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  • “高音質”で音楽を聴く楽しみを!ハイレゾ入門〜第9回

週刊ギブソン連動 ハイレゾ録音にチャレンジ!

  • 文:菊池真平

今回は、デジマート・マガジンの人気連載『週刊ギブソン』とコラボレーションし、最新のレス・ポールを24bit/96kHzと、DSDの5.6MHzでレコーディングしてみようという楽しい企画をお届けします。録音したギターに関しての詳しい情報は、『週刊ギブソン・第25回』を参考にして頂きたいのですが、現在では本物を手にすることは難しい、1959年製のサンバースト・レス・ポールを再現したこだわりのモデルです。レモン・ドロップと呼ばれるような退色したチェリー・サンバーストの色が再現され、ギターを見ているだけで良い音がしそうですね。今回は、録音したデータをダウンロードできるようにしました(記事後半にあり)! ハイレゾ/DSD共に聴ける環境にある方は、ぜひそのサウンドの違いを確かめてみてほしいです。

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話題の『Gibson Brands Showroom TOKYO』でレコーディング!

Gibson、TEAC、ONKYOの3社コラボレーションによるショールーム『Gibson Brands Showroom TOKYO』。

ハイレゾ音源をBGMにコーヒーを飲んでくつろげる1階のBreak Space。

今回レコーディングを行った2階のSound RoomではTASCAM製品を用いたハイレゾ録音が可能。

 この企画を行った場所は、JR東京駅もしくは東京メトロ銀座線の京橋駅から徒歩5分ほどにある、新しいコンセプトで生まれたショールーム『Gibson Brands Showroom TOKYO』です。このショールームは、ギブソン、録音機器などを扱うティアック、オーディオ機器などを販売するオンキヨーの3社が集って作られています。そのため、“弾いて、録って、聴く〜Play.Record.Listen.〜”という、これまでにないコンセプトで作られています。今までは、それぞれが関係しながらも独立していたイメージですが、このショールームでは、ギターを弾いて録音して聴くといった一連の流れを体験することができます。入場は無料なので、ぜひ近くに行った際には立ち寄ってほしい、魅力的なスポットです。定期的にイベント等も行われているので、こまめにホームページをチェックしておくと、嬉しいイベントに参加できるかもしれません。

こだわりのレコーディング機材

アンプ&スピーカーにはMarshall JVM205Hと定番の1960Aキャビネットを用意。

 まず今回レコーディングに用いたギターですが、ギブソン・カスタムショップ製のレス・ポール『Collector's Choice #26 1959 Les Paul "Whitford 'Burst"』になります。次に、ギター・アンプはマーシャルのヘッドJVM205Hに、定番の1960Aキャビネットの組み合わせです。ギターとアンプは、シールドで直結されていました。演奏をしているのは、デジマート・マガジン『週刊ギブソン』、『デジマート地下実験室』などでもお馴染みの井戸沼尚也さんです。その様子は、『週刊ギブソン・第25回』に動画がアップされています。アンプのセッティングは、オーバードライブ・モードを使っていますが、ゲインはかなり低くセッティングし、ボリュームを絞るとクリーンに近いサウンドが鳴るようにしてありました。イコライザーは、ほぼフラットです。

今回レコーディングで使ったレコーダーは、タスカムのDA-3000(ラック中ほどのシルバーの筐体)。その他に、マスター・クロック・ジェネレーターCG-2000(ラック上から2台目のゴールドの筐体)、マイク・プリアンプ/USBオーディオ・インターフェイスのUH-7000(ラック上に重ねておいてある黒い筐体)も使用。

 次にレコーディング側の機材ですが、レコーダーにはDSDのレコーディングができる、タスカムのDA-3000を2台使いました。この2台は、ひとつを24bit/96kHz用、もう1台をDSDの5.6MHz用として使い、カスケード接続しています。このモデルは1台で2ch録音できますが、これを複数台接続することで、マルチ・トラック・レコーディングもできる優れものです。一般ユーザーも購入できる価格帯のレコーダーで、DSDマルチトラック録音ができるのは、ほとんど販売されていないため貴重です。

