楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 連載
  • 【ジャンク・ギターでこいち時間 デジマート出張版】第12回

アンプ搭載ミニ・ギターの定番「Fernandes ZO-3芸達者」を修理する

エレキ・ギター(ジャンク)

ジャンク・ギターの修理がライフワーク“こいち”によるジャンク沼誘導連載。今回は、こいち自身が過去に修理した「Fernandes ZO-3芸達者」。当時は自由奔放に改造したようだが、現在は不具合が出てしまっている様子。これまで培ったスキルによって愛機はよみがえるのか?

このエントリーをはてなブックマークに追加

【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。

登場人物

koichi_koichi_prof.jpg

こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。

koichi_joshu_prof.jpg

助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。

いつもと違ったところからジャンクをピックアップ

画像名を記載
助手

うーん、この改造されたギター、お得なようで高い気もするな~(デジマート、オークション、フリマサイトを巡回しながら)

画像名を記載
こいち

改造されたギターの価値って難しいよな

画像名を記載
助手

本人が良かれと弄っていても付加価値にはなりづらいですよね

画像名を記載
こいち

かけた費用や愛着もあって手放す際に買い叩かれたくない気持ちはわからんでもないけど

画像名を記載
助手

その強気の価格で欲しいと思う人は結局本人だけだったり

画像名を記載
こいち

残念だけど他人から見たらジャンク・ギターでしかないのかもしれない

Fernandes ZO-3芸達者(こいち時間 改造品)

画像名を記載
こいち

こちら自分の手掛けた改造ZO-3になります(精一杯の良い声)

画像名を記載
助手

この連載にあがるということは……!

画像名を記載
こいち

まさかの「ジャンク・ギター」としての登場だよ

画像名を記載
助手

それこそギター弄りをネット上にアップし始めた頃の作品ですよね

画像名を記載
こいち

(詳しいな……)当時では難しかった作業ができるようになったし、過去の自分に向き合う良い機会だと思いまして

画像名を記載
助手

では普段どおり粗探しして言いたい放題しましょ~

画像名を記載
こいち

ぱおん……(ぞーさんだけに)

画像名を記載
助手

え?

状態の確認
〜当時ちゃんと修理したつもりだったが‥…

ヘッド部。ロック・ナットへ交換、テンション・バーの追加等の改造が施されている

ボディ部。リフィニッシュされ、ピックアップ交換をはじめ、ピックガード追加等の改造が施されている

大きなパネルに覆われたボディ裏。立奏時のボディ・バランスからストラップ・ピンを増設している

増設された指板。ピックガードに両面テープで貼り付けられている。追加したのはロング・スケールの指板のため、ピッチは合っていない※ZO-3はショート・スケール

画像名を記載
助手

振り返ってみるとジャンク扱いされても言い訳できないくらいの改造をしていますね

画像名を記載
こいち

ZO-3保守派には怒られそうだけど、愛ゆえに至った結果です

画像名を記載
助手

言い方は悪いかもしれませんが、もっと不衛生であわれな姿に改造するのが好きかと思ってましたよ

画像名を記載
こいち

意外に小綺麗にまとめているだろ~

画像名を記載
助手

ちなみに致命的な不具合はあるんですか?

トレモロ・ユニット部。ボディに打ち込まれたスタッドが弦の張力に負け、ネック側に寄っている状態

画像名を記載
こいち

これは2点支持トレモロかつ、リアにハムバッカーPUを載せたギターにありがちだけど、ボディのスタッド部分が割れてアームがまともに使えません

画像名を記載
助手

ピックガードにぴったりと接触しちゃってますね

画像名を記載
こいち

当時もそのジャンク症状に悩まされつつも対処した(つもり)だったんだけどなあ

画像名を記載
助手

長期的にみるとダメだったと

コントロール部。ボリュームと内蔵アンプのON/OFFスイッチ。ボリューム・ノブはプッシュ・プッシュ・スイッチになっており、ディストーションの切り替えが可能(現行モデルは操作が変更されている)

画像名を記載
こいち

回路的には内蔵アンプから音が出なかったり、ディストーション時に音が出なかったりします

画像名を記載
助手

改造していると思いきや、コントロール自体は元からこういう仕様なんですね

画像名を記載
こいち

なんせ「芸達者」だからな!

画像名を記載
助手

ステレオYケーブルを使うと内蔵アンプのセンド・リターンとして機能するなんて言われなきゃ気づきませんよ

画像名を記載
こいち

役に立たない小ネタかもしれないけど、その構造ゆえ通常のZO-3と違ってほかのギターをZO-3芸達者のジャックに突っ込んでもアンプ代わりになりません

画像名を記載
助手

限定的で有益な情報だ

金属パーツの清掃

金めっき部品のくすみ取りに用意された真鍮製ワイヤーブラシ

FERNANDES / SURFACE PROTECTOR 956。仕上げとしてめっき面の保護に使用した

磨く前のペグ(左)と磨いた後のペグ(右)

画像名を記載
こいち

今回は金めっきの部品なので、地道にワイヤー・ブラシで表面のくすみを取りました

画像名を記載
助手

金属磨きは使わないんですね

金属磨きでめっき面を磨いた状態(写真右)。金めっきが落ち、銀色になっている

画像名を記載
こいち

めっきが落ちちゃうのよ

画像名を記載
助手

ふとした疑問に体(パーツ)を張っていくスタイル……!

