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二井原 実(LOUDNESS)× Westone Vol.2 〜 アンビエント型イヤモニの衝撃!

Westone / AM PRO Series

37年のキャリアを誇り、現在もHR/HMシーンを牽引し続ける重鎮ヘヴィ・メタル・バンド、ラウドネス。そのフロントマンとして、国内外のオーディエンスを沸かせ続けているのが、ボーカルの二井原 実だ。WestoneのカスタムIEM愛用者であり、イヤモニとの出会いによって、シンガーとしての寿命が延びたと語る二井原。そのイヤモニに対する熱い想いに迫ったデジマート・マガジンの特集記事も大きな反響を呼んだ。そんな氏が現在ツアーで使用しているのが、Westoneのアンビエント型IEM。“今までにないステージ感が得られる”と絶賛し、特にボーカリストにオススメという新感覚なアンビエント型イヤモニの魅力を語ってもらった!

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Introduction〜アンビエント型イヤモニとは?

Westoneが発表したアンビエント型イヤホンのユニバーサル・モデル=AM PROシリーズ

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 通常、イヤモニ(この場合、カスタムIEMのことを主に指す)は、ステージ上での他の楽器の出音からの影響を極力受けないモニター環境を作ることが目的であるため、密閉度が高く、自身(演奏する楽器や声)が発する音をクリーンにモニタリングできる反面、その高い密閉度ゆえに、俗にいうステージ上のアンプやドラムなどの音圧や観客の熱気などを含んだライブの場の空気を感じることが難しいとされていた。しかしWestoneでは、複数のドライバーを搭載し、複雑かつ緻密であるために難しいとされていたイヤモニの筐体に穴を開け、アンビエント用のフィルターを付けることで、外音をイヤモニ内に取り入れ、ステージ上のミュージシャンが自身の音をしっかりとモニターしながら周囲の音も感じることができる、新たなアンビエント型のイヤモニを開発。そのユニバーサル・モデルとして発表されたのがAM PROシリーズだ。

 従来のアンビエント型では、筐体に穴を空けることで周波数レスポンス(ざっくり言うと音の応答反応)が下がってしまうこともあったが、WestoneではAM PROシリーズのために新規開発したSLEDテクノロジー (周波数レスポンスを下げることなく、周囲の環境音とサウンドの信号を繋ぐというもの)と 、TRUオーディオフィルターにより、必要な環境音のみをイヤモニ内に取り入れることに成功している。

筐体に穴を空け、外音の取り込みに成功。穴にはTRUオーディオフィルターを装着し、音のバランスをコントロール。フィルターを交換するとアンビエントの環境音量を変えることができる

アンビエント型で今までのイヤモニの概念が覆された

数多くのイヤモニを試してきた二井原が絶賛するWestoneのアンビエント型IEM。ステージでのパフォーマンスも格段に上がったという

── 二井原さんは以前よりWestoneのカスタムIEM(インナー・イヤー・モニター)をステージで使用されていますが、現在愛用している(同じくWestoneの)アンビエント型IEMとの出会いを教えていただけますか?

二井原が実際に愛用しているWestoneのアンビエント型カスタムIEM。海外フェスなどでも一目でわかるよう、ケースには日の丸のステッカーが貼られている

 新しいもの好きなので、定期的にイヤホンの情報をネットでチェックしているけど、偶然にもWestoneがアンビエント型のイヤホン(AM PROシリーズ)を出したっていう記事を見つけてびっくりしてさ。そもそもIEMはどちらかといえば遮音性を高めていく方向なのに、あえて外の音を入れるなんて、どういうことかと。確かに自分用にカスタムしたIEMはステージでも歌いやすいし、喉にも耳にも良くて、(音のモニター)環境も抜群だけど、その遮音性のおかげで、熱くなるはずのライブでも、どこか冷静になってしまう場面があってね。自分と同じ年代のボーカリストの中にも、同じようにIEMの優れた遮音性からくる孤立感や閉塞感が苦手っていう声も聞いていて、もしかして、このアンビエント型のモデルは、その問題を解決してくれるんじゃないかって、好奇心で注文してみたんだ。

── 実際に試してみた感触はいかがでしたか?

 最初にリハーサルで試したんだけど、衝撃だったのはイヤモニを付けたまま、スタジオの中で普通に会話ができたこと。いつも使っていたモデルはどこか膜が張った感というか、外の音が壁の向こう側から聴こえてくるようなイメージだけど、このアンビエント型はその壁が限りなく薄くなったような感じ。ちなみに僕が使っている(Westoneのアンビエント型イヤホンの特徴である)遮音フィルターは、デフォルトの16dBよりも遮音性の高い25dBのタイプだけど、爆音のラウドネスだとこれでちょうどいいくらい。(装着していても)イヤモニを外しているときと変わらないけど、歌い出すと、これまで使っていたものと同様にクリアにモニターできて驚いたね。特にステージで使うと顕著で、お客さんの歓声はもちろん、PAから出ている空気感や低音のウネり、ギターやベースの箱鳴りまで、すべてがしっかり聴こえてきて。とにかくライブ感がすごいので、最初はコントロールに戸惑ったけど、今までのイヤモニの概念が覆されたというか、革命的だと思う。

奇跡的なモニター・バランスでいつでも歌うことができる

── イヤモニをアンビエント型に変えて、ライブでのパフォーマンスに何か変化はありましたか?