 このDA-3000にも優秀なクロックが内蔵されていますが、今回はより高音質で録音する事を狙って、同社のマスター・クロック・ジェネレーター、CG-2000も両レコーダーに接続されています。CG-2000は放送局などプロの現場で使うことを目的に開発された業務用クロックジェネレーターです。このモデルには、高精度なOCXO(恒温槽付水晶発振器)が採用され、+/-0.01ppmのクロック精度、+/-0.005ppm/日の周波数安定性を誇っています。この機器を使うことで、音をデジタル化する際に、より高い音質を録音することができるようになります。特に、高音域にその影響が表れやすくなります。

集音に用いたベイヤーダイナミックのコンデンサーマイクMC930。

 次に集音に用いたマイクですが、ドイツのベイヤーダイナミック社製の高性能コンデンサー・マイク、MC930を2本使っています。このマイクを上下に2本置き、ハイレゾ/DSD音源それぞれを録音しています。厳密な事を言えば、両ファイルの音を比較するには、同一箇所に同一マイク(さらに同一ケーブル)でなければいけないと思いますが、今回は“ファイルの比較”ではなく、それぞれの音の質感を楽しんでもらえればという企画になります。これらのマイクは、タスカムのマイク・プリアンプ/USBオーディオ・インターフェイスのUH-7000を通って、それぞれDA-3000に接続されていました。

音源の再生方法について

 各音源をしっかりと聴くためには、24bit/96kHz、さらにDSD5.6MHzに対応したUSB D/Aコンバーター(DAC)等が必要になります。以前にも採り上げましたが、両音源を聴くためにお薦めのUSB DACを下記に改めてご紹介しますね。これから購入される方は、ぜひ参考にして下さい。WAVファイルに関しては、DACが無くても聴く事はできますが、ビット/サンプリングレートが落ちた状態で再生されてしまいます。

 また、両ファイルを再生するためには、ハイレゾ/DSDに対応した再生ソフトも必要です。使っているUSB DACによっては、専用の再生ソフトがある事もあります。(例えば、ティアックの『TEAC HR Audio Player』)これらを使えば、比較的簡単にDSDのネイティブ再生が可能ですが、機器を限定しないフリーソフトである『foobar 2000』(Windows)等では、DSDをネイティブ再生するために少し手間取るかもしれません。Macは有料ではありますが、『Audirvanna Plus』というソフトがお薦めです。またタスカムのレコーダーDA-3000、KORGのレコーダー、MR-2000S等を使っている方は、これらの機器を用いても再生可能です。ハイレゾ/DSDについては、過去のコラムにも少しだけ書いていますので、参考にして頂けると幸いです。

DSDのネイティブ再生が可能なUSB DAC

TEAC UD-301 / 価格:オープン[メーカー製品情報ページ

 ティアック社もタスカムのブランドで、DSDレコーダーを発売しているメーカーです。そんな同社もDSD音源を再生できるUSB DACをラインナップしています。写真のUD-301は、その中でもエントリー・モデルとして生み出されましたが、DSDは2.8224MHzと5.6448MHz、PCMは32bit/192kHzまで変換でき、十分なクオリティーを備えています。さらに同社オリジナルの無料の再生ソフト“TEAC HR Audio Player”を使えば、より手軽にDSD/PCM音源の再生ができます。またプリアンプ・モードを備え、パワーアンプがあれば、USB DAC付きプリアンプとしても機能します。ティアックからは、ステレオ・プリメインアンプとしても使えるUD-301DA、上位機種のUD-501も発売されています。

