Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
YAMAHA Drums
ヤマハドラムスの50周年を記念し、去る9月2日に開催されたメモリアル・コンサート“Yamaha Drums 50th Anniversary Drum Session@原宿クエストホール”。スティーヴ・ガッド、デイヴ・ウェックル、神保 彰、川口千里というヤマハを代表するドラマー達が、それぞれの愛器を駆使して至極のパフォーマンスを披露。ラストには4人が同じステージに集合し、タイトル通りの“ドラム・セッション”を繰り広げ、超満員の観客から大喝采を浴びた。今回はリズム&ドラム・マガジン2017年11月号に掲載されたコンサート・レポートから、4人がステージで使用したヤマハドラムスを特別に紹介しよう。
約40年に渡ってヤマハのドラムを愛用し続けるスティーヴ・ガッド。スタジオ・シーンが黄金期を迎えた70年代に、その独創的なサウンド&グルーヴを武器に数々の名盤に参加。フロア・タムを廃したオール・タム仕様のYD-9000は、世界中のドラマーの憧れの的となり、“ヤマハドラムス”の名前を世に轟かすきっかけを作った立役者とも言える存在だ。
スティーヴは自身が開発に携わった新しいレコーディングカスタムでプレイ。サイズは20”×16”BD、10”×7.5”TT、12”×8”TT、14”×13”FT、16”×15”FTという構成。スネア・ドラムはシグネチャー・モデルのスティール・シェル(14”×5.5”)。レコーディングカスタムではリフターつきの20”キックをセレクトしている。いつも以上に幅広いダイナミクス表現を駆使して演奏したスティーヴだが、レコーディングカスタムはそれにピタリと追従し、芳醇なサウンド&グルーヴを奏でていた。
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80年代に頭角を現し、その超絶技巧を駆使した多彩なドラミングでフュージョン・ムーヴメントを牽引したデイヴ・ウェックル。一切妥協することなく、理想のサウンドを追求し、数多くのフォロワーを生んだ彼も“ヤマハドラムス”のブランドを確立する上で重要な役割を果たしたキーマンである。
普段はPHXシリーズの多点キットを愛用するデイヴだが、この日はアブソルートハイブリッドメイプルをセレクトし、18”BDを基調とした1バス、1タム、2フロア・タムのバップ・セッティングでプレイ。レギュラー・グリップで叩きやすいよう、タイコ類を絶妙に傾けてセットしている点に注目。流麗なドラミングで、シンプルなセットから彩り豊かなサウンドを引き出していた。また、この日はデイヴの希望でマイクの点数も最小限。手元のミキサーで自らバランスを調整する徹底したこだわりようであった。
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80年にCASIOPEAの新ドラマーとして彗星の如くシーンに登場し、今や世界にその名を轟かすスーパー・ドラマーとなった神保 彰。デビュー前より約40年間ヤマハドラムス一筋で、歴代のさまざまなモデルを愛用。トリガー・システムを駆使した唯一無二のパフォーマンス=ワンマンオーケストラもヤマハとのパートナーシップから生まれたものである。
アコースティックとエレクトロニックを融合した、ワンマンオーケストラ仕様のハイブリッド・セッティングで臨んだ神保。ドラムはスネアも含めてYD-9000AJで統一。ティンバレスやカウベル、ジャム・ブロックなども組み込んだカラフルなサウンドで、観客を魅了。長年に渡り神保を支えるテクニシャンの枝川光孝氏がハードウェア類をカスタマイズし、マイク・スタンドを使わずに足回りもスッキリとした“多点セッティング”を実現。神保のドラミングと共に機材もまた進化し続けている。
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ヤマハのドラムはどのモデルも、真っ白なキャンバスというイメージを共通して感じますね。個性はあるんですけど、プレイヤーの色に染まってくれて、なおかつ清潔感がある。そこが魅力だと思います。あとは徹底したプレイヤー目線。これは昔から変わらないヤマハの特徴で、特にハードウェアは1回使うと他は使えなくなるくらい、使い勝手が良いですね。あとはアコースティックとエレクトロニックの両方に力を入れている点も、他にはない魅力だと思います。ヤマハを使っていなかったら、ワンマンオーケストラのような、ああいう世界はできなかったと思います。エレクトロニック・ドラムが80年の初頭に登場して、いろんなメーカーが一通り出しましたけど、ヤマハだけがその両方を続けてきて、せっかくなら組み合わせてみようっていう自分の中では、自然な流れなんですけど(笑)、でもヤマハ以外だったら考えられなかったです。
50周年おめでとうございます。僕はその内の40年使い続けてますけど、セットに座る度に、“ここが自分の居場所”と感じさせてくれる素晴らしい楽器を提供してくださったことに、深く感謝しています。海外進出のきっかけも与えていただき、今の自分があるのはヤマハのおかげだと思っています。
天才キッズ・ドラマーとして注目を浴び、10代にして国内外のトップ・ミュージシャンと共演を重ねてきた若きテクニシャン、川口千里。ドラマーとしての活動と学業を両立し、ますます活躍が期待される彼女が、今回の50周年コンサートに大抜擢! 次の50年を担う若手代表である彼女を支える愛器を紹介しよう。
イベントのオープニングを飾った川口は、自身にとって最初のヤマハのドラム・セットであり、現在もメインとして愛用しているPHXシリーズをセレクト。HEXRACKを使って機能的に組み上げたお馴染みのセッティングから、アタックと音ヌケを兼ね備えた力強いサウンドを会場中に響かせていた。スネア・ドラムはメインにアブソルートハイブリッドメイプルを、サイドにレコーディングカスタムのブラス・シェルをそれぞれ配置。打面にキャラクターの異なるヘッドを装着し、音色を工夫していたのも印象的であった。
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今までにいろんなドラムを叩かせてもらいましたけど、ヤマハのドラムには独特の繊細さがあって、私のドラミングにはそれが合うと思っていたので、ヤマハのドラムを使いたいってずっと思っていました。今はPHX、アブソルートハイブリッドメイプル、レコーディングカスタム、ヒップ・ギグの4種類を使い分けているんですけど、どれも音の鳴り方がまとまっているところが、ヤマハならではだと思います。もちろんセットごとに性格は出てくるとは思うんですけど、まとまり方に一貫性があって、1つ1つの音に特徴がハッキリ出ている。あと、手で表現しやすいっていうのが、ヤマハのドラムに対する私のイメージなんです。PHXとアブソルートハイブリッドメイプルは似ていて、音のイメージが逆三角形で、下にヌケていく感じ。レコーディングカスタムはその逆で、特にフロアは低音が鳴るので広がりのある三角形。音が視覚的に見えてくるところも好きですね。
シンプルに50周年本当におめでとうございます。私にとってはヤマハさんのドラムに出会ってからは長いつもりではいるんですけど、それでもまだ8年。その5分の1にも満たないという(笑)。歴史ってすごいなとあらためて思うんですけど、これから積み上げられていく歴史の中で、私の歴史も一緒に作っていけたらいいなと思います。
本記事は、リットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2017年11月号』の特集記事を一部転載したものです。本誌記事には、ここでは紹介できなかったメモリアル・コンサート“DRUM SESSION”の完全レポート記事を掲載。さらに多くの写真とともにコンサートの模様を楽しめる内容になっていますので、ぜひチェックしてみてください。
また本号の表紙飾るバディ・リッチの生誕100周年を記念して、超貴重な生前のインタビュー本誌初掲載! さらに創刊35周年記念特集の第6弾では、「“ポピュラー音楽の原点”を振り返る〜the JAZZ DRUMS」と題してジャズにフォーカス。約50ページに渡る保存版、要注目の内容となっています!