなぁ〜」って思った方もいるかもしれませんが、安心してください。さっと流してもらって結構です(笑)。話をそのまま続けますね。

 音楽制作の環境が成熟したのはここ10年から15年ぐらいの話で、またインターネットの高速化や、WEBサービスの充実度についても同様のことがいえますが、それら技術の進歩にただただ驚くばかりです(^^;)。

 今ではインターネットを使って自作曲を配信するだけでなく、SNSを使って共通の音楽仲間を集めたり、共同で制作を行ったりと、コミュニティを形成して新たなプロジェクトを起こすことも容易になりました。しかも音楽制作で必要な機材面においても極めて少ないコストで環境が整えられる、そんな充実した環境の時代に我々は居るわけです。ですから、もっと音楽をアクティブに楽しむ人たちが増えても良いはず! 音楽制作環境はめっちゃ整っているんですから! このコラムをきっかけに電子楽器やデジタル・ツールに興味を持ってもらい、夢中で音楽を作ったり、演奏する人たちがもっと増えたらいいなと思っています。

 ではここで、現在の音楽制作環境がどうなっているかということについて、一度ざーっとご紹介してみたいと思います。

現在の音楽制作環境の傾向


 先ほどもお話いたしましたが、ここ十数年の間で音楽制作の中心はハードウェアからソフトウェアに移行し、音楽環境の効率化が進んでいきました。ラップトップ一台で音楽制作ができるのは当たり前になりましたが、最近ではスマホやタブレットでもアプリで音楽が作れるようになり、それに対応した周辺機器も増えているんですよね。

例えば、以下のような製品はオーディオ・インターフェイスと呼ばれ、コンピューターやiPhone、iPadに音の出入り口を作るために必要な機材です。機種によってできることが異なりますが、これらを使って歌やギターを録音したり、作った曲を外部のスピーカーで鳴らすことができます。

▲コンピューターでもiPhone/iPadでも使えるオーディオ・インターフェイス

 また、最近では1つのソフトウェアに対して専用コントローラーがセットになった製品が多くみられるようになりました。その中でもNative Instruments MASCHINEシリーズの様な、コンピューターの画面を見なくてもハードウェア単体機のようにすべてコントローラーで側で操作できるものもあります。演算処理だけコンピューターに任せているという感じですね。

▲ NAITIVE INSTRUMENTS Maschine Studio

 また一方、面白い現象が起こっていて、操作感やアナログの音の良さが見直されて、ソフトウェア中心だった音楽制作者もハードウェア楽器に興味を持ち、制作環境に取り入れていくという傾向が見られます。ダンス・ミュージックに欠かせないビンテージ・リズム・マシンROLAND TR-808/TR-909を次世代の音楽シーンに向けたリズム・マシンとして開発されたROLAND TR-8や、KORGとタッグを組んで生み出されたARP Odysseyがそれにあたります。また、YAMAHA Refaceシリーズにおいても名前のとおり、歴代のYAMAHAのシリーズ名を冠し、新しいコンセプトで登場したという点で共通するものが多いです。

▲過去の名機が新しいコンセプトにより復活した製品

 わたしが推測するに、ソフトウェアでは味わえない「演奏する」「操作する」「触れる」といった、本来楽器から得られていた体験が再び求められている時代なのかなと思います。また時代が一周してソフトウェアからハードウェアに移りつつあるということなのかもしれません。

 このような現象は、最近のレコード・ブームと非常に良く似ています。音楽メディアはアナログ・レコード、カセット、MD、CD、データと移り変わり、今ではハイレゾ音源という高音質フォーマットや、定額制聴き放題の音楽ストリーミング・サービスが注目されている中、再びレコードが世界的に売り上げを伸ばしてるというのは、アナログの温かみのある音質だけでなく、レコードをプレイヤーに乗せ、レコード針を置くという操作、そしてジャケットのアートワークを鑑賞する楽しみ、それら全体が音楽を聴く嗜み(たしなみ)としてあらたな価値を生み出しているといってよいでしょう。

 音楽って世の中の流れをいち早く反映していると個人的には思っているので、こういった流行は効率化が進めば進むほど人は楽ができて、本当に自分が好きなことに時間を費やせるということの表れかな?なんて思ったりします。これからの音楽制作におけるテクノロジーってどのように発展していくんでしょうか?わたしなりに考えていることがあるんですが、それはまた追々(^_^)

 最後にもう一つお伝えしたいことが! ここは全国の楽器屋さんが集まるデジマートです。このコラムで登場する楽器にはできる限りデジマート内の製品へリンクしていきます。興味を持った製品のリンクをたどって近くの楽器屋さんが見つかったら、是非足を運んでみてください! 楽器に興味を持ってもらう人が増えて、楽器屋さんにお客さんが集まる仕組みを作ることは、元販売店員としてのわたしなりの使命だと思ってます。あ、いや、時間がなくてお店に行けない〜という方は、もちろんそのままポチっていただいてもOKですよ(笑)

 では、今回はこの辺で! <次週火曜更新予定>

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プロフィール

いっちー
元楽器販売店。楽天市場内の店長Blogを毎日10年以上更新し、2008年ブログ・オブ・ザ・イヤーを受賞。学生のころから作曲やDJ活動、バンド活動などの経験を積む。得意ジャンルはクラブ・ミュージック

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