 7月のヨーロッパ・ツアーでもアンビエント型のカスタムIEMをずっと使っていたけど、絶好調でしたね。音の聴こえ方が自然だから、さらに歌の力みが取れるというか、よりステージや客席の空気がわかりやすくなったので、ライブにより深く入っていけたような気がしたんだ。いつもよりお客さんに近い場所で煽ったり、自然に感情が高揚されて、今までとは違うライブ感、一体感があったよ。これは、あくまでも個人の意見で、楽器によって好みは分かれると思うけど、少なくともボーカリストにはアンビエント型は合っているんじゃないかな? 特にずっと“転がし(フット・モニター)”で歌ってきた年代のボーカリストこそ、ぜひ試してほしい。“転がし”で歌っていると、“今日はモニター・バランス最高だったな”っていう奇跡の瞬間があるけど、このアンビエント型を使えば、その奇跡的なバランスがいつでも手に入る。あとはトランペットやサックスなんかの管楽器を演奏する人にも合うと思うし、ギタリストもアンビエント型の方が良いって人はかなりいるんじゃないかな?

── Westoneによると、アンビエント型イヤホンの開発は、技術革新の他に、二井原さんもおっしゃった「ステージでの一体感がほしい」というミュージシャンのリクエストが多かったこともきっかけになったそうです。

 その技術革新っていうのはどんな点なの?

── ネットワーク配線(音を周波数によって分割する回路。それぞれのドライバーが受け持つ音域をコントロールする)の進化もあるそうですが、ドライバーの小型化が進んで、 筐体に隙間を空けられるようになったのが大きいそうです。

 なるほどね。アンビエント型のカスタムIEMを作ってもらうときに、ずっと使ってきていたES60をアンビエント型にできないのかお願いしたら、無理だって言われて……それは物理的に隙間がないからなんだね(ES60は6基のドライバーが隙間なく配置されている)。でも必要な音域だけ(外の音を)取り入れるフィルターの技術はすごいと思う。きっと穴の空け方も計算されているだろうね。

遮音性の高いカスタムIEMが苦手という人こそアンビエント型を試してほしいと語る二井原

メンバーのダイナミクスを感じながらモニターしたい人には間違いないアイテム

── Westoneのアンビエント型イヤホンは、カスタムIEMだけではなく、AM PROシリーズとしてユニバーサル・モデルが3種類ラインナップされているわけですが、二井原さんならどのように使い分けしますか?

 ボーカリストが使うなら、ユニバーサルのAM PRO10でもまったく問題ないと思うね。ボーカルに必要な帯域は網羅しているので、モニター用に使うなら十分だよ。ただ(上位モデルの)AM PRO30は音のバランスがめちゃくちゃ良い。外音も適度に聴こえてくるので、音楽鑑賞用として使っても抜群に良いと思うよ。

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── この記事を読んで、密閉型からアンビエント型へ変更を考えるボーカリストもいるかと思いますが、そういった人へ何かアドバイスはありますか?

 デフォルトの16dBのフィルターを使えば、ライブ・ハウスで使う場合は、他の楽器(の音)を返してもらう必要がないかもしれない。ユニバーサル・モデルのAM PROシリーズはフィルター固定だけれど、そのままで十分に歌えるし、自分の声の返しだけイヤモニにして、外音とのバランスを取れば、それだけで最高になれる(笑)。
 そうそう、もしユニバーサル・モデルでステージでのパフォーマンス考えるならイヤー・チップはシリコンよりもフォームの方がおススメ。(ユニバーサル・モデルは)耳へのフィット感がカスタムIEMほどシビアではないからね。でもWestoneのイヤホンに付いているトゥルー・フィットの(自分の耳より少し大きめの)フォームを使えば、かなりカスタムIEMに近い感触でアンビエントを楽しめると思うよ。グルーヴ感を大切にして、メンバーが生み出すダイナミクスを感じながらモニターしたい人には、Westoneのアンビエント型のモデルは間違いないアイテムだね。

AM PROシリーズには複数種類のイヤー・チップが付属。二井原のオススメはTRUE-FITフォームイヤー・チップで、大きめのサイズを選ぶことでIEMに近い感覚を得られるという

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プロフィール

二井原実
1960年3月12日、大阪府出身。1981年、ラウドネスのボーカリストとしてプロ・デビュー。1980年代半ばには海外にも進出、ビルボードTOP100にチャートイン、マジソン・スクエア・ガーデンでライブを行うなど、日本人初の快挙を次々に成し遂げる。1988年にはラウドネスを脱退するが、ソロ名義の他、デッド・チャップリン、SLY、X.Y.Z.→Aといったバンドのフロントマンとしても音楽活動を継続。2000年にはオリジナル・メンバーで活動することになったラウドネスに復帰、コンスタントにアルバムをリリースし続けている。ライヴ活動は日本国内にとどまらず、ヨーロッパを中心として、アメリカ、アジアの国々など、文字通りワールドワイドに行っており、世界中のファンを熱狂させ続けている。9月21日よりMETAL WEEKENDがスタート!

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