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鷲山和希が弾くフェンダー・ビンテージ・スタイル Part.1

Fender

  • 制作:ギター・マガジン編集部 取材・文:ギター・マガジン編集部 ギター解説:ashtei 写真撮影:八島崇(*を除く)

フェンダー・ギターの黄金期と言える50/60/70年代モデルのルックスとサウンドを再現するシリーズ、Vintera II/American Vintage II/Made In Japan Heritage/Made In Japan Traditional。“フェンダー・ビンテージ・スタイル”と呼ばれるこれらのシリーズを、鷲山和希(Suspended 4th)に試してもらった。Part.1ではVintera IIの4モデルのレビューをお届けする。

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アップデート内容から探るVintera IIの全貌

まずは2023年9月に発表されたVintera IIについて、どのようなシリーズになっているのか解説しよう。

Vintera IIシリーズ(*)

ビンテージ・スペックを踏襲しながら
現代プレイヤーも弾きやすい演奏性を実現

 2023年9月、フェンダーが“Vintera Ⅱ”を発表した。Vintera IIは好評だった先代シリーズ(2019年発売)を踏襲しつつ、いくつかのアップデートが敢行されている。中でも注目なのがローズウッド指板の復活であろう。前シリーズでは2017年に実施されたワシントン条約の影響で、ローズウッド材が輸出入規制の対象となり、代替材としてパーフェロー材が用いられていた。しかしその規制が緩和されたことにより、ローズウッド指板を使用することができるようになったのだ。

 基本路線は前シリーズ同様、フェンダー・ギターを象徴する50年代、60年代、70年代の代表的な仕様とサウンドを再現するというスタイルだ。ネック・シェイプは各年代を代表する形状に仕上げられ、ピックアップも各時代固有のボイシングが施されている。指板アールは70s Telecaster Deluxeのみが9.5インチ・ラジアスだが、ほかはすべて7.25インチ・ラジアスを採用。フレットはオリジナルより高めのビンテージ・トール・サイズを使用しているため、カーブがきつい7.25インチ・ラジアスの指板でも押弦がしやすくなっている。

 このほか、Stratocaster3機種(50s/60s/70s)及び50s Nocasterはオリジナルにこだわらず、より使いやすい配線を採用。Stratocasterは5ウェイ・ピックアップ・セレクター・スイッチとし、トーン・コントローラーがリア・ピックアップにも使えるようにアレンジ。50s Nocasterは3ウェイ・ピックアップ・セレクター・スイッチをフロント/フロント+リア/リアの組み合わせに配線している。

Vintera II 60s Stratocaster

3-Color Sunburst(フロント)

3-Color Sunburst(バック)

60年代製のスペックと共に
現代的なワイヤリングも採用

 今回のシリーズより復活したローズウッドを指板に据え、スモール・ヘッド、スパゲティ・ロゴ、11点止めの3プライ・グリーン・ガードなど、60年代前期の仕様を盛り込んだストラトキャスター。ネック・シェイプは60年代製の実器からプロファイルしたというスリムなCシェイプで、指板アールは7.25インチ・ラジアスを採用。5ウェイ・ピックアップ・セレクターに加え、近年のフェンダーが積極的に導入しているトーン・コントローラーのワイヤリング(フロント/センター共用とリア専用)、ビンテージ・トール・サイズのフレットなど、新スペックも随所に盛り込まれている。  

アルニコVマグネットに、プレーン・エナメル被膜のワイヤーと、1964年代中期以降と同じ素材を使用して作られているビンテージ・スタイル60sストラト・ピックアップを3基搭載。煌びやかでありながら温もりもある、この時代特有のトーンを出力する。

Lake Placid Blue

Olympic White

【SPECIFICATIONS】

  • ボディ:アルダー
  • ネック:メイプル
  • 指板:スラブ貼りローズウッド
  • フレット:21
  • スケール:648mm
  • ピックアップ:ビンテージ・スタイル'60sシングルコイル・ストラト×3
  • コントロール:ボリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター
  • ブリッジ:6サドル・ビンテージ・スタイル・シンクロナイズド・トレモロ with ベント・スティール・サドル
  • ペグ:フェンダー・ビンテージ・スタイル

Price:¥159,500

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WASHIYAMA'S Impression

コード・プレイに向いた音の解像度

 ビンテージ指向ながら音の解像度が高く、低域の音程感も優れています。僕のようなギター・ボーカルなど、コードをかき鳴らすようなタイプのプレイヤーに合っていると思いますね。特にハーフ・トーンのポジションが気に入りました。ハーフ・トーンだと位相の影響で低域が引っ込む感じになりやすいですが、このギターが持つ解像度の高さのおかげで和音がしっかりと伝わってくれます。


Vintera II 60s Telecaster

Fiesta Red(フロント)

Fiesta Red(バック)

カスタム・カラーでよみがえる
アルダー・ボディのテレキャスター

 スラブ貼りのローズウッド指板にアルダー・ボディ、スティール製のスパイラル・ブリッジ・サドル、スパゲティ・ロゴなど、1960~64年までのスペックで構成されたテレキャスター。本器はフィエスタ・レッドとソニック・ブルーの2色が用意されているが、このようなカスタム・カラーの場合、テレキャスターはボディ材にアッシュを使用せず、アルダーやほかの材を使うケースが多かったと言われている。3ウェイ・ピックアップ・セレクターは1967年以降に採用されて一般化された、フロント/フロント+リア/リアの組み合わせとなっている。  

2本の弦が1つのサドルを共有する伝統的な3ウェイ・サドルを採用。サドルの素材はスティール製で、弦が乗る箇所に溝が設けられている。これにより弦の横ズレや脱落を防止すると共に、常に均等な弦間隔を保つことが可能。

Sonic Blue

【SPECIFICATIONS】

  • ボディ:アルダー
  • ネック:メイプル
  • 指板:スラブ貼りローズウッド
  • フレット:21
  • スケール:648mm
  • ピックアップ:ビンテージ・スタイル'60sシングルコイル・テレ×2
  • コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター
  • ブリッジ:3サドル・ビンテージ・スタイル・テレ with スロテッド・スティール・サドル
  • ペグ:フェンダー・ビンテージ・スタイル

Price:¥159,500

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WASHIYAMA'S Impression

オルタナ・サウンドが似合うテレ

 第一印象では80~90年代のオルタナやグランジっぽさを感じました。ピックアップの出力が低く、それによって甘いテイストの音になっています。そのサウンドを足下のエフェクターや手元のコントロールでどのように扱っていくのかを楽しめるギターだと思いますね。エフェクターのノリも良く、ぜひファズなどの歪みや空間系で音作りをして、オルタナ的に鳴らしてみてほしいです。


Vintera II 50s Jazzmaster

Desert Sand(フロント)

Desert Sand(バック)

レアなカラーリングも魅力的な
初期ジャズマスター

 スラブ貼りによるローズウッド指板に加え、初期ジャズマスターを象徴するゴールド・アノダイズド・ピックガードをマウント。その見た目から気分を50年代へと誘ってくれるモデルとなっている。今回用意されたカラー2色もスペシャルで、とりわけデザート・サンドは50年代のデュオ・ソニックやミュージックマスターのレギュラー・カラーとしては周知だが、ジャズマスターで同色が使われるケースは相当にレアなだけに珍しい仕様が好きな人にはたまらないであろう。ネック・シェイプは50年代後期のCシェイプで、指板アールは7.25インチ・ラジアス、ビンテージ・トール・フレットを採用。  

ブリッジ・プレートの下に圧縮バネを1本配置させ、軽いタッチでゆるやかなビブラート効果を生み出すことができるフローティング・トレモロ。ユニット自体を固定させられるトレム・ロック機能が備わっているため、弦が切れた際、チューニングの狂いを防ぐことができる。

Sonic Blue

【SPECIFICATIONS】

  • ボディ:アルダー
  • ネック:メイプル
  • 指板:スラブ貼りローズウッド
  • フレット:21
  • スケール:648mm
  • ピックアップ:ビンテージ・スタイル'50sシングルコイル・ジャズマスター×2
  • コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター、リード/リズム・サーキット・スイッチ、フロント・ピックアップ・ボリューム・ホイール&トーン・ホイール
  • ブリッジ:6サドル・ビンテージ・スタイル・アジャスタブル with フローティング・トレモロ・テイルピース
  • ペグ:フェンダー・ビンテージ・スタイル

Price:¥176,000

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WASHIYAMA'S Impression

1本だけでしっかり響く洗練されたギター

 オールマイティかつ洗練されたギターですね。リアがジューシーなサウンドで、ストラトと違った魅力を感じます。高域も低域も独特な響きを持っているのも特徴です。エフェクターなどで音を作り込まなくてもしっかり鳴ってくれる印象で、アンプ直だったりファズだけ使ったりするスタイルでかっこいいプレイができそうですね。ブルースマンにも合うと思います。


Vintera II 70s Jaguar

Black(フロント)

Black(バック)

希少なネック・デザインを再現した
1970年代仕様のジャガー

 1962~75年と短かったジャガーの製造期間の中で稀少とされているのが、1967年に出荷された貼りメイプル指板&ブラックのバインディングとブロック・ポジション・マークである。これらは当時オプション扱いだったので、その数はかなり少なかったと言われているが、そんなレアな仕様を本器が再現しているところが興味深い。ネックは70年代後期の個体からプロファイルしたというCシェイプで、ピックアップは70年代初期製をボイシングしたビンテージ仕様のものをマウント。ペグはフェンダーの頭文字“F”が刻印された通称“Fキー”が搭載されている。  

フロント・ピックアップ専用のボリューム(1MΩ)とトーン(50KΩ)、スライド・スイッチで構成されたリード/リズム・サーキット。これを利用すると低域寄りの丸いサウンドが得やすくなる。またボリュームとトーンを絞り切れば、キル・スイッチとして利用することも可能だ。

Vintage White

【SPECIFICATIONS】

  • ボディ:アルダー
  • ネック:メイプル
  • 指板:貼りメイプル
  • フレット:22
  • スケール:610mm
  • ピックアップ:ビンテージ・スタイル'70sシングルコイル・ジャガー×2
  • コントロール:ボリューム、トーン、リード/リズム・サーキット・スイッチ、フロント・ピックアップ・ボリューム・ホイール&トーン・ホイール、ピックアップ・オン/オフ・スイッチ×2、ロー・カット・スイッチ
  • ブリッジ:6サドル・ビンテージ・スタイル・アジャスタブル with フローティング・トレモロ・テイルピース
  • ペグ:フェンダー・ビンテージ“F”スタンプ

Price:¥192,500

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WASHIYAMA'S Impression

汎用性の高いコントロール系統が優秀

 ロー・カット・スイッチが効果的ですね。フロントでコード・カッティングする時にロー・カットすることで、すっきりとしたスマートな響きになるんです。リード/リズム・サーキットも面白い効果を得られるし、見た目はいかついけど様々なジャンルにも対応できる“勉強できるヤンキー”のようなイメージが近いかも。激しいプレイからクリーン・トーンで聴かせる演奏までこなせる1本です。


試奏動画

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イベント情報

現行のビンテージ系ストラトキャスターを鷲山和希(Suspended 4th)の試奏で聴き比べる無料イベントが、12月20日(水)に東京・FENDER FLAGSHIP TOKYOで開催!

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プロフィール

鷲山和希
わしやま・かずき●2014年に結成された名古屋在住の4人組ロック・バンド、Suspended 4thのボーカル&ギター。65年製のビンテージ・ストラトキャスターを愛用する。

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