KORG DS-DAC-100 / 価格:オープン[メーカー製品情報ページ

 DSDレコーダーも販売するKORGは、DSDに対する知識の蓄積も深く、そのノウハウを生かして生み出されたのが、DS-DAC-100です。流線型が美しい筐体は、音質に配慮して3点のスパイクで支えられ、インシュレーターも付属しています。電源は持ち運びに配慮してかUSBを採用していますが、出力端子はプロ用機器を製作するKORGらしく、バランス出力も備えています。このDACでは、DSDが1bit/2.8224MHzと5.6448MHz、PCMが24bit/192kHzまでD/A変換できます。また大きな魅力と言えるのが、DSDの再生も簡単にできるソフトウェア“AudioGate 3”が、無料で使えることです。このソフトは、単体で購入すると2万円ほどするため、かなりコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。

バーストライクなレス・ポール・サウンドを体感!

 今回、ハイビット/ハイサンプリング、そしてDSDと2つのファイル形式でレコーディングしたギブソンのレス・ポールですが、音源からはその魅力が十分に感じ取れました。導入部分は、ボリュームをやや絞って、クリーンに近いフロント・ピックアップのサウンドを鳴らしていますが、抜けが良くウォームなトーンが印象的です。徐々に歪んでくると、両音源ともアタック時のざらつき感がリアルに集音されている印象を受けました。DSDの音は、より立体感のあるサウンドで、生々しさが強くなります。歪んだ後に、リアのサウンドになると、オリジナル・バーストのような独特のコンプレッション感を感じさせながらも、音の輪郭がしっかりと出ています。またピッキングの強弱、ビブラートによるニュアンス、音が徐々に減衰していく様子などは、とてもよく分かる音源になっていると思います。今回の企画で、楽器そのものの音色/繊細さを残すには、ハイビット/ハイサンプリングやDSDのレコーディングは、とても有効だと感じられました。

ハイレゾ音源のダウンロードはこちらから!

 この企画でレコーディングした音源は、下記のリンクからダウンロードして下さい。ダウンロード先のURLをクリックし、各OSの表示に従って「ファイルを保存」にすれば、ダウンロードできるはずです。DSDのファイルは容量が約130MB、WAVファイルは約55MBあり、通信環境によっては、ダウンロードに少し時間がかかるかもしれません。途中で失敗してしまったら、再度ダウンロードを試みて下さい。ぜひ魅力的なレス・ポールのサウンドを聴いてみて下さい。

Gibson Custom / CC #26 1959 Les Paul "Whitford 'Burst" ハイレゾ音源【DSD 5.6Mhz】(.dsfファイル/約130MB)
Gibson Custom / CC #26 1959 Les Paul "Whitford 'Burst" ハイレゾ音源【PCM 24bit/96kHz】(.wavファイル/約55MB)

※OSのバージョンが古い、もしくはDSDのファイルを再生できるソフトが入っていない場合は、PCがファイルを認識できない事もあります。予めご了承下さい。

 今回は、ギターのサウンドを24bit/96kHz、さらにはDSDでレコーディングをするという、個人的にも興味深い企画でしたが、いかがでしたでしょうか? 機会を頂ければビンテージ・ギターやアンプなどにも、ぜひチャレンジしてみたいと思います。様々な楽器のサウンドを聴く事ができれば、楽器を購入する際の参考にもなりますね。

 次回は、PCオーディオの入門システムを実際に組んでご紹介したいと思います。PCオーディオを始めるには、どれぐらいの準備が必要なのかを、分かりやすくお伝えできればと思います。それでは、また次回!


※次回「ハイレゾ入門・第10回」は12/17(水)更新予定です。

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プロフィール

菊池真平(きくち・しんぺい)
音楽雑誌「Player」、オーディオ誌を発行するステレオサウンド社で「Beat Sound」、「Digi Fi」の編集に携わった後に独立。現在はフリーランスで、ヴィンテージ・ギター関連書籍/ギターに関する雑誌等に、編集/ライターとして携わる。国内外のミュージシャンへのインタビュー等も多数行っている。

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