画像名を記載
こいち

使用感フェチとしては大いにめっきが落ちてくれても問題ないんだけど、ゴールド・パーツを好む人は新品の輝きを好む傾向にあるので大変だなと思う

画像名を記載
助手

綺麗なものは儚いですね

傷ついたフレットの修正

キズのついたフレット。倒してしまった際に弦が当たった跡のようだ

使用済みのフレット。ほかのギターでフレットを抜いた際に保管していたもの

キズのついたフレットを抜き、中古のフレットを打ち直した

問題のフレット(8フレット目)を交換した指板

画像名を記載
助手

8フレット目に深いキズがあって、2弦のチョーキングがままなりません!

画像名を記載
こいち

フレットをすり合わせてみてもキズが消えなかったので、その部分だけフレットを交換したいと思います

画像名を記載
助手

わざわざ使用済みのフレットを用意するんですね

画像名を記載
こいち

この連載を読んでいる人の部屋には新品のフレットより、弄って遊んで抜いたフレットの方が転がっていると思った次第です

コントロール部の修理
〜ハンダ付けの修正

ピックガードを外した状態。元のハムバッカーPUのザグリやボリューム・ポット部分に追い加工されたザグリを確認できる

ボディ裏のコントロール・パネルを外した状態。トレモロ・ユニットのスペースの都合かアンプ基板とポット、スイッチ等はひとつにまとめられている

アンプ基板。ボリュームとトグル・スイッチは交換されているようだ

「ZO-3」スタンプの入ったスピーカー

画像名を記載
こいち

音の出ない原因はアンプ基板の配線が切れかかっていたせいでした

画像名を記載
助手

元は基板取付タイプのボリューム・ポットとトグル・スイッチだった部分が交換されていますね

画像名を記載
こいち

当時の自分はこれくらいの配線とハンダ付けなら壊れないと思ってたんだろうなあ

画像名を記載
助手

問題の箇所をハンダ付けし直しました!

スタッド部の補修
〜不十分だった処置を新たな案で解決!

トレモロ・スタッド部。過去に施された金属板での補修が確認できる

金属板を外した状態。木部は割れ、スタッドの入っていた穴は長穴になっている状態

元の穴を広げ、埋め木、接着を施した

画像名を記載
助手

これは見事に割れていますよ

画像名を記載
こいち

過去の自分の処置では不十分ということがわかる

画像名を記載
助手

気にしない(気付かない)販売店や演奏者も少なくない部分ですよね

画像名を記載
こいち

音は鳴るし、発覚したらしたで致命的すぎるし、割れている個体は多い気がするので、正直、確認したくないし見ないフリをしたいところではある

画像名を記載
助手

この個体の入手時も商品説明にはなかったらしいですね

画像名を記載
こいち

電装部の故障だけだと思ったんだけどな~

画像名を記載
助手

広がった穴は一旦埋めて、接着剤が乾くまでに新たな対処法を考えましょう!

レーザー・カットで作成されたザグリ用テンプレートとホンジュラス・ローズウッド(3mm)の埋め木

テンプレートに沿ってトリマーで切削したザグリ部分

繊維方向を変えて加工したホンジュラス・ローズウッドの埋め木を2枚用意し、接着した状態

トレモロ・ユニット取付後。ピックガードとの隙間を取れるようになった

画像名を記載
こいち

ということで、元のボディ材より硬そうな木を2枚ほど埋め込んで補強することにしました

画像名を記載
助手

センセーがよく唱える「ギターは接着剤で作られているんだから接着剤で直るに決まっている」論ですね

画像名を記載
こいち

持論を証明するためにもこのZO-3には頑張ってもらいたいものだ

修理完了!

ヘッド部

ボディ部

全体の様子

画像名を記載
助手

過去のジャンク・ギター修理と向き合う時間が終わりましたね

画像名を記載
こいち

改造や修理方法は各々に美学があると思うので正解はないと思うんだけど、過去の自分と美意識は変わってなくて良かったです

画像名を記載
助手

数十年経って客観的にみた感想はいかがですか

画像名を記載
こいち

若人、いいセンスしてるじゃん!

画像名を記載
助手

客観的に査定する立場になると?

画像名を記載
こいち

ジャンク・ギター扱いです!

画像名を記載
助手

個人で値段をつけるなら

画像名を記載
こいち

本人しか欲しがらない強気の設定だ!

過去記事一覧

第9回:高いコスパで人気のPacificaシリーズ「YAMAHA / PAC312II TLR」をレストアする

junkGuitar_main.jpg

第10回:ポール・ギルバート・シグネイチャー「Ibanez PGM-30」を修理する

junkGuitar_10_main.jpg

第11回:「YAMAHA SC-3000」の改造ジャンク・ギターを修理する

junkGuitar11_main.jpg

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品情報

エレキ・ギター(ジャンク)

デジマートでこの商品を探す

エレキ・ギター リプレイスメント・パーツ

デジマートでこの商品を探す

FERNANDES / ZO-3

デジマートでこの商品を探す